ぱんぱんと、肌を打ち付ける音がする。いくら義勇が留守とはいえ、義勇と暮らしている屋敷で、義勇に与えられた部屋で。こんなことをするのはとても、悪いことなのではないかと思えば涙が溢れた。
「杏寿郎さま、杏寿郎さま、ゆるして、」
 まだ日も高いのに、布団に籠って。ただずっと、まぐわい続けている。ぽたぽたと伝う汗も、籠った空気も、くらくらとの頭に霞をかける。義勇が帰ってきたらどうしよう、鍛錬も家事もせずに、こんなことをしていると知られたらどうしよう。恋仲にある杏寿郎と交わっているのに、どうしてもそんなことを考えてしまうからはいけないのだろう。
「ダメだ、。まだ冨岡のことを考えているだろう」
 悪い子だ、と杏寿郎はの頭を優しく撫でた。ずちゅずちゅと聞くに耐えない音を立てて、の中を杏寿郎のものが穿つ。何度も何度も、熱いそれに貫かれる。頭が真っ白になって、腰がびくびくと震えた。
「孕め、、孕んでくれ」
 祈るように、縋るように、杏寿郎がを抱き締める。はくはくと口を開閉させるに、深く口付けて。それでも止まらない抽迭の果てに、どろりと熱が吐き出される。ぐっと更に腰を押し付けて、杏寿郎はの胎の奥に熱を全て注いだ。逃げ場などどこにもなく、熱はの中に溶けていく。今ばかりは、杏寿郎が恐ろしかった。
「まだだ、。まだ休んでくれるな」
 熱を吐き出したばかりなのに、杏寿郎がぎらつく瞳でを見下ろす。本当に孕んでしまうと怯えて腰を引かせるを捕まえて、布団の中に引きずり戻して。そうして、水音が再び鳴り出す。胎が焼けてしまうと、ぼんやりする頭に思い浮かんだのはそんなことだった。
 
190407
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