ちゅ、ちゅ、と繰り返し唇を吸われる。熱に浮かされたように義勇を求めるは、仰向けに寝そべった義勇に覆い被さるようにしてキスを繰り返した。大事そうに義勇の頬を両手で挟んで、何度も何度もキスをする。ゆっくりと腰を撫でる義勇の手に、鼻に抜けるような声を漏らして目を細めた。
「ぎゆ、さん、」
「ああ」
 かぷかぷと、首筋を甘噛みされる。ちろちろと小さな舌が首の肌を擽って、腰のあたりがぞわぞわと疼く。下を脱いで緩いシャツ一枚になったが、もぞりと腰を揺らして。その尻を掴んでやわやわと揉みながら、のしたいままにさせていた。
「……は、」
 短い息を漏らして、が顔を上げる。義勇の腹に腰を下ろして、ぺたんと手をついて。ぐり、と尻を股間に押し付けられて、義勇は眉を寄せた。もぞもぞと、硬さを確かめるようにの尻がそこを前後する。柔らかくモノを圧迫する小さな尻の感触に、熱が下腹部に集まっていく。アルファほどではないが、ベータもオメガのフェロモンには影響を受ける。焦らしているのかと思うほどゆっくりと義勇の服を脱がせていくの手を取って、がぶりと柔く噛み付いた。

「んッ……あ、」
 騎乗位で、緩く腰を振る。奥に奥にと義勇のものを必死に咥え込んで腰を上下させるに、何も感じないわけがない。時折悪戯するように突き上げると、不意の刺激に少し拗ねたような目を向けられる。その腰をがっちりと掴んで突き上げたい欲求もあったが、の表情や動きを余さず見ていたい気持ちが勝った。どこか虚ろな瞳で義勇を映し、薄く開いた口から小さな喘ぎを漏らして。義勇の腹に手をついて、ゆるゆると腰を動かしている。とん、とん、と子宮口に先端が当たるたびに、幸せそうに頬を緩めて。ぬるぬると温かい膣内に包み込まれて、きゅうきゅうと優しく締め付けられる。繋がったところから溶け合ってしまいそうな、穏やかな行為。本能による情交なのに、のそれはひどく優しい。それだけに愛されて大切にされていると感じて、胸の奥がほわりと温かいもので満たされた。決して、発情期の熱を治めるためだけに義勇を求めているのではないと。義勇のことが好きで好きでたまらないから、こうして繋がりたいのだと。そう示されて、幸せを実感する。番などいらない、義勇といられることだけが自分の幸せだと。オメガという性に生まれようとも自分の幸せは自分で決めると、そのの気持ちは余すところなく義勇に伝わっていた。
「ぎゆう、さん、……ぎゆうさん、」
、」
 名を呼んだだけで、きゅうっと膣内が震える。「なか、ほしいです、」とふにゃふにゃの声で縋るに、ぞくぞくと背筋が震えた。いくら避妊薬も併用しているからといって、生徒でもあるの中に出すなど倫理的にもまずいことだとはわかっている。そもそも、体を重ねることすら過ちであることも。けれど、オメガの性を理由にして愛しい人間の温もりを貪っている。第二の性に関わらず愛し合っていると言いながらもオメガの性質を利用しているような矛盾は、滑稽なことだろうか。それともオメガ性も確かにの一部だと、理解して受容していくことなのだろうか。考えればキリがないけれど、今はただ肌を重ねての熱を分け合う。の望む通りに、そして自身の望む通りに。ぷにぷにと柔らかい尻を掴んで、ぐっと奥にモノを押し込んだ。「あうっ」と掠れた声を上げて喉を反らしたの尻にがっちりと両手の指を食い込ませて、速いペースで腰を上下させて奥をトントンと突き上げる。義勇の上に伏せるように覆いかぶさったが、甘えるように義勇の肩を掴んで胸に頬を擦り寄せて。さらりとした髪が肌を擽って、しっとりと汗ばんだ柔らかい肌が密着してくる。ちゅ、と鎖骨のあたりに吸いつかれた刺激に、どぷりと熱が溢れた。
「……ん、」
 ふるりと身を震わせて、も達する。熱に蕩けたような顔で薄く微笑むに、心臓がどくりと大きく跳ねた。の身を苛む熱が、きっと義勇にも少し伝染ったのだろう。愛おしさに溶けるような熱がヒートならば、の全ては理解してやれずとも一端は解ってやれるのかもしれない。番を持てない以上、一生を苛む性。その熱を少しでも分け合って生きられたならいいと、思った。
 
200315
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