なんだか最近、起きると体が重いことが儘ある。下腹部にまとわりつくような違和感と、全身の倦怠感。時々、腰や股の奥がずきりと痛むこともあって。とはいえ怪我をした覚えもなく、病を得ているわけでもない。修行や家事ができないほどでもなく、誰かに相談するにも曖昧すぎる。正体のわからない症状に困りつつもどうにか任務や日常生活を続けていられるのは、義勇が気遣ってくれるおかげだった。
「……
「あっ、義勇さま……」
 今日も目覚めた後の違和感に悩まされていたけれど、義勇が近付いてきての腕から薪を取り上げる。今日の稽古は午後からだと告げられて、は感謝と申し訳なさで慌てて義勇の後を追いかけた。無理をして走るなと窘められ、反射的に足を止める。は見た目に不調が出にくいのに、どうしてか毎回義勇は気付いてあれやこれやと世話を焼いてくれる。ただでさえは弱く、しばらくは怪我の療養で義勇の足でまといだったのに。数日前は、任務さえまた代わろうとしたほどだった。これ以上義勇に迷惑はかけられないと思いながらも、気遣ってもらえるのは純粋に嬉しくて。たどたどしく謝罪と感謝を伝えるに、義勇は驚くほど優しい表情を浮かべていた。

 吐き出した熱が、とくとくと薄い腹の奥に流れ込んでいく。ずるっと引き抜いたモノには白い糸が伝っていて、一滴も布団に落ちないようにまた胎内に押し戻した。ぬるぬるとして温かいソコはすっかり義勇の形に馴染んでいて、歓迎するように奥まで呑み込んでくれる。何度か腰を前後に揺すれば、陰茎はまたたく間に硬さを取り戻した。
「は、ぁ……っ、……」
 の部屋で、の布団に潜り込んで、に覆い被さって。眠りの浅いを起こさないように、毎回就寝前の茶に眠り薬を混ぜている。もう、何度目の行為かもわからない。未だ実らぬ結果を求めて繰り返した行為の中でに意識があったことはただの一度もなく、故に合意も一度も得てない。は自分が犯されていることを知らぬまま、とうに純潔を散らされていた。
「ん……」
 眠っていても、体は素直な反応を返す。丁寧に愛撫すれば苦しむ様子もなく義勇を受け入れ、弱いところを緩く突き上げればきゅうきゅうと縋るように締め付けて。初めての夜は固く閉じていた割れ目も、今は嬉しそうに義勇のモノを咥え込んでいた。最初の頃は何の反応もなかった胎の奥も、執拗に性感を教え込んだ結果突き上げるたびに良さそうな声を上げるようになって。起きてこそいないが、愛し合っている証左だと義勇は思っていた。くぷくぷと音を立てて泡立つ愛液が、の白い太腿を伝い落ちていく。はぁ、と義勇が熱のこもった息を吐くのと重なるように、が鼻に抜けるような声を漏らす。そんな些細なことさえ愛おしくて、下半身に熱が集まるのを感じた。
、」
 ぬるぬるとよく濡れた襞が、義勇に応えるように絡み付く。緩急をつけて擦り上げると悦ぶように痙攣して、の体が上り詰めそうなことを教えてくれた。熱に浮かされて荒い息を吐く小さな口が、血の巡りが良くなって赤く色付いた薄い唇が、可愛らしくて。舌を絡めたい欲求に駆られたが、一度その小さな舌に触れてしまえばが起きてしまうほど貪るだろうと抑えていた。結合に至るまでも、慎重に秘部を慣らすだけの夜を重ねることから始めたのだ。今もなるべく激しい抽挿にならないようにゆるゆると腰を動かし、胸の飾りや陰核を可愛がって穏やかな絶頂を促し射精に至っている。その分行為に時間がかかりの消耗は大きいから、何も知らない日中のをできるだけ労わるように努めていた。あどけない寝顔は、下の口で義勇のモノを離すまいと吸い付いているとは思えないほど純真無垢だ。全体的に血色が良くじんわりと汗が滲んではいるが、未だ穢れを知らぬ幼い少女の顔で。綺麗だ、と思う。綺麗だから、義勇の汚い欲や思惑など知らぬまま孕んでほしかった。
「っ、う……」
 とぷりと、また吐き出した熱がのナカを犯していく。子どもができたら、孕んだら、は戦うことから遠ざかってくれるだろうか。何も知らないまま体ばかり何度も繋がって、柔らかな肌を貪られて。それでもきっとは、義勇を許してくれるだろう。愛してくれるだろう。は優しいから。子どももきっと、産んでくれるだろう。勝手に事を進めたことは悪いと思っていたから、きっと幸せにしようと勝手に決意する。最低なことをしているという罪の意識さえ、興奮に繋がるのだから救いようがなかった。
 
201020
BACK