何だかいつもが義勇のことばかり優先している気がすると、義勇はを前に真剣な顔で思案する。の楽しいこと、のしたいことをしてやりたいのに、義勇はの喜ぶことを知らない気がするのだ。とはいえ曲がりなりにも一緒に暮らしている以上、一般的な恋仲のように逢瀬をするというのも違う気がして。表面上は真顔で、内心はとても深刻に悩む義勇の頬に、がすっと手を伸ばした。
「…………」
考え事に夢中で反応のない義勇の頬を、ふにふにと軽く押したり撫でたりを繰り返す。もちもちと柔らかい義勇の頬の感触に、はにこにこと表情を緩めて。
「……?」
ふと思考から浮上した義勇は、が自分の頬に触れてにこにこと笑っている状況に首を傾げる。照れ照れと笑うの頬を両手で挟んで撫で回せば、義勇の表情も知らずに緩む。もちもちと互いの頬を触り合う水師弟の姿を目撃した後藤は、用件を鴉に託しさっさと踵を返すのであった。
190530