「はい、冨岡です」
電話に出るときのは、どうしてかいつも少し嬉しそうだ。電話に出たの柔らかい表情をじっと見ていると、何やら受け答えしていたがくるりと振り向いて義勇に受話器を渡す。宇髄からだと言うに頷いて受話器を受け取った義勇は、開口一番罵られた。
「携帯電話を携帯しねぇなら捨てちまえ」
「……急用だったのか?」
「てめぇの携帯電話がどこにあるか言ってみろ」
言われて思い返せば、どこに置いてきただろうか。無言になった義勇にため息を吐いて、職員室の義勇の机の上にあったから預かっていると宇髄は告げた。淡々と礼を口にする義勇に、宇髄はもう一度ため息を吐く。
「なんで毎回てめぇの家はちんちくりんが電話に出るんだ」
「が出たがる」
「……そうかい」
最後にこれまた大きいため息を吐いて、宇髄は電話を切った。が楽しそうだから義勇はいつもそれを眺めていたのだが、何かまずかったのだろうか。ただ、が「冨岡です」と言って電話に出る姿を自分も案外気に入っていることに気付いて、義勇はこてりと首を傾げるのだった。
190603