【○○語り】相手にあまり見られたくないとき(仕事中・付き合いの飲み会など)にばったり出会ってしまった2人について語りましょう。
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はどうにも年齢よりも子どもっぽいところがあると、義勇は思っている。決してそれに悪い感情を持っているわけではない、むしろ可愛らしいと思っているのだが。けれどそれは、時折子どものように行動が読めないということでもある。
「…………」
床に転がされて、義勇はむくれたの顔を呆然と見上げる。ぷうっと頬を膨らませたは、義勇が帰ってくるなり駆け寄ってきて体当たりをして転がして服を全てひん剥いた。下着まで残らず全てである。奪った衣服を丸めてぎゅうっと抱え、ぷくぷくと頬を膨らませて義勇を見下ろす。義勇は呆然とを見上げながらも、意識の外で自分の体を隠すように腕を回す。そんな義勇の頬にぺちっとスマホを押し付けたは、義勇の服を持ったままぱたぱたとどこかへと行ってしまった。否、がたんと聞こえた音とピッピッと鳴る操作音から、義勇の服が全て洗濯機に放り込まれたことは察することができたのだが。乙女のように自分の体を抱き締めて呆然としていた義勇は、のスマホを頬から離して見下ろす。その画面に表示されていたのは宇髄の名前と、死んだ魚のような目をした義勇の写真だった。
「……!?」
つい先ほどまで宇髄たちに飲み会に付き合わされていた義勇だったが、まさか店の女性が傍に寄っているところを撮られてに送られていたとは気付いておらず目を瞠る。同時にの行動の理由も理解した。酒と香水の匂いに、写真の女性を思い出したのだろう。一方的に腕を絡められてゲンナリとしている義勇が映っているスマホを握り締め、思わず宇髄に電話をかけようとするが思いとどまる。それよりもするべきことがあるだろうと立ち上がった義勇だったが、とたとたと駆け戻ってきたに思わず前を隠した。
「…………」
ぷくーっと頬を膨らませたまま、は両手でずいっと着替えを差し出す。有無を言わせない空気にその場で手早くいつものジャージ姿に戻った義勇に、やっとの頬がしぼんだ。
「……」
「ごめんなさい、」
がばりと頭を下げたの頭に手を乗せて、柔らかい髪をそっと撫でる。触っても拒絶はされないことに、安堵した。ぺたりとその場に座り込むと、よじよじとが膝の上に登る。義勇の腹辺りに顔を埋めたは、すんすんと匂いを嗅いで満足げに表情を緩めた。ぎゅうっと抱き着いて頬を擦り寄せるは「いつもの義勇さんのにおい」と、小さく笑ったのだった。
190613