「……?」
疑問符を大量に浮かべているを見下ろして、わかりやすいなと錆兎は頬を緩める。兄弟子に膝枕をされているという状況に、はすっかり困惑しきっていた。特に理由はないけれど、洗濯物を干し終えてどことなく満足げにしていたを手招いて膝枕をした。強いて言えば気分である。今日もくるくるとよく働くが愛らしいなと、可愛がりたくなったのだ。
「錆兎さま、そのぅ……」
「どうした」
「わたし、邪魔じゃ、ないですか……?」
「俺から引っ張っておいて邪魔とは言わないだろう」
錆兎と義勇の妹弟子は、甘えるのが下手だ。時折びっくりするほど強情になるくせに、妙なところで遠慮がちで。錆兎の頬の傷に躊躇いなく触れる幼さを持っているのに、錆兎から触れようとすると逃げ腰になって。幼子と少女の境界線を行ったり来たりしている妹弟子は、どうにもその頭を撫で回してやりたくなるような幼気な可憐さを持っていた。
「は小さいな」
「は、はい」
「頭が丸くて可愛い」
「ひぇ……」
「撫でるのに丁度いいんだ」
敬する兄弟子に可愛い可愛いと愛でられて、の顔はぽぽぽっと赤く染まっていく。そのうち義勇が独り占めするなと言いたげな顔をしてやってくるだろうが、それまでは。この可愛らしい生き物にもう少し和んでいようと、錆兎は膝に乗せた形の良い頭を撫で続けるのだった。
190624