「体力がねェ」
くったりと布団にうつ伏せになっているを抱き上げて、実弥は自身の膝にを座らせる。広い胸にもたれさせて、長かった情事で疲れ果てているの額を弾いた。
「本当に鍛えてんのかァ? この程度でへばるたァ、冨岡はどんな鍛え方……」
「?」
「いや、いい、今のは忘れろォ」
「は、はい……」
一瞬義勇とが体を重ねる想像をしてしまった実弥は、自分の迂闊な言葉と連想に苦い顔をする。何もわかっていない表情で頷いたの呼吸が落ち着いてきたのを見て、どうしてかまたむくりと股間が反応する。そっと腰に腕を回してじっと見下ろすと、きょとんとは首を傾げる。相変わらずの鈍さに呆れ半分安堵半分で頬を撫で口付けると、ようやく察したのかの頬に朱が差した。
「……いいか」
「はい、」
「いいのかよォ」
「は、はい……!」
どこからどう見てもぐったりと疲弊しているのに、どうして断る素振りすら見せないのか。端的にそれを問うと、は恥ずかしそうに頬を染めて言った。
「実弥さまで、いっぱいになるの、すきです……おなかだけじゃなくて、なんだか、ぜんぶが」
「……お前なァ、」
「だ、だめでしたか、はしたないですか、」
「違ェよ」
膝の上に抱えたままのの首筋を、がぶりと噛む。「あっ」と短い声をあげたの腰に回した腕に力を込め、密着するように抱き寄せて。精を溢れるほど詰め込まれた薄い腹に、勃ったそれを擦りつける。首をやわやわと噛まれる微弱な快感に耐えようと顔を逸らすが、もじもじと脚を動かした。触れ合う太腿に、ぞわりと背筋が震える。逸る気持ちを抑えながら、濡れたままの秘部にくちゅりと陰茎を押し当てて。ぬちゅぬちゅと、すぐには入れずに往復させる。の一言で理性を溶かされたのだから、こちらもぐずぐずになるまで溶かしてやらなければ割に合わない。よく滑ってぬめるそこで何度も陰茎を前後させると、食んでいる首筋の血管がどくどくと脈打つのがわかった。「はぁ……、あ、」と次第に荒くなっていく呼吸が、実弥の頭の上で響く。濡れた吐息が耳元に落ちて、ずくりと心臓が疼いた。陰核を亀頭で押し潰すように擦ると、本当にイイ声を上げる。抱き合って密着したままくちくちと腰だけ動かして、擦れ合うのが馬鹿みたいに気持ちいい。性交を知ったばかりのような貪欲さに、自身でも呆れるほどだ。それでも止めることなどできなくて、蕩けていくそこに自身を埋めたいと血管がうるさいほど脈打っていた。ふっふっと荒い呼吸が、他人のもののように聞こえる。きっとこの欲を抑えるのを止めてしまえば、自分は浅ましい獣のようにを抱き潰すのだろう。
「……っ、」
の後頭部を押さえて、強く自分の肩に押し付けるように抱き込む。応えるようにが実弥の二の腕の辺りに縋り付いて、それでぶちんと理性は弾け飛んだ。待ちわびるようにひくひくと蠢くそこに、昂る熱を押し込んで。また長くなりそうだと、詫びるようにの頭を撫でたのだった。
190701