「そこに正座しなさい、
 ――今日、可愛い下着なんです。そう言ったに対して、杏寿郎は布団を指さす。怒らせてしまっただろうか、あまりにもはしたなかっただろうか。真っ青になってぴゃっと跳ね上がったは、土下座をせんばかりの勢いで杏寿郎の指さした場所に正座をする。けれど、にこにこと笑顔を浮かべたままの杏寿郎はを見下ろして言った。
「では、脱いでくれ」
「えっ」
「可愛い下着なのだろう? 俺に見せてくれ」
「え、あっ、は、はい……!」
 ぷちぷちと、慌ててボタンを外していく。にこにこと見守る杏寿郎が目の前にいて頬が熱くなるが、「そういうつもり」で口に出したのだから恥じらいつつも杏寿郎の反応に安堵を覚えた。食い入るようにじっとの胸元を凝視する杏寿郎の前で、そろりとブラウスを脱ぎ去る。
「ど、どうでしょうか……?」
 お腹の前で手を組んだは、おずおずと杏寿郎を見上げる。白い地にオレンジの花柄があしらわれた下着を見て、杏寿郎はにこりと笑った。
「下も見せてくれ!」
「ひぇ……」
 普段は杏寿郎に脱がされているから、自分で脱ぐのはひどく緊張する。そろそろとスカートの裾を摘みぎゅっと目を閉じたは、えいっとスカートを捲った。そのまま縮こまっていただが、無言の杏寿郎を不思議に思いおそるおそると目を開ける。
「……ひっ」
 いつの間に移動していたのか、音も立てずに目の前にいた杏寿郎に思わず仰け反ってしまいそうになる。がしっとの肩を掴んでそれを阻止した杏寿郎は、全く瞬きもしないままを見下ろして深く頷いた。
「うむ、良い!」
 まじまじと見つめられ、頬に熱が集まっていく。どこから食べようか見定めるような視線は、杏寿郎が時折見せる獰猛さだった。掴まれた肩から、杏寿郎の掌の熱がじんわりと伝わってくる。思わず視線を下に落とせば、それを阻むように杏寿郎がの顎を掴んで顔を上げさせる。
「誘ってくれたのは君だろう?」
「は、はい……!」
 目を逸らすなと暗に告げる杏寿郎に、はこくこくと頷いた。するりと下着の上から臀部を撫でた杏寿郎は、目を細めてを抱き締める。余さず喰われると、の本能が予感したのだった。
 
190816
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