「むぁ、」
ふに、と鼻を摘む。間抜けな顔をして顔を顰めただが、起きる気配はなかった。夜明け近くまで任務で眠れずにいたのだから、眠りの邪魔をしてはいけないとわかってはいる。けれどここのところお互いに別の任務が重なっていて、一緒に時間を過ごすことなどいつ以来だっただろう。倒れ込むように布団に身を投げ出して眠りに就いたが愛しくて、義勇はの顔にぺたぺたと触れていた。
「…………」
こっそりと、呼んでみる。果たしてこれは、構われたいという心情の発露なのだろうか。小さな体を抱き込むと、眠っているの表情が緩む。無意識でも安堵を抱くほどに好かれていると思えば、自然と義勇の表情も和らいだ。が義勇を安心と定義するように、義勇もに安心を抱いている。やわらかな安心を抱き締めて、義勇はようやく目を閉じたのだった。
191001