姉のことを、積極的に傷付けようとは思わない。逃げるのなら捕まえはするが、逃げないように腕や脚を斬り落としておこうだとか、そういう物騒な束縛は無粋だと思っていた。鉱石病に無理やり感染させたり男女の関係を強いるのは物騒ではないのかと後々姉に詰られることになるのを今のエンカクは知らないが、少なくとも彼は彼なりに姉を尊重し大切にしているつもりだったのだ。姉を危険な地域で連れ回していたのだってそうだ。自分が弱い姉を守ってやるから、代わりにその血まみれの美しい顔を見せてくれればいい。白い肌に、炎を閉じ込めたような橙の瞳。緩く癖のある、紺色がかった黒髪。自分と造形はさほど変わらないはずなのに、それらが鮮血を被った姿にどうしようもなく心奪われた。弱い姉は自分と一緒にいるためだけに生まれたと思っていたから、何も疑問に思うことはなく血を浴びせた。どうにもそれがにとって恐怖であり苦痛だったらしいというのは、再会した今になって知ったことだが。少し残念に思うと同時に、成長した今でなければわからなかったことを知れたからこれはこれでいいと思う気持ちもあった。少なくとも今目の前で、息を乱して涙を堪える姉の姿も美しいと思っている。
「あっ……んん、」
胸元に押し付けているせいで顔は見えないが、エンカクの胸元がじわりと湿るから泣いていることはわかる。指を噛んで声を抑えようとするから、「そういうのはやめろ」と噛み跡のついた指を捕まえて丁寧に舐ってやれば指を噛むのはやめた。エンカクの唾液で濡れた指を口元に押し当てて必死に声を堪える様子は、いじらしくて健気だと思う。初めてだという姉にできる限り優しくしてやっているつもりだが、どう触っても嫌々をするように拒むばかりだ。子どもっぽい反応だが、本当に男を知らないのだと思えば悪くはない。仕方がないから、まずは性行為に慣れさせようと姉の薄い腹に押し付けたそれを何度も擦り上げては腹の上で熱を放った。嫌がるの腰を抱え込んだまま薄くも柔い腹でモノをしごいて、中に自身を収めればここまで届くのかと考えてはまた理性が焼き付くような熱を感じて。数度の射精で汚された姉の服は白くべたべたと濡れていて、まるで既に犯されたあとのようだ。姉の手を握って無理やり触れさせたりもしたから、余計に抑えが効かなかった。すべすべとした頼りない手が自分のモノを包み込む感触に、言いようのない昂りを抱いて。もっとも姉はその行為にも怯えて泣いていたから、何度か出した後に手は離してやったのだが。べとべとと白濁に塗れた手は、庇うように胸元で握り締められている。抵抗しても無駄だとようやく理解したのか、縮こまってただ必死に耐えようとしている姿は自分の弱さを知っている生き物のそれだった。
「なあ、」
手も腹も、エンカクの唾液やら精液やらで汚されて。貪るように、何度も唇を奪われて。泣きながら弟に屈従する姉の姿に、興奮を覚えないわけがない。白い液体が伝い落ちていくタイトスカートをずり上げて、下着越しにぬちぬちと精液を擦り付けるように指を押し付ける。濃い性の匂いにあてられたのか、内側からじんわり濡れていることに言いようのない愉悦を感じた。
「逃げられると思ったか?」
耳元で囁けば、きゅうっとソコが収縮した。どうやら姉は怯えているらしい。ぬちぬちと下着越しに柔らかな割れ目を嬲り、耳に息を吹きかける。あの時は、本当に腹が立った。エンカクが強敵との死闘を楽しんでいた最中に、姉の気配が背後から失せて。何を勝手なことをしているのだと、振り向く余裕もなかった。が戦場からでなく自分から逃げたのだと気付いたときは、妙に心がざわついて。逃げた姉がどこかで野垂れ死んでいやしないかと、心配もしたものだ。自分の知らないところで、勝手に死なれては困る。自分たちは、同じ場所に還る生き物なのだから。不可分の生き物だというのに、それを理解していないどころか他人でいたがる姉を愚かしいと思う。頑なにエンカクとは違う生き物だと、だから一緒にいられないと弟を拒む姉が心底哀れだった。逃げられるわけがないだろうに。ひとつがふたつに分かれただけの姉弟なのだから、いずれまたひとつに行き着く。こうしてロドスで再会したのも、当然の巡り合わせだろう。
「お前の死に様は美しいだろうな」
睦言のつもりで囁いたのに、はびくりと震えてエンカクの胸を押す。頭を押さえる手を少し緩めてやれば、わずかに身を離してエンカクを見上げた姉の顔は真っ青になっていて。単に思ったことを言っただけのつもりだったが、何が不服だったのだろうか。昔からはすぐ泣くし、すぐ怯える。宥めるように髪を撫でると、は不可解なものを見るような目でエンカクを見上げた。
「ころ、すの……?」
「お前をか? そのつもりはないが」
「……?」
「殺されたいのか?」
「ち、違う……」
姉が望むのなら、その首を刎ねてやってもいいが。違うと言うのなら、特に今殺そうとは思わない。わけがわからないという顔をするの首に、鼻先を埋めて。冷や汗の滲む首筋をべろりと舐めると、また姉の体が震えた。呆れるほど、怖がりで弱い女。それなのに自分を殺したいのかと問うのだから、尚更わからない。エンカクがもしそれを肯定していたら、このほっそりとした白い首を大人しく差し出していたのだろうか。そう考えると、妙に昂った。
「っ、あ……!?」
タイツを破り、下着の隙間から指をねじ込む。柔い肉の上をぬるりと指が滑る感触に、思わず口角が上がった。下着のクロッチを軽く引っ張って布地を割れ目に食い込ませると、真っ赤な顔のが脚の間を押さえて庇おうとして。児戯のような抵抗を軽くいなして割れ目を何度か布地で擦ったあと、指先でソコを押し撫でる。小さくもぷくりと慎ましく存在を主張する陰核を探り当てると、「ひっ」と掠れた声を漏らしての体が震えた。背中は壁についているというのにエンカクの指から逃れようと後ずさるのを見て、そんなにイイのかと二本の指で挟み込んでくにくにと捏ね回す。愛液を掬い上げてぬるつく指の腹で擦られるのが堪らないのか、抱え込んだ腰がびくびくと跳ねた。
「ん、んんッ……ゃ、あっ!」
「敏感だな」
もう頭は押さえていないのに、声を漏らすまいと自分からエンカクの胸に顔を押し付けている姉の姿がいじらしい。くぐもった嬌声と湿った吐息が胸元で閉じ込められているのは、なかなかに悪くない心地だった。下着の中に突っ込んだ指でつぷつぷと膣口をほぐし、陰核を弄り回す。悶えるように腰をくねらせるの太腿を、愛液で濡れた指で撫でた。生々しい温度と粘ついた感触にびくついたの体は可哀想なほど震えていて、エンカクが腰を抱いて支えていなければとっくに床に崩れ落ちていただろう。細いヒールの足元がふらついて、無意識だろうが上半身はもうほとんどエンカクに縋るように預けきってしまっている。自分を暴いて踏み躙っている男に縋らなければ立っていられない姉の弱々しい姿に、ぞくりと背筋が震えた。じんわりと僅かずつ、けれど絶え間なく滲み出す愛液で下着は既に用を成さないほど濡れそぼっている。異物を固く拒んでいた狭い入り口も、指先を何度も出し入れすることでようやく指を一本ゆっくりと押し込めるくらいには拡がって。やだ、とこの期に及んで往生際悪く拒む姉の言葉は無視をした。弱い姉は昔から、耐えるか逃げるかという選択肢しか知らない。逃げ道が塞がれれば、それ以上酷い目に遭わないように蹲って耐えるばかりだった。言ってしまえば、押しに弱く流されやすい。殺されるよりはマシだと、最悪と現状を天秤にかけて耐えてしまう。それはが今弟に殺されることさえ想定しているということを意味しているが、それは別にどうでもいい。が害されることに死に物狂いで抵抗したのはあの日のたった一度きりで、それも理解はできないが姉はそういう生き物だと思うことにしたのだ。アーツも本人の気質も、他人を傷付けることに向いていない。そんな姉が自身の命と尊厳を天秤にかけて前者を選ぶのも、そういうものだという認識だけはしていた。弱く、抗うことすら恐れる姉は奪われることに慣れすぎている。エンカクを拒むのなら、あの日男を殺したようにその手を振り上げればいい。姉が自分の敵になるなら、殺意を向けるのなら、それはそれで構わない。その首を刎ね、美しい生首を抱えてひとつに還るだけだ。だが、抗わないならそれは受容だろうとエンカクは思う。あるいは、許容ですらあると。本当に受け入れられないものにすら蹂躙されることを許すような生き物ではないと、エンカクは知っている。姉に受け入れられ、許されていると、この行為を通じて実感している。にとっては弟への捨てきれない情であったが、エンカクにとってはそれが姉の愛情の証左だった。
「……まだ狭いか」
「っ、もう、やだ……!」
二本目の指を挿れようとして、中の狭さに片眉を上げる。襞を擦り、押し拡げるように関節を曲げると、が泣いているような震えた声を上げてエンカクに縋りついた。嫌だと泣きながらも自分にしがみつく姉はもう、その矛盾に気付くこともできないほどいっぱいいっぱいになっているのだろう。大人びた綺麗な外見に反して姉にはどうにも子どもじみて稚いところがあるから、時々小さな少女を宥めているような気分になる。両手は下半身に回してしまっているから、鼻先で額を小突いて顔を上げさせた。涙で潤んだ炎色の瞳が、ゆらゆらと不安げに揺れている。
「エンカ、ふ……ッ?」
口付けて呑み込んだ言葉は、きっと抗議か何かだったのだろう。また唇を合わせて、あやすように息を分け合う。姉の瞳に映っているのは、戸惑いと拒絶、それから怯えだ。それでも、嫌悪の色は無い。弱くて脆い、哀れなサルカズ。花のように美しいこの姉も、最後は風の中に散っていく。いつかは死ぬことだけが、自分たち姉弟に唯一等しく与えられた『絶対』だ。わかり合えないから、息と熱を共有して。灰になって混ざり合ったその時には、違う生き物であったことなど些末なことだろう。緩く息を奪うだけの口付けを繰り返し、くったりと力の抜けていく姉の体を深く抱き込む。膣内から陰核の裏側を突き上げるように何度も指先を押し当てると、ぎゅうっと痛がるように収縮していたナカが潤んで蕩けていく。小さな突起の皮を剥いて丁寧に揉み潰し、膣内の指をぐるりと大きく動かせばの吐き出す息も次第に熱を帯びてきた。細い脚はガクガクと震えていて、産まれたての仔鹿のように哀れっぽい様相だった。一度イかせてやった方が楽かと陰核を弾いたり摘んだりと弄り回すものの、経験が無いからか怖がっているからか上手くイけないようで。真っ赤な顔でつらそうにビクビクと震えている姉を見ていると、少し可哀想なような、それでいて尚のこと虐めたくなるような気分になる。かといって前戯を切り上げて自身のモノを受け入れさせるにはまだ狭いだろうと、周囲に横暴さを印象づけている男とは思えない丁寧さでナカを広げていった。くちゅくちゅと音を立てて浅いところを掻き回し、今にも気を遣りそうなの意識を絶え間ないキスで繋ぎ留める。痛いほどに張り詰めたソレを時折腹に擦り付けどうにか理性を保つのが、まるで獣のようだと思った。
「や、ぁ……ンっ、」
ようやく二本の指を受け入れたそこに根元までずぷりと埋めては、ナカを擦りながら引き抜く。ぐぽぐぽと聞こえる水音が堪え難いのか、指が苦しいのか、顔を背けて口付けから逃げたが不意に喘ぎ混じりの吐息を漏らす。その声の甘さに、ぞくりと背筋が震えて。理性がジリジリと焼け落ちていく音が、聞こえたような気がした。
「……はっ、」
興奮が、短い息となって口をついた。その声に反応したがエンカクに視線を向けて、また怯えたような顔をする。きっと、死闘の最中のように愉しげな顔でもしているのだろう。昂揚と焦燥に笑みが浮かんでいると、自分でもわかる。姉の薄い腹に指先を添え、心の追いつかないままに性感を引き摺り出され、行き場の無い熱を抱え込んでいるであろうそこをゆっくりと円を描くように撫でた。ぞわっと肌を震えさせたを見下ろして喉奥でくつくつと笑い、片脚を持ち上げるように太腿を掴んで脚を広げさせる。はしたない格好をさせられることには真っ赤になって脚を閉じようとするが、危うい体勢のままバランスを崩し転びそうになっただけだった。ほとんど壁に押し付けるように腰を押さえ、片脚を上げさせて。不安定な体勢を強いられ必死に壁に手をついて倒れまいと堪えるは、本当に綺麗だ。弱くて、不自由で、呆気なく死んでしまいそうなところが美しい。硬く張り詰めた陰茎の先端を下着の隙間からねじ込み、ぬかるんだソコに押し当てる。戯れにそのままずるりと前後に腰を揺すれば、最後の一線を超えようとしていることに気付いたのかエンカクの胸に手をついて押し退けようとして。声にならない声で、必死に制止の言葉を紡ごうと震える唇を開閉させている。いつもは伏し目がちの目が大きく見開かれ、大粒の涙がぼろぼろと零れて。ぐいぐいと、エンカクにしてみれば笑ってしまうような非力さで胸を押すの白衣が肩からずり落ち、ノースリーブのインナーから伸びる白い肩や腕が薄暗い部屋の中で艶めかしく浮かび上がる。嫌だと、頼りない体の全てで訴えていた。けれど止める理由などあるわけもなく、脚や腰を掴む手に力を込める。愛液と先走りを混ぜるように何度か擦り付けた後、ひと息にずぷりと剛直を押し込んだ。
「……ッ、……っぁ……!!」
「ふ、っ……」
はく、と小さな唇が酸素を求めるように動いた。みちみちと、まだ開き切っていない膣道を強引に押し広げて陰茎を埋めていく。よく濡れているとはいえ狭い膣内は、エンカクを拒むようにぎゅうぎゅうと押し返そうとして。の持ち上げられた足に引っかかっていたパンプスが床に落ちて転がり、ぎゅっと丸まったつま先が宙を掻く。「はっ、あ、」とどうにか息を吸い込んだが、苦痛を逃がすようにエンカクの腕に縋り付いて。限界まで見開かれた目は、何も映していなかった。
「ぃ、たい……!」
「力を……っ、抜いていろ、」
「……ゃ、ぬいて……、いたい……」
太腿に、赤い血が伝っている。ぎゅっと目を閉じたの眦から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちていった。それでも湧き上がるのは庇護欲より支配欲なのだから、自分は本当に碌でもない人間なのだろう。純潔だった証が、目の前で白い太腿を伝い落ちていく。源石を腕に突き刺したときと同種の、けれどそれより遥かに大きい興奮で、姉のナカに埋めた陰茎の質量が増すのがわかる。「んんッ、」と苦しそうに呻いたの体は、圧迫感と痛みですっかり強ばってしまっていた。紛らわせてやろうと顔を寄せるが、キスを嫌がって顔を逸らして。それでもまだ半分ほどしか収まっていないそれをこのまま受け入れるのはつらいだろうと、冷や汗の滲む首筋をべろりと舐めた。びくりと震えた柔らかい白い肌に舌を這わせ、血管を探るように軽く歯を当てる。頸動脈を捉えてかぷりと甘噛みすると、面白いほどに怯えて肩を跳ねさせた。そのままやわやわと首筋に歯を立てて舐めてを繰り返すうちに、ゆっくりと体が弛緩していく。急所を抑えられた被捕食者そのもののような反応に、思わず口角が上がった。
「あっ……!?」
強ばりが解けていくのを見計らって、ぐり、と腰を押し付けるように残りの熱を埋めていく。膣内は変わらず狭いままだが、愛液が十分に溢れているのを潤滑剤にして奥まで押し込んで。姉の中が、自分の形に押し広げられていくのがわかる。言いようのない興奮に、挿入の途中で射精してしまわないかという馬鹿げた心配が頭をよぎった。
「……ん、ぅ、」
首筋に吸い付いたり、食んだり舐めたりを繰り返しながら腰を進めているうちに、ふとが苦痛だけではない声を上げて。結合部を見下ろせば、ほとんど根元までエンカクのモノがしっかりと埋まっていた。ぎちぎちと膣内を埋めている感覚は決して悪くなく、耳元に口を寄せて「入ったぞ」と囁いてやる。ふるりと震えたの額に、汗が滲んでいて。瞼に伝い落ちていくそれを舌先で舐め取ると、閉じられていた瞳がゆっくりと開く。エンカクを見上げる炎色の目は、恨みがましげなようにも、呆然としているようにも見えた。
「ぁ……、うそ」
「…………」
「ど、して……」
「また『どうして』か」
いくつ理由があればいいんだろうな、とエンカクは独りごちる。譫言のような姉の言葉に、深い意味はないのだろう。ただ、弟と過ちを犯してしまった事実を受け入れられないだけだ。それでも、繋がってなお違う生き物だと突きつけられているようで。怖々と下腹部を見下ろしたの顔が、くしゃりと歪む。少なくとも姉に自分という存在が決して忘れられない形で刻まれたことに、心の昏い部分が満たされるのを感じた。姉はエンカクのことを許さないだろうが、それが何だと言うのだろう。女として姉を求めたことに、後悔や罪悪感はなかった。胎に埋めた熱が、ずくりと疼く。腕で顔を隠して泣き始めたに苛立ちにも似た感情を抱いて、繋がったソコを突き上げた。
「あ、……ふっ、」
「声を抑えるな」
「っ、やだ……」
緩く何度か前後させて、浅いところを反り返しで擦るように腰を動かす。まだ上手く性感を拾えてはいないものの、反射的に声は漏れるようで。歯を食いしばって堪えようとして、呼吸も覚束なくなっている。無理に抑えずに声を出せばいいとは思うものの、は嫌々と首を横に振るばかりだ。そう言うのなら仕方がないかと、エンカクは無遠慮に腰を打ち付けた。華奢な腰を逃がさないようにと掴んで、子宮口を抉るようにぱんぱんと突き上げる。繋がった部分からぐぷぐぷと愛液やらが飛び散って、の下着も破れたタイツも惨憺たる有様になっていた。
「はッ……ふ、ンぅ、」
「……っ、」
下手くそな呼吸に、時折甘い吐息が混じる。狭い膣内の収縮に耐えながら、もっと声を上げさせようと浅い場所を小刻みに何度も突く。時折ゆっくりと奥まで押し込んで、愛液を掻き出すように襞を抉りながら引き抜いて。かと思えば勢いよく腰を打ち付けて、マーキングするように先端をぐりぐりと子宮口に擦り付ける。「あ、っん、」との口から漏れる声が次第に艶を帯びてきて、けれどはそれを厭うように必死に口を閉じようとしていた。
「弟のモノで、ちゃんと感じられてるじゃないか」
「ち、が……ぁッ、いや……っ!」
揶揄に反駁する姉の言葉には、まったく説得力がない。よほど顔を隠している腕を掴んで表情を暴いてやろうかと思ったが、口元しか見えないのもそれはそれで掻き立てられるものがある。ぐちゅ、と淫猥な水音が示すように、ソコはもうすっかりエンカクを受け入れて熱く濡れた襞を絡み付かせている。健気にエンカクという「男」を覚えようとしている様はいじらしいのに、姉はそれを認めようとしない。壁に押し付けられて身動きの取れないは、エンカクに突き上げられるままに体を震わせて。案外喘ぎ声も子どもっぽいなと、泣いていなければ甘えているようにも聞こえただろう嬌声に目を細めた。姉の心のいちばん深いところは、まだあの頃の戦地で迷子になっているのかもしれない。姉をそういうふうに歪ませたのが自分だと思えば肌を焦がすような熱がこみ上げて、欲望のままに一際強く腰を打ち付けたのだった。
201106