「ぅん……、あっ……」
ふわふわと、意識が雲の中を漂っているかのようなまどろみ。少し掠れた甘えるような声が、誰のものかなどわかっていなくて。お腹の奥を溶かすように、とろとろとしたぬかるみを生温かくて柔らかいものがかき回している。焦らすようなじりじりとした熱は心地よいけれど、どこか苦しくて。きゅうきゅうと縋るように柔らかい熱を締め付けてしまった。もじもじと腰が動くのを宥めるように、熱い手のひらが這う。その温度に不思議なほど安心して、身を委ねるように力を抜いた。
「……、」
面白がるような笑い声が、聞こえたような気がした。くぐもったそれは、耳よりもむしろ腹の底で響いて。ぴく、とつま先が反射的に動く。「ゃ、」とむずかるような声が自分のものだと、喉が震えたことにようやく気付いて。
「……?」
ぼんやりと、重たい瞼を上げる。回らない頭と霞む視界で、自分が眠っていたということすらゆっくりと思い出す。胸元に妙な開放感と、何かがずれて肌を擦る煩わしい感触。ぱちりと瞬きをするけれど、部屋の中は暗くて何も見えない。ぬるりと濡れた熱がソコを這って、「ぁん、」と鼻に抜けるような声が漏れた。
「……っ!?」
その甘ったるい声が自分の喉から漏れたものだと一拍遅れて気付いて、驚きに跳ねた心臓が一気に目を覚まさせる。わけのわからないままに身を引いて縮こまろうとするが、へたりと力が抜けてしまっているかのように体は動かなくて。それに、何かが脚を抱えるように押さえている。暗闇の中で下半身を捕らえられているということに寝起きの回らない頭でパニックを起こしかけたが、ずりゅっと生温かい粘膜が擦れる感触に追い討ちをかけられ「ひぅッ!?」と上擦った声が上がった。
「あッ、なに……!? いや、っ……!!」
股の間を、柔らかくて生温かいものが這いずり回っている。ぴちゃぴちゃと、淫猥な水音を跳ねさせながら。柔い肉の花弁を無遠慮にむしゃぶられ、あられもない声を抑えることもできない。膣口の周りを焦らすようにつついたかと思えば、小さな突起をいたぶるように撫で回されて。びくびくと悶えながらも反射的に押し退けようと手を伸ばしたのと、「起きたのか」と低い声が鼓膜を震わせたのはほとんど同時だった。
「……え、んかく……?」
暗闇に慣れてきた目が、うっすらとその輪郭を捉える。脚の間から顔を上げた弟の目は、炎のようにギラギラと熱が籠っているように見えた。
「な、に……? なんで……」
さあっと顔から血の気が引いていく。腹の底だけがじくじくと、熱を孕んで疼いていた。大きな熱い手のひらが、するりと内腿を撫でる。眠っている間に弟に嬲られていたのだと、鈍い頭がやっと理解した。ヒュッと引き攣った音を立てて、喉が震える。捕食者のような弟の目に見据えられて、この場合の被捕食者が自分なのだと嫌でも理解してしまう。ホックを外されて首元にずり上げられた下着も、軽い虚脱感と甘ったるい倦怠感の纒わり付く下半身も、眠っている間いいように体を弄られていたという事実だけを示していて。怯えて身を縮こまらせたを、エンカクはじっと見下ろしている。が目覚めたから行為を止めたというよりも、反応を見て次はどこに喰らいつくか思案しているような表情だった。
「やだ……」
咄嗟に口を突いたのは、もう何度口にしたかもわからない拒絶の言葉だった。唾液なのか愛液なのかもわからない液体で濡れそぼって気持ち悪いそこを庇うように手を伸ばして、下着が脱がされていることに気付く。寝間着代わりのワンピースは捲り上げられて、がばりと脚を大きく開かされていたことに狼狽えて慌てて閉じようとした。もっとも、弟の腕が脚を抱え込んでいてそれは叶わなかったが。泣きそうな顔で「嫌」と身をよじるを嗤うように、エンカクは抱えた太腿に噛み付いた。
「んッ……」
「……嫌だと言うわりには、ずいぶん良さそうにしていたが?」
「だって、ちがう……ゃ、あッ!?」
「何が違うんだ?」
くちゅりと、熱い指先がそこを撫でた。好き放題弄ばれてすっかり潤っている割れ目は、つうっと撫でられただけでじんじんと疼くようにを苛む。眠っていた間のことは生理的な反応にすぎないと頭ではわかっていても、あまりにも説得力のない反論だと自分でも思えてしまって。それでも、違うと言いたかった。もうしないでと懇願したの言葉を聞き入れてくれたから、こういうことはしないでいてくれたとばかり思っていたのに。逃げたりしていないのにどうしてこんなことをするのかと、そう問う間もなくエンカクは再び脚の間に顔を埋めた。
「やッ、やだ……そんな、ぁっ、とこ……」
「今更だな、あれだけ善がっていたというのに」
「ちが、う……ッ、ん、」
意識のない体を好きにされて善がっていたとは認めたくなくて、必死に首を横に振った。それでもぬかるむそこに舌を這わされれば、呆気なく喘ぎ声を漏らして身を震わせてしまう。執拗に舐め回されて何度もイかされていた体は、の意思に反してエンカクの舌に悦ぶような反応を示す。つぷ、と膣内に舌を挿入されて、ぞわぞわと背筋に形容し難い熱が走った。襞をかき分けるように奥まで生温かいものが這って、別の生き物のように好き勝手動き回る。身悶えしてどうにか耐えているうちにやっと舌が引き抜かれて安堵したはずなのに、胎の底が寂しがるようにきゅうっと収縮した。羞恥も恐怖も押し流されてしまいそうなほど、咥え込まれたソコから耐え難い熱と疼きが背筋や腹の奥へと広がっていく。弟にそんな場所を舐められて死んでしまいそうなほど恥ずかしいのに、舌先が濡れた肉をかき撫でていく感覚にはしたない嬌声をあげてしまう。これでは本当に無体を強いられて悦んでいるようだと、ぽろぽろと熱い涙が溢れて。じゅる、ぴちゃ、と耳を塞ぎたくなるような淫猥な音が耳を犯す。じゅぷじゅぷと唾液を押し込むように舌が膣口を前後して、恥ずかしさのあまり意識が遠のきかけた。あるいは気絶してしまった方が、楽だったのかもしれないが。ぞわりと胎を震わせるその感覚が気持ちいいなどと思いたくない。眠っている間にすっかり性感を教え込まれたそこが、物足りないと言わんばかりにヒクヒクと痙攣していても。弟に貪られて嬲られることにどうしようもなく感じてしまっていると、それを認めてしまえば何かが壊れてしまいそうな気がした。ぞくぞくと胎を犯すその熱が怖くて腰を引かせようにも、すっかり力の入らない体は言うことを聞かない。蕩けたそこをじゅるりと啜られて、ほとんど泣き声のような喘ぎを漏らした。ひっきりなしに嬌声を溢れさせながらも「やだ」「ちがう」とうわ言のように繰り返すを、エンカクは容赦なく責め立てていく。びくびくと肌を震わせて悶えるの限界が近いのを見てとると、あえて触れずにいた陰核にぢゅっと音を立てて吸い付いた。
「ふぁ、あッ……!?」
びくん、と細い体が波打つように大きく跳ねる。ふわっと意識が遠のくように、頭の中が真っ白になって。ぐったりと力の抜けた体は、意識を押し流した何かの余韻で時折ぴくりと震えた。目を白黒とさせて困惑しているは、エンカクが再び陰核に吸い付くと怯えたような声を上げる。
「ゃ、いま、……へんなの、こわい……」
「イくのは初めてだったか?」
「……っ、いく……? や、あ……」
そういえば達したのは意識のある中では初めてかと、エンカクは面白がるように片眉を上げた。敏感な場所に口を付けたまま喋ることにが嫌がるように腰を浮かせるが、叱るように舌先で陰核をつつけばびくっと跳ねて腰が落ちる。ぐすぐすと泣きながら怯える姉は、十人が見れば十人とも守ってやりたいと思うのだろうが。手を止めるどころかむしろ先ほどよりも追い立てるように、感じやすい肉芽を舌先で弾いては唇で挟んで扱いたりと虐めてみる。構われないことを不満に思っているかのようにひくりと震えた膣口には、骨ばった指を押し込んで。悦んで根元まで指を咥え込んだ下の口は、嫌々言いながら喘ぐ上の口よりずいぶん素直だ。舌で散々解した肉襞は、とろとろに潤って柔らかく貪欲にエンカクの指に吸い付く。健気な反応を褒めてやるように陰核の裏側をグリグリと擦れば、きゅううっと膣内が大喜びで収縮した。
「あ、ぁ、……ッ、はぅ、んッ、やだ……っ」
「とても嫌そうには見えないが?」
「ッ、ほんとに、いや……ぁ、も、無理……!」
「それはイきそうだと言うんだ」
「い、きそ……? んンっ……」
無知な姉に、ぞくぞくと昂りを感じる。達する感覚をどう言ったらいいのかわからずに嫌だの無理だのと言っていると思えば、素直ではない言葉もずいぶんと可愛らしい。指を締め付ける媚肉は時折ひくっと蠢いて、未知の感覚に怯えて拒む意識がなければもうとっくに果てているのだろう。舌と指で追い立てながら、くぐもった声で「イきたければイけ」と背中を押す。グチュグチュと、そこはもうはしたないほどに水音を立てて愛液を溢れさせていた。
「ぁ、んっ……こわ、い……ッ」
「俺がいるのに、何が怖い」
往生際悪くイくのを拒もうとするに囁いて擽るように脚を撫でると、それが引き金となったのかぶるりと大きく身を震わせて達した。慣れていない女に酷なことをした自覚はあるが、ぼうっとした顔で放心している姉を見下ろしていると罪悪感すら興奮へと塗り変わる。はぁはぁと息の荒いが呼吸を落ち着けるのも待たず、その体をうつぶせにひっくり返した。とうにはだけているワンピースの裾を更に捲り上げて、小さな白い尻を剥き出しにする。
「……え、」
上り詰めた意識が降りてきて、僅かに理性を取り戻したのだろう。戸惑うような声をあげて振り向いたが、腕に力を入れて身を起こそうとする。手早く自らのズボンを下ろし、起き上がろうとするの肩を掴んで押さえつけると、華奢な背中にのしかかるようにして挿入した。
「ふあッ……!?」
さすがに十分潤っていたそこは、ずぷっと呑み込むように難無くエンカクのモノを受け入れる。初めてのときはあんなに苦しそうにしていたとは思えないほど、蕩けきった肉が嬉しそうに陰茎を咥え込んだ。ぎゅっと肩に力を入れて堪える姉の顔の横に手をついて、腰を上げては打ち付ける。傍から見れば獣の交尾のような、どこか原始的で荒々しい行為。頬を寄せるように顔を近付けると、姉はふわふわとした甘ったるい泣き声を上げていて。本当に、綺麗で大人びた容姿に見合わない子どもじみた喘ぎ声だ。弟に犯されるのが気持ち良くて泣いているのかなどと揶揄すれば、本当に泣き出してしまうのだろう。それでも、普段は上司や弟の保護者のように扱われているのこんな稚い姿を知っているのは自分だけだ。そう思えば気分も良くなって、縋るように締まる襞を掻き分けて最奥を突き上げた。喉を反らして「ぅんッ」と良さそうな声を上げたの髪が首筋から流れてうなじが露わになり、汗ばんだ白い肌が誘うように暗闇の中で浮かび上がる。肘をついて姉の背中にほとんど胸を押し付けるように密着したエンカクは、がぶりと柔らかい肌に噛み付いた。
「ひゃんッ、」
きゅっとの体が強ばり、狭い膣も収縮する。噛まれることにも感じるのか、うなじや肩に赤い歯型が散らばるたびに不規則に内壁がうねって。消えかけていた鬱血痕を塗り替えるように吸い付くと、びくびくと体全体が震えるのがよくわかる。片手を胸元に突っ込んで柔らかな膨らみを揉みしだくと、いよいよ耐え切れなくなったのかエンカクの体の下でが細い脚をばたつかせた。
「や、だめ……っん、エンカク……!」
「どうした? 『ねえさん』」
「……~~っ、いま、呼ばないで……ッ」
不埒な行為をはたらく手を押さえようと襟元に潜り込む腕を掴んでいたは、耳元で囁かれた言葉にびくんと震えて耳を押さえる。白い耳が真っ赤になっているのは暗闇の中でもひどくわかりやすくて、エンカクは笑いを堪えきれずに「ははっ」と獰猛に口の端を吊り上げた。
「俺の姉がこうも淫乱だとはな」
「っ、ちが、だって……はぅッ、」
「ほら、『姉さん』、違うと言うならもう少し堪えてくれ」
ぽろぽろと泣きながらシーツに顔を押し付けるを、エンカクは愉しそうに責め立てる。ぐりぐりと浅いところに亀頭を押し付け、乳首を指で挟んでくにくにと揉み潰し。真っ赤になった耳に舌を這わせてべろりと舐めると、引き剥がそうとしていたはずの腕にぎゅうっと抱き着いては必死に声を堪えた。きゅっと乳首をつまみ上げると痛いと泣くから、そう言うわりにナカを濡らしたことは指摘せずに丁寧に指の腹で撫でてやる。もうただエンカクの腕に縋っているような細い腕は、非力な抵抗すらできずふるふると力なく震えているだけだった。淫乱だと笑ったのは単に姉を虐めたかったからだが、ひんひんと泣き喘ぐ姉を見ているとあながち間違いでもないのではないかと思う。ずいぶんと敏感な性質らしく、数日前に処女を失ったばかりとは思えないほど良い反応をするのだ。もっともそれは、犯しているわりに執拗な前戯を強いるエンカクのせいもあるのかもしれないが。それにしてもずいぶんつらそうだと、可哀想なほど泣いている姉を見下ろしてまた嗜虐心が鎌首をもたげた。
「っ、ぁ……!?」
ずん、と腹の奥に容赦なく昂りを打ち付ける。女にしては長身とはいえ、エンカクから見ればは小さい方だ。当然体格差もそれなりにあり、最奥を手加減なしに突き上げると胎をいっぱいにされる感覚に耐えかねて苦しそうに喘ぐ。労わって大切にしてやるべきなのだろうが、泣きながら嬌声をあげている姉を見ているとどうにも嗜虐心の方が勝るのだ。愛らしくて、いじらしくて、もっと泣かせてやりたくなる。きちんと子宮口でも感じられるように躾けてやれば、もっと良い反応を見せるのだろう。深く刺し貫かれては引き抜かれて、まるで責苦にでも遭っているかのようにぼろぼろと涙を零して震えている。どうやら自分は、血を被った姉と同じくらいに泣いている姉のことを綺麗だと思っているらしい。こんなにもただ誰かに奪われるだけの生き物が、弱さを恥ずかしげもなく晒して泣いている。他人であればどうでもいいはずのことが、それがだというだけでひどく興奮した。涙と血は同じものだというから、或いはそのせいなのだろうかと馬鹿げたことすら考えた。昂りのままにじゅぷじゅぷと抜き差しを繰り返し、子宮口を叩くように先端を押し付ける。摘んだ胸の飾りをぐにぐにと捏ね回しながら律動を速くすると、掠れた喘ぎ声と危うい呼吸が白い喉から漏れて。
「っ、く……エンカク……」
自らを犯す男の腕に縋って、は『弟』を呼ぶ。力なく顔を上げたが、わずかに首を回してエンカクを見上げた。激しい抽迭に身を震わせながら、溶けそうなほど泣いている顔を晒して口を開く。
「……おねがい、……やさしくして……」
「……っは、」
思わず、笑い声が零れた。それは嘲りではなく、愉悦によるものだったが。身体は好き勝手をされた相手に屈従し、抵抗も儘ならず無体を強いられて。弱い姉には、懇願という選択肢しか残されていなかったのだろう。ここまで酷いことをしてもまだ、あの日のように自らの手を汚すことよりも弟に慈悲を乞うことを選ぶ。本当に、殺したくなるほどいじらしい生き物だった。自分と同じ血が流れているはずなのに、どうしてこうも弱すぎるのだろうか。愉快でたまらなくて、エンカクは震えながら自分を見上げる姉に口付けてやった。重ねるだけのキスを幾度も与えてやりながら、突き上げる速さを緩めてやる。怯えるようにぎゅうぎゅうと締まっていた内壁が、怖々と収縮を繰り返して。頭をそっと撫でてやれば、きゅうっと甘えるように襞が蠢いた。
「いい子にできるじゃないか」
姉に対して、幼子をあやすような言葉が口を突く。はまだ怯えた顔でエンカクの様子を窺っていたが、弱い場所を何度か軽く突いてやればすぐにまた理性が溶けたように泣き出した。くちゅくちゅとぬかるみをかき混ぜるように腰を動かすと、快感を堪えるように口を引き結ぶものの良さそうに腰をくねらせる。まったく可愛らしいことだと思いながら耳や胸を愛撫してやれば、イきたそうに膣内がひくひくと震えて。
「なんだ、またイきたいのか?」
「っ、ん、」
言葉を飲み込んだのは、ついさっき許しを乞うたばかりの相手に嫌だの違うだの反駁できないからだろう。それでも自分が快感を求めているように言われるのは受け入れ難いらしく、ぎゅっとエンカクの腕に強く抱き着いたの耳は真っ赤に染まっていたが。これはこれで昂るものがあるのだが、これ以上虐めてはさすがに可哀想だろう。甘やかすようにイイところを突いてやれば、呆気なく達して膣内を震わせる。甘さの交じる吐息が抱き締められた腕にかかって、ぞわりと震えた背筋につられるようにエンカクも熱を吐き出した。
「あ……」
とぷとぷと胎を満たしていく白濁に、達したあとでどこか虚ろな目をしたが小さく喘ぐ。もじ、と内腿を擦り合わせたに、ごくりと喉が震えた。
「……?」
ぐったりと脱力しているの体を抱き起こし、膝の上に抱えるように座らせる。胸にもたれさせて腰を掴むと、行為が終わるわけではないと察したがまた泣きそうな顔で何か言いたそうにエンカクを振り返った。まだするのかだとかせめて休ませてほしいだとか、その表情はあまりにも雄弁にの心情を訴えていたが。素知らぬ顔をして、エンカクはの耳を柔く食んだ。
「優しくしてやるから、安心しろ」
ぽろりと落ちた涙を舐めて、掴んだ腰をゆっくりと上下させる。戦いのあとの熱を姉で発散しようにも昂る一方なのではないかと、今更なことに気付いてエンカクはひとり笑ったのだった。
201203