「ぅんッ……」
　これで何回目だろう、沸騰フットーしたみたいに茹ってるアタマにぼんやりとそんな言葉がよぎった。またイく寸前で止められて、拗ねたみたいに顔を背けてしまう。宥めるみたいに柔らかい尻尾が腰を撫でてお腹がゾワっとしたけど、すぐにそれどころじゃなくなった。また、先っぽ、いじらないで、
「あッ、だめ、」
「」
　身を捩らせようとしたら名前を呼ばれるから、動けなくなる上に背中がゾクゾク震える。私ってペッローじゃないはずなんだけど。鳥って躾けられるんだ、自分のことなのに他人事タニンゴトみたいに思う。シルバーアッシュの膝の上に向かい合わせに座ったまま挿れられて、敏感なところをいじられながら時々揺するみたいに突き上げられて、イきそうなところで止められる。そのたびにお腹の奥がきゅうって寂しがるみたいに震えて、また優しくグリグリって奥を擦られて、気持ちいいのが頭をおかしくさせる。大きな手のひらがおっぱいを掴んで、指で乳首を挟んで擦るみたいに揉まれる。もう片方の手は仰け反って逃げようとしてるみたいな私の背中を抑えてて、気まぐれに突き上げられる私のおなかの熱をどこにも逃してくれなかった。シルバーアッシュがナカでイくことを私に教えたせいで、期待してるみたいに子宮しきゅーはすっかり降りてきてる。ただでさえいろんな意味で大きいシルバーアッシュに挿れられると私のおなかはいっぱいになってしまうのに、こんなふうになると私からソコを押し付けて早く早くってねだってるみたい。いつもなら子宮口しきゅーこーにちゅーするみたいに優しくとちゅとちゅ突き上げてくれるソレはぴったりと先端をくっつけたまま動いてくれなくて、ねぇはやくって甘えるみたいに私のナカはうねって吸い付いてしまう。ずっと気持ちよくて背中のぞわぞわが止まらないのに、ずっと気持ちいいせいでおなかに熱いのがぐるぐると溜まって、苦しいくらいに。どこにも行けない熱が溢れるみたいに、目尻に涙がじんわり溜まっていく。いっそ自分で動いてしまえばいいのかな、って腰を上げようとしたら「駄目だ」って抑えつけられて、悪い子だって言うみたいに喉をやんわり噛まれる。私、シルバーアッシュがぐわって口をおっきく開けるの見るだけでドキッとしてしまうんだけど、変態なのかな。これが性癖せーへきってやつなの？　わかんないよ。おっぱいをむにゅむにゅ揉まれて、先っぽをくすぐられるみたいに指先や指の背で撫でられる。首を舐められたり、頭羽に息を吹きかけられたり、その羽を鼻先でかき分けられて露わになった耳を食まれたり。そのたびにおなかの奥がむずむずして、ちゃんとここを構ってって抗議コーギするみたいに熱く、きゅうって疼く。その訴えをいちばん感じてるはずのシルバーアッシュは私のことをじっと、今にも噛みつきたそうな目で見ていた。
「エン、シオディス」
　噛み付いてくれればいいのに。齧っちゃってもいいのに。そんなふうに『恨みがましげ』に見るけど、ナカのソレがどくんと脈打っただけだった。あなた今ちょっとこーふんした？　ぐちゃぐちゃになりかけた頭がちょっと苛立った。私今あっちもこっちも気持ちよくてぐちゃぐちゃになりそーで、うっすら涙なんか滲んでて、いっそ助けてほしくて恨めしくて睨みつけたのに、そんな私見てこーふんするってちょっとひどくない？　いじめっ子？　でもそんなの言葉にする余裕がない。全力で走った後みたいに息が荒くて、触られるたびに「あっ」とか「ひゃんッ」とか鼻に抜けるような声しか出ない。繋がってるソコはシルバーアッシュのモノが大きいせいで少し呑み込みきれていなくて、突き立ってる根元にてらてらと愛液が伝っていた。欲しくて、足りなくて、腰がもじもじと動いてしまう。
「……どしたら、いいの……」
「お前はもう知っているだろう？」
　シルバーアッシュが言った通り、察しのいい私はわかってた。シルバーアッシュは言葉がほしい、私が縋るのを待ってる。イかせてって、そうお願いしたらたぶんすぐにでもイかせてくれる。いつもみたいに、頭がふわふわするくらいに優しく。でも私はそっぽを向くみたいにしてシルバーアッシュの胸に顔を埋めた。そういうこと言うのが恥ずかしかったのもあるし、シルバーアッシュはこういうことだとだいたい私に甘いから（今はなぜかイジメられてるけど！）、なんだかんだで仕方ないなって言ってくれそうな――ちょっと甘く見ていたのだ。
「……そうか」
　ゾクッて背筋が震えた気がした。怒ってるとか失望したとか、そう言う声じゃないのに。むしろすごく楽しそうな――わくわくしてるみたいな、そんな声なのに、そんな声だから、私はビクッと肩を跳ねさせて思わずシルバーアッシュを見上げていた。
「ンっ、」
　その顎を掴まれてキスをされる。シルバーアッシュの舌って口の分大きくて、お行儀がいいから普段はわかりにくいけど今はセックスの途中で、当然お行儀なんてものはどこかに行ってる。口の中を舐め回すみたいに舌がいっぱいに入ってきて、私の小さい口なんてすぐに占領されてしまった。どうしたらこんなに器用きよーに舌を動かせるのって思うくらい口の中でにゅるにゅる動いて、臆病に引っ込んでた私の舌を絡め取って引き摺り出していく。そういえばキスの上手な人って口の中でナントカの茎を結べるんだっけ、とかすごくどうでもいいことを思い出してたらクリをぐにっと押さえられて大きい声が出た。
「んンッ、ぅ、ん゛〜……ッ！」
　挿入ってるから敏感になってるのに、繋がってるとこの縁をなぞるみたいにして触られて、掬った液体でぬるって滑らせるみたいにクリを撫でつけられて、腰がビクビク跳ねる。私がちょっとぼけっとしてたのを見透かして咎めるみたいにキスも激しくなって、声も出せないくらいになって、それなのに下をいじり回す指はほんとーに器用で背中から頭にゾクゾクが駆け上がっていくのが止まらない。顎を掴んでた手がゆっくりと頬っぺたを撫でてくれて、シルバーアッシュの手も熱いんだけど、私の頬もすごく熱くなってて、なんかもう私の体温は五度くらい上がってるんじゃないかって思うくらいだった。すり、って耳を微かな力で撫でられるのが怖いくらい気持ち良くて、「あ、イけそう……」って目が潤んで、それで。
「ふゃッ……」
　耳に触れていた指先が止まって、しゅんと萎むみたいな声が出た。下の方も、クリを掠めるみたいにして指が離れていく。シルバーアッシュが顔を上げると私は腰を浮かせないと自分からキスもできないのに、全然下半身に力が入らなくて追いかけることもできない。けど拗ねる暇もなく今度は腰を掴まれて、私の腰を上下させるみたいにして突き始める。おっきいソレが気持ちいいとこを押し潰すみたいに奥まで入っていって、ぐいっと奥を押し上げて、ギリギリまで引き抜いていくときに反り返しで抉られるみたいにナカを掻き回される。何度もそれを繰り返されて、「これ」が好きな、好きだってこの人に覚えさせられた私の体はどうしようもなく喜んでしまって、いつもみたいに登り詰めようとしてしまって、けど、今のシルバーアッシュがそれを許してくれるわけもなくて。
「うぅんッ、」
「……は、」
　シルバーアッシュも堪えるみたいな声を漏らした。この人の我慢するような声、初めて聞いた気がする。けどこの人の我慢強さって尋常じんじょーじゃなくて、すぐにまた私の中で動き出した。
「あ、ああッ、……ゃあッ……」
　べろ、と大きな舌がおっぱいを舐め上げるみたいに肌の上を這った。さっきまで指でいじられてたからぷっくり立ってるそれを、舌先で押し潰すみたいに舐められる。ちゅうって吸い付かれたり軽く歯を立てられたり、その軽い痛みを慰めるみたいにまたぺろぺろ舐められたり。反対側も放って置いてはくれなくて、代わりばんこみたいに舐めたり吸われたりされる。そのたびにおなかはきゅんきゅん疼いてシルバーアッシュのモノを締め付けて、子宮口の周りをぐいぐい突いてくるソレを歓迎カンゲーするみたいにずっぷり呑み込んでしまって、抜かれるときはいかないでって甘えるみたいに絡み付いて。もう意地なんて張ったって仕方ないのに、私の口は鍵がかかったみたいに「イかせて」のひとことだけが言えない。ただほとんど泣いてるみたいにひんひんあんあん鳴くばっかりで、私、人の言葉忘れちゃったのかなって思うくらいだった。
「……ふ、ぁ……？」
　腰の動きがぴたっと止まって、私の口からどこか間抜けな声が出る。腰を掴んでいた腕が片方、おなかとの間に入って。またクリをイジメられるのかなって怖くなって腰が引けた私のおなかを、優しく手の甲が撫でた。
「あ、っふ、」
　性感帯せーかんたいなんてそんなとこにないはずなのに、ぞくぞくって耳まで気持ちよさで震えた。頭の中がふわっと浮いたみたいな錯覚サッカクまでした。だめ、って私の頭のどこかが言った気がした。これ、だめ、
「……〜〜ッ！」
　シルバーアッシュは少し指を曲げただけだった。ほんのちょっと、人差し指の関節がおなかを押しただけ。それなのに、おなかの底がぞわぞわって揺れて、あれ、今私イった？
「あ、だめ、エンシオディス……ねぇ、だめ……」
　変なとこ入ってる、そう私の軽い頭は訴えてた。なんか変なとこ、変なイキ方してる、これだめって、それだけが頭の中をぐるぐるしてて、シルバーアッシュは優しい目をしてるのに、その指を止めるどころか耳に息を吹きかけてきた。柔らかい刺激で首のあたりがゾクっとして、それでまた軽くイッてしまう。きゅうって締まったおなかがモノの形に勝手に感じて、それでまた――
「あ、あ、はぁぅ……」
　シルバーアッシュの膝の上で、私はふるふると全身を震わせていた。変なところに入ってしまった感覚が戻ってこれなくて、うわ言みたいな喘ぎ声が口から漏れていく。イってるのに、ずっと熱の凝っているつらさから解放された感じが全くしない。むしろ間違ったところに転げ落ちちゃったみたいな、うまく言えないけど、「違う」ってことだけはわかった。やだ、って思ったら目からぽろっと涙がこぼれ落ちてた。やだ、これやだ。ねぇシルバーアッシュ、
「たすけて……」
　私のものじゃないみたいな、すっごい弱気な声が出た。
「やだ、たすけて、エンシオディス……」
「……ああ」
　イかせてってちゃんと言えなかったのに、シルバーアッシュは満足そうに頷いてくれた。さっきまで子どもをあやすみたいな顔をして私をいじめてたのに、目が今まで見たことないくらいぎらぎらしてた。ぽろぽろ溢れる涙をべろって舐めてくれて、それで。
「……うゃんッ！」
　どちゅ、って勢いよく突き上げられた。ゆっくりぜんぶを掻き回すみたいなさっきまでの動きと違って、気持ちいいところだけ何度もグリグリ責め立てられる。口が近付いてきたからキスしてくれるのかなって思ったらかぷって鼻先を噛まれて、耳を舐められて、首に歯を立てられる。そこを歯で押さえられると本当に食べられちゃうみたいで、怖さの混じったドキドキで心臓が鼓動を速くする。血流がドクドクとうるさくて、そんな状態でおなかの奥をどちゅどちゅと突かれたら簡単にイってしまった。さっきのふわふわした怖いイき方じゃなくて、おなかから頭まで突き抜けるみたいなはっきりしたイき方。頭が真っ白になって、気持ちいいこと以外わからなくなって、シルバーアッシュにしがみついて喘ぐ。溜まりすぎた熱を齧り取るみたいに執拗に奥を擦られて、ぜんぶあげてるのにまた気持ちよくて熱くなって、これってもしかしなくてもキリがない。更には食べた分のお返しと言わんばかりに熱を吐精だされて、どろどろのおなかの奥はもう収拾がつきそうになかった。
「エンシオディス、エンシオディス……」
「……愛らしいな」
　迷子の子どもみたいに泣いてると、シルバーアッシュがふっと笑った。尻尾が腰に絡みついて、「」って呼ばれてびっくりするほどにおなかが疼いてまたイってしまう。でもそれが嫌じゃなくて、そんな自分に戸惑う。私を宥めるみたいにして、やわやわと肩を噛まれる。シルバーアッシュって噛むのが好きなのかなって思って、私が「ぜんぶ食べちゃっていいよ」って言い出したことを思い出した。
「ぜんぶ、食べた……？」
「……いいや」
　おそるおそる聞くと、シルバーアッシュはまたちょっと怖い感じに笑った。まだ全然食べ足りないらしい。またイジメられるのかなって思って、おなかの奥がきゅっと締まった。私、この人にイジメられるの好きなのかな、それってマゾって言うんじゃなかったっけ。そんなこと考えていられたのも一瞬のことで、視界がぐるっと回ったかと思うと私はいつの間にかシルバーアッシュを見上げていた。膝の上から下ろされてシーツの上に押し倒されたんだって、気付いたのは数秒あとのことだった。
「お前はまだ余裕なようだからな」
　私、最中に余計なことを考えるクセを早急さっきゅーに改めた方がいい。そう反省したのは翌朝のことだし――その反省がその後活かせたのかは『言わずもがな』だった。


230512