※現パロ
の恋人は、福本という物静かな青年だった。より幾許か年上の、見上げるほどに背の高い青年だ。近所に住むを幼い頃から知っていた福本は、年頃になっても子供っぽいをどうしてか気に入り、交際を申し込んでくれた。恋に恋する年頃だったは、近所の『憧れのおにいさん』からの求愛を迷いもせず受け入れたのだった。もっとも今となっては、もすっかり福本自身に恋をしているわけではあるが。
「ちょ、ちょっと、ふっくん! 返してよ!」
だがは今、ふっくんこと『福本のお兄ちゃん』を前にすっかり困り果てていた。テストが近いため頭の良い福本に勉強を教わろうと福本の部屋を訪ねたのに、福本はの参考書を取り上げ高く高く掲げてしまう。いくらぴょんぴょんと一生懸命跳ねたところで、同年代の女子の平均にも満たない低身長であるが、すらっと背の高い福本から参考書を取り戻せるわけもなく。取れるものなら取ってみろとでも言いたげに参考書を持つ手をぶらぶら揺らす福本は無表情を貫いているが、必死なの様子に内心ではテンションが上がっているに違いなかった。福本は寡黙で少々天然気味であるが故に一見実直だったり穏やかだったりに見えるが、その実相当に性格が悪い。しょっちゅうこうしての物を取り上げては、取り返そうとするが身長差故にただ飛び跳ねることしかできないのを存分に眺めて、満足するまで返さない。そんなに小さい自分が四苦八苦するところを見るのが楽しいのかと問うたとき、可愛いのだという答えが返ってきたからも福本の悪癖を嫌いになりきれずにいた。
「……ああ、もう、知らない!」
とはいえ、毎回毎回そんな福本の悪戯に付き合わされていてはとて怒る。ぷいっとそっぽを向いて、福本のベッドにぼふっと飛び込む。勉強もできないし不貞寝してしまおうかと低反発の枕を抱き寄せると、福本の大きな手がぺらりとスカートを捲った。そして、見た目にそぐわない大人っぽいデザインの下着(福本の趣味で贈ったもの)に包まれた臀部を鷲掴みにする。低い体温が尻に食い込む指から伝わって、の背筋がぞわりと粟立った。
「うゃッ!? な、なにするのふっくん!」
「したいのかと思った」
「そんなわけないよね!」
「ベッドに入っただろう」
「ふて寝だよね! 私は勉強がしたかったの!」
尻を揉む福本の長い指先が、内腿の際どいところへと食い込む。慌ててその手を掴むもちっとも制止にはならず、逆に福本の手を自ら押し付けているような絵面になってしまう。真っ赤になって慌てふためくに福本が覆い被さり、顔の横に両手をつく。福本の体にすっぽりと覆われた形になったは、じっと静かに見下ろされて思わず抗議の言葉を飲み込んだ。
「どうしても駄目か」
「……う、」
うつ伏せのまま、は福本から目を逸らす。福本の真剣な表情に弱いから、いつも結局言うことを聞いてしまう。けれど今日ばかりはやはり勉強が大事だから流されてはいけないと、目を逸らしたまま「駄目」と言おうとしたの頬に手を当て、福本はぐいと顔を覗き込んで至近距離で囁いた。
「俺の目を見てくれ、」
「……ず、ずるい」
ぼふっと頭に熱が上って顔が真っ赤に染まる。惚れた弱みというのはお互い様のはずなのに、は福本のお願いに首を振ることすらできないのだ。顔を両手で覆ったのそれを了承と捉えたのか、福本は機嫌良さそうにの服を剥がしていく。うぅ、と恨めしそうに呻くではあったが、福本にキスを落とされ無抵抗でされるがままになる。福本のセックスは執拗で長引くため、今回のテストは諦める他あるまい。今度絶対に高いケーキを買ってもらおうと密かに決意したの耳元で、ふっと息を吹き込むように福本は囁いた。
「考え事をしている余裕があるのか」
ぞわっと、お腹の奥底が震えた。頭の中が真っ白になって、考えていたこと全てが熱に流される。福本はがどんなに乗り気でなくとも、囁き一つで欲情させてなされるがままにしてしまう。悪い男に捕まってしまったと、気付いたときには既に遅かった。
「ぁ、」
今ではもう、肌に触れられただけで期待するような声が漏れてしまう。福本に拓かれ育てられた体は、すっかり福本の好みに染まり切っていた。大きな手が背後から脇腹を伝って胸を撫で、控えめな乳房を揉みしだく。無防備な背中を、福本は舌先で舐め回していたぶった。すらりとしているが筋肉質な体は重く、上から覆い被さられては小柄なはほとんど身動きが取れなくなる。シーツと自分の胸に福本の手を挟んでどうにか動きを止めようとするが、福本は器用に指先を動かしツンと硬くなった乳首を連続で弾く。高い声を上げて背を反らしたを逃がすことなく、福本の指は執拗に敏感な先端を撫で、つつき回し、揉み潰す。逃げ場のないが何度も肩を跳ねさせひっきりなしに喘ぐ姿を見て、福本は口元に歪んだ笑みを浮かべる。それがに見えないのをいいことに、福本は片方の手を胸から離して下腹部に這わせた。
「っ、あ、」
するすると何度か薄い腹を撫で回してから、割れ目を下着越しに中指でなぞる。湿った感触に、福本よりもむしろの方が反応を示した。もう既に濡れてしまっているそこは、どう言い訳しようとの欲情が高まっていることを露呈していて。ぷくりと布の下から存在を主張する陰核を、福本はトントンと指先で叩いた。
「……っ、」
福本は、何も言わない。ただ、が感じているという事実だけを突き付ける。余裕など初めからないのに、それを削ぎ落とすだけでは飽き足らないのがこの性悪な男だ。羞恥の涙を零すが最早抵抗の真似事すらできないことを見透かして、福本は下着をずらし指を襞に滑り込ませた。
「あっ、ああッ、」
すっかり濡れている内壁を暴かれて、の喉からはあられもない声ばかりが漏れていく。体格の小さいのそこは浅く、福本の長い指は容易に一番奥まで届いてしまう。福本の指先が子宮口を叩くと、子宮全体が震えるようにきゅうっと収縮した。それに連動して、膣も福本の指を締めつける。ふ、と吐息だけで笑うような音がの耳に届いて、胸を虐めていた手が優しくの頬を撫でた。ぬぷぬぷとの中を拡げていく太い指。頬を撫でていた指が、の唇を何度かなぞって口内に入り込む。くちゅくちゅと口腔を荒らされ、舌を嬲られて呼吸がおぼつかないを追い詰めるように、福本はぐりぐりと子宮口を捏ね回す。火のついたように熱い体は福本に服従しきっているのに、福本はそれ以上の熱を与えようとはしない。口から引き抜いた指は唾液で濡れていて、それが敏感な首筋を撫で回すのだから堪らなかった。
「や、ふっくん、やだ、」
「…………」
「ふっ、やだよぅ……、いじめないで、」
膣内のどこでが感じるか、どういうふうに責め立てればが達するか。知っているのに、わざと開発途上の子宮口ばかりを弄る。気持ちいいけれど、物足りない。弱火で炙られているような焦らされ方に、快楽への耐性がさほど高くないはあっさりと陥落した。
「ほしいよ、おねがい、ほしいの……ふっくん、」
「いいのか、」
白々しく問う福本に、はコクコクと必死に首を縦に振る。まだ精神的に幼く性に未熟な少女を捕まえて、その体を大人の手管で落としきった福本はしかし、その狡猾さをには悟らせない。ただ、なりふり構わずに求める自身をはしたないと恥じて涙を零すの姿に、ぞくぞくと昂るまま陰茎を宛てがう。引き抜いた指で硬く尖り立った陰核を押し潰すと、仔猫の悲鳴のような嬌声があがる。その声が福本の加虐心をちくちくと刺激したが、これ以上虐めすぎては幼いが壊れてしまうだろう。まだ壊すには勿体ないと、福本は小さな膣口に自身を捩じ込んだ。
「ぅあ、んんッ!」
きゅっとシーツを握り締め、突き入れられた熱を反射的には締め付ける。狭い膣を押し開いて突き進む陰茎が、の中を全て一緒くたに圧しながら蹂躙していく。本来福本の欲望を受け止めきれないはずの小柄な体は、無理矢理にどうにか収められてしまったそれをしっかりと呑み込んでいた。圧迫感すら快楽と感じるように調教された胎は、福本の陰茎をがっちりと咥えこんで離さない。僅かに腰を引いてみれば、ぬちゅっと音を立てて襞が追い縋るように福本のそれに吸い付いた。
「……貪欲だな」
「だって、ふっくんが、」
そう、福本がそうした。年下の小さな女の子を捕まえて、自分好みに体を拓いた。本人が自覚できないままに淫らに育てられた体はもう自身にもどうしようもなく、ただ福本の熱を求める。尻を高く突き上げさせるように腰を持ち上げると、繋がったそこがよく見えた。潤んで蕩けきったそこが、太い陰茎を呑み込んでひくついている。密着するように突き込むと、くぷっと卑猥な音を立てて愛液が溢れ出す。わざとゆっくりと掴んだ腰を前後させ、自ら福本を求めて腰を振っているような錯覚を与える。根元までしっかりと埋め込むと、ぽこりと腹が膨れるのがなおのこと淫靡だった。
「……きゃっ!?」
暫く後ろから犯すように突き込んでいた福本だったが、唐突にを抱き起こして座り込む。後ろから抱き込むようにを抱えると、小さいはすっぽりと簡単に福本の胸に収まった。繋がったまま体位を変えられたは、ぷるぷると震えながら不意に与えられた刺激を許容しようと荒い呼吸を繰り返す。けれど福本はそれを許さず、余韻の治まらないうちにの腰を掴んで上下させ始めた。
「ゃんッ! あぅ、ふっ、うんッ!!」
自分の体を良いように動かされて、堪らないのはである。玩具か人形のように、福本は軽々との体を持ち上げては下ろしてを繰り返す。ぐぽぐぽと抜き差しされる度に、求めたのはお前だろうと言外に突き付けられているような錯覚に囚われる。完全に福本のペースで貪られて、は呆気なく達したにも関わらずなお腰を振らされていた。
「ふっくん、こわれる、こわれちゃう、」
懇願するように声を絞り出すと、腰を動かす手が止まった。やっとまともに息ができると安堵したのも束の間、福本の手が結合部に伸びて陰核を弄り始める。反射的に逃げようとしたの腰を片手で難無く押さえ付け、福本はぬちぬちと指先で敏感な肉芽をいたぶった。人差し指と中指で挟み込んで、ぎゅうっと押し潰される。爪で軽く引っかかれたかと思えば指の腹で摘んで揉み回され、かと思えば触れるか触れないかというほどの微弱な力加減で撫で回される。逃げ惑うように腰を動かせば、嫌でも中の陰茎が奥に当たる。陰核を弄られるたびに、ぎゅっと膣内の異物を締め付けてしまう。柔い体をくねらせて快感から逃げようとするを、福本はじっと熱の篭った瞳で見下ろしていた。汗の浮かぶうなじにかぷりと噛み付き、ねっとりと舌を這わせる。腰を抑えていた手を胸に伸ばし、慎ましいながらも柔らかい乳房を揉みしだく。多方面から耐え難い快感を与えられ、理性の薄れたはやがて自ら腰を動かし始めた。逃げるように動いていた腰が、自ら良いところに陰茎を擦り付けるように動き始める。反り返しが弱い所を擦るのが良いのか、は腰を軽く浮かせてそこを前後させる。胸を弄っている方の腕に甘えるように細い腕を絡み付かせ、ぎゅうぎゅうと抱き潰すほどに力を入れる。そんなの様子に口の端を吊り上げた福本が、唐突にの中を突き上げる。凍り付いたように動きを止めたを二度三度と突き上げると、の体は一度仰け反るように緊張した後ぐったりと脱力した。ぽたぽたとの額から伝い落ちた汗が、福本の腕に落ちる。達した小さな恋人を抱き締めて、福本はその耳元で囁いた。
「ここで終わりにするか? もう大分辛いようだが」
無論、熱も放たないままに終わらせる気など微塵もない。福本の言葉に肩を震わせ振り向き、一瞬期待を裏切られたような表情をしたが、すぐにそれに気付いて恥ずかしさのあまり泣きそうになっているが、どのような答えを返すか解りきった上で問うている。ゆっくりと首を横に振ったはきっと、自分の意思でそうしていると思っている。福本にずっと陥れられ続けていることなど気付かずに。初めからずっと、恋人になったときからずっと、は福本の思うがままなのに。何も知らない恋人はどこまでも可憐で、愛おしい。福本の望む答えを返した良い子に、福本は優しく口付けるのだった。
170611
フリリク:現代パロディで福本さんと小柄な女の子のお話。可愛らしい傾向でも体格差故の大変さと恥じらいがある裏でも。