「ねえ、主の夢って何ー?」
甘えるように膝に擦り寄り、を見上げて蛍丸は問う。その白く柔い頬をぷにぷにとつついて、はうーんと首を傾げた。
「夢、夢かあ。考えたこともなかったなあ」
「ほんとに? 一度も?」
「ほんとうに。生まれた時からずっとここにいたし、ここのことしか知らないし。戦いのことしか考えられなくて、やりたいことなんて考えることも思いつかなかった」
「寂しい人生だねー」
淡々とした蛍丸の感想に、はあははと苦笑する。の膝枕にすりすりと頬を寄せた蛍丸は、どこかいたずらっぽい眼差しを宿して口を開いた。
「ねえ、なら俺と一緒の夢にしようよ。お揃いの夢」
「蛍丸の夢? どんな夢なの?」
「主と結婚する夢」
「わあ、蛍丸っておませさん」
「本気なのに」
くすくすと笑うに、蛍丸は頬を膨らませる。でもそれもいいかもね、と微笑んだに、蛍丸はきらきらと瞳を輝かせるのだった。
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