本当に、愚かなことだとはわかっていたんです。鵺様の心の中にいるのはまな様ただ一人で、私は代替え品ですらない、ただの部品だと。弐猫が繰り返してくれた忠告も、痛いほどにわかっていました。それでも、夢見ることを私の心はやめてくれなかったんです。
せめて、せめて私がまな様の部品になれたら。ひとりでここのつを集めきれなくても、それでもいい。私をひとつでも使ったまな様の再生が、どうか成功してくれたなら。そうすれば、鵺様が愛するまな様には、私が確かに息づいているから。ただそれだけを夢見て、私は弐猫の制止を振り切り、ここのつを集めたのです。
「これも失敗だな」
ぐちゃぐちゃの肉塊になって、最期に聞いた鵺様の声は、何の感慨も含んでおりませんでした。
160528