「結局ルビーの夢ってさ、強さなの? 美しさなの?」
唐突なの問いに、ルビーはその紅をぱちくりと瞬かせた。
「……美しさを備えた強さかな」
あの五十日の勝負だったはずの旅を経て、ようやくその答えに辿り着けたのだとルビーは笑う。あまりに逞しく成長した蒼の少女の姿を脳裏に思い浮かべて苦笑するルビーを見て、はどこかむくれたように唇を噛んだ。
「悔しいな、」
「何が?」
「ルビーがそう思えるように、私がしてあげたかった。それが私の夢だった」
ルビーの心を動かしたのは、サファイアのひたむきな想いだ。がしてあげたかったことを、結局彼女が成し遂げてしまった。それが悔しいと眉を寄せるに、ルビーは笑う。
「なんだ、そんなこと」
「なんだって、ひどいよルビー。私だってルビーのこと、本当に好きなのに」
「……どうして僕の周りの女性は、こうも憚りなく僕への好意を口にするんだろうね」
肩を竦めるルビーに、は頬を膨らませる。その頬をぷすっとつついて、ルビーは珍しく嫌味のない笑みを浮かべた。
「僕を変えたのは、僕の旅で出会った全ての人だよ。もちろん、君も」
「……!」
「ありがとう、」
だから、新しい夢を見つけなよ。その言葉に、の瞳から涙が伝い落ちた。
160528