「……ただ春の夜の夢のごとし、」
「なんですか? それ」
「平家物語の一節です」
「僕の前でそれを諳んじます? 源氏物語とかないんですか」
「あるじゃないですか源氏物語」
「あれは源氏違いでしょう」
「しかし与一さんはあまり春の夜っぽくはないですね。見かけはともかく儚くないというか」
「そりゃ僕は源氏ですからね」
「どちらかというと冬の朝の寝穢さというか」
「あはは、次に豊さんが暴走したらさんが止める役ということで」
170528
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