人を模した器を得てからそれなりの時が経った。
戦を厭う性情は変わらぬままだが、主をむざむざ死なせるくらいであれば幾らでもこの力を振るおう、そう思う自分がいることに気付く。
それはきっと、この自分の薄青の髪にそっと指を通す小さな少女がいとしくなってしまったからだと、自覚して嘆息した。
所詮は刀に過ぎない己が、随分人間くさくなったものだ。
 
150511
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