約束よ、とふっくらした唇が言葉を紡いだ。
絶対よ、破ったら許さないんだから。
紅い髪の少女に応えて、寝台の上の少女はか細い声で言う。
うん、絶対、紅玉ちゃんの結婚式、見に行くからね。
直後に激しく咳き込んで血を吐いた寝台の少女を、紅い髪の少女が抱き締めた。
 寝台の少女が病に冒され亡くなったのは、紅い髪の少女の出立の前夜のことである。
紅い髪の少女は主を無くした寝台の前で呟いた。許さないって、言ったのに。
 
150513
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