友達に連れられていったスクールアイドルフェスティバルで、私は天使を見た。
燦然と輝くステージの中で、一層輝くその人は、とても可愛らしくて、ひたむきで、高らかな声で希望を歌っていて。
 そしてその天使が今、私の目の前にいる。
 なんという奇跡だろう! この偶然のために私は今まで微塵も信じていなかったかみさまにだって信仰を捧げても構わない。
「あ、あのっ!」
「はっはひ! 何かご用でしょうか!?」
「えっと、あの、あの、スクールアイドルの、花陽さんですよねっ」
「えっ、はい! そうです!」
 ああ、こんな、手の届くところにいるこの人は、やっぱりたとえようもないほど可愛らしくて。
「お、応援してます、花陽さんのこと! 花陽さんの笑顔、好きなんです!」
 思いの丈をつっかえながらも言葉にしてみれば、その人は少しの間、あっけにとられたようにぽかんとした表情を浮かべて。そして。
「……ありがとうございますっ!」
 そうして、至近距離で笑ってくれたのだ。
 ああ、もう死んだって構わない。
 
150522
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