どうやらはディセンダーだったらしい。
人々の願い、祈り、可能性の体現。希望の具現。世界樹が生んだ人の意思の守護者。恐れを知らない無垢の魂。
 何だってできるし、何にだってなれる彼女は、けれどフレンにとっては何も知らないままに世界に放り出されたかわいそうな女の子のままでしかなかった。
人々の希望を負わされ武器を引きずって進むを、人の意思を守ろうとするを、ならば自分がを守ろうと。の世界を、自分が笑顔で満たしてあげられたなら。
 けれどそんなフレンの思いはどうやら少し思い上がっていただけだったらしい。
 の隣でその手を引いて微笑んでいるのは、彼もよく知る赤みがかった茶髪の青年。良く晴れた日の空より少し濃い青の瞳。
が口を開いてその青年の名前を呼ぶ。特別な響き。満たされた二人の世界。
(どうやら君が幸せになるために、僕は必要ないらしい)
 
150531
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