「バカみたいだよね」
「及川くんが?」
「なんでそうなるの」
「他にバカなんていたかな」
「酷くない? そうじゃなくて、俺のこと好きになる女の子たちが、だよ」
「私暇じゃないから帰っていい?」
「聞いて!」
「ガリガリ君で手を打とう」
「まったくちゃんてば歪みないんだから」
「それで、及川くんがバカだって話だっけ?」
「違うからね? 女の子たちがだよ? ちょっと俺の顔が整っててカッコ良くてイケメンだからって、手を振ったりニコニコするだけで及川さん及川さんってはしゃいでみせて、バカみたいだって思ったんだ。たとえば岩ちゃんが同じことしてみせたって、そんな風には騒がないだろうにって。酷いよね」
「Love is blind、ってやつだねえ。まあ岩泉への暴言は聞かなかったことにしておくよ」
「盲目なんて、目は開いてるのにバカみたいだよね」
「まあ、それを言ったら私もバカみたいな人間なんだけどね」
「え」
「じゃあねー及川くん。また明日」
「ちょ、ちょっと待ってよちゃん! それどういう意味!? ねえちょっと!!」
 
150612
BACK