「てかがモテるってのも今更な話だよな」
「そうでもないわよ、及川くんほど華やかな噂がたったりはしないし」
「華やかな噂って言うとなんか遊び人みたいだな」
「及川さんは! 皆の及川さんなんです!」
「うわー」
「いいか及川、お前の『モテる』は無駄に整った顔とアイドルみたいなパフォーマンスにキャーキャー騒がれるだけの『モテる』だ。対しての『モテる』は同性のような細やかさと気配りに加えて嫌味のない顔立ちにときめく『モテる』だ。この違いが判るか?」
「マッキーが俺のことどう思ってるのかはよく判った」
「つまり及川の『モテる』はに比べて実に中身がないってことだな」
「ちょっとそれ俺に失礼じゃない!?」
「そうね、及川くんもちゃんと想われてるわよ。この間なんか私のところに『及川さんのこと殴りたくて仕方ないんです』って思い詰めた表情の女の子が相談に来たくらいだもの。そこまで真剣に想われてるってことだわ」
「…………」
「……それは、負の方向の想われじゃないの?」
「えっくんその子どうしたの!?」
「鍛えてる男の子を殴ったりしたらあなたの手が傷付くから、とりあえず殴るのだけはやめておきなさいって言っておいたわ。じゃあ手紙にしますって言っていたから、今頃ラブレターを綴ってるんじゃないかしら」
くんのそれは天然なの?」
「天然だ、諦めろ」
「不幸の手紙が及川の下駄箱に投げ込まれるに一票」
 
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