「ていうかさ、好物がハヤシライスってのが既にムカつく!」
「及川さんは本当にお兄ちゃんが嫌いなんですね……」
「だってハヤシライスだよ!? 一見庶民派っぽく見せかけておいて、牛肉っていう肉の中でも割高なカテゴリオンリーのハヤシライスだよ! しかも他に入れるものって言ったら基本的に玉ねぎだけだから他の具材で誤魔化せるカレーやシチューと違って露骨に肉の量がわかっちゃう料理だよ!! そんなんが好きっておぼっちゃんか!!」
「うちはたぶん一般家庭ですけど……」
「でももうこの際ハヤシライスでも何でもいいからちゃんの手料理食べたい……」
「こ、これはお兄ちゃんが楽しみにしてるのでダメです!!」
「知ってるよ、あの隠れシスコンどうせ涼しい顔でロードしながら家でちゃんがハヤシライス作って待ってるの妄想して内心ニヤニヤしてるんでしょ知ってる!! ああ腹立つ! ちゃん今から及川さんちにおいで!」
「え、ちょっ、及川さん、腕、」
「わー及川さんが誘拐してるー」
「うわあ……」
「おいクソ川他校の下級生に絡んでんじゃねえよ」
「あいたっ!? 何すんのさ岩ちゃん!! 国見ちゃんも真顔で俺から目を逸らすのヤメテ! でも個人的には普通にドン引きしてる金田一に一番傷ついた!!」
「す、スミマセン」
「謝んなくていいぞ金田一、こんな不審者生ゴミと同じ目で見とけ」
「はい」
「なんで国見ちゃんがそれに返事してるの!? ねえちゃんひどいと思わな、い……」
「牛島妹なら帰ったぞ」
「ちゃんひどい!!」
「ひどいのはお前の頭だろ」
151016