「聞いてよ国見ちゃん」
「はい聞きましょうさん」
「昨日チャリンコでコケたんだけどさ」
「だからあれほどスマホ片手の運転は止めろって言ったじゃないですか」
「私が常に脇見運転してるようなこと言うのやめてよ私は無実だよ。歩道と道路の間の段差あるじゃん、歩道に入ろうとして段差に乗り上げたらタイヤが滑ってガッシャーンって」
「ああ、あの段差滑りますよね。頭は大丈夫でしたか」
「何か心配の仕方微妙におかしくない?」
「だってさんがこれ以上頭のかわいそうな人になったらゲフンゲフン」
「だからそれ誤魔化す意味無いからね? 頭は打たなかったけど膝思いっ切り打ってすごく痛かった。ていうか今でも痛い。段差恐怖症になるレベル。チャリ乗ってると段差近付けないくらい膝痛い」
「…………」
「おいなんで今私の膝つつこうとしたよ国見ちゃん」
「いや、今ここに立派な痣ができてるんだろうなと思ったらつい」
「ついじゃないよ何そのよくわからない出来心!?」
「今日一緒に歩いて帰りませんか、さん」
「そして唐突かつ脈絡のないお誘いの意味がわからないよ」
「また滑って転んで店の戦力に何かあっても困るので俺が転ばないように見ていてあげます」
「……あ、ありがとう?」
「お礼に疑問符つけないでくださいよ」
151020