「岩泉さんってさ、」
「? はい」
「結構おぼっちゃんだったんだね……」
「え? どこを見てそう思ったんですかさん」
「だって『洗濯物って風呂入る時にカゴん中放り投げときゃ畳んだ状態で手元に戻ってくるもんだと思ってた』とか言うんだよ? 一人暮らしして初めて自分で服畳んだとかおぼっちゃんだよ……」
「え、俺も同じように思ってましたけど」
「え?」
「ちなみに俺の家も岩泉さんの家もごく普通の一般家庭です」
「ダウト」
「いやいやむしろさんは実家住まいなのに洗濯物やってるんですか」
「いや普通に手伝わされるじゃん?」
「シンデレラですか」
「えー……これは地域性の問題なのか、たまたま岩泉さんちと国見ちゃんちが子どもに甘かったのか、それとも単に男女の差なのか……」
「さんちが厳しいだけですよ」
「だってお隣さん男の子だけど子どもの時から普通に服畳んでたよ? 高校の時なんか一つ上の先輩が脱ぎ散らかすから良妻のごとく片付けてたし」
「気のせいですよ」
「京治の存在が気のせいにされた……」
151025