※姉
「、エリナばあちゃんが呼んでたぜ」
「ありがとう、ジョセフ。でも名前じゃなくてお姉ちゃんって呼びなさいって、いつも姉さん言ってますよね?」
「いいだろォ、はなんだし」
「もう、エリナおばあ様にまた叱られても知りませんからね」
むうっと膨れたの頬を、ジョセフがプスプスとつつく。その手を退けようとしてが伸ばした手を、ジョセフが掴んでぎゅうっと握り締めた。
「………………」
深みを帯びた緑が、すうっと細まってを見下ろす。艶のあるブルネットを揺らしたが、不思議そうに首を傾げた。
「……ジョセフ?」
どうしたの? と問うように名前を呼んだに笑みを浮かべて、ジョセフは掴んでいた手をパッと離す。
「何でもないのよ、姉ちゃん!」
瞼の裏に隠れた緑の瞳がどんな感情を映しているのか、ジョセフはまだに告げる気はなかった。
160423