「ねえ京治、けいじ、どうして置いていっちゃったの、ひどいよ」
部屋に入った瞬間、ぼすりと飛びついてきた小さな体。それを難なく受け止めて、赤葦は柔らかい髪を撫でた。
「ごめん、木兎さんたちに急に呼ばれたから」
「前もそう言った……今日は一緒に帰るって、今日は絶対一緒に帰るって、けいじ言ったのに、うそつき」
「……本当にごめん、。明日は絶対一緒に帰るから。木兎さんたちに呼ばれても、絶対そっちには行かないから」
「……ほんとう? 絶対だよ、明日は絶対置いてかないでね、明日約束破ったら、わたし死んじゃうよ、かなしくて死んじゃうよ……」
「大丈夫、明日は絶対一緒に帰るよ。だからは死なないよね?」
「うん、死なない……京治がちゃんと一緒にいてくれるなら、死なないよ……」
「そうだね、は俺がいれば大丈夫なんだよ」
ぎゅううっと制服のYシャツに皺が寄るほど強く握り締められて、それでも赤葦は薄く浮かべた笑みを崩さない。自分がいなければ死ぬと言うほどに依存して弱っていくを見て、ひどく満たされていることに罪悪感など抱けなかった。
160424
リク:「赤葦とメンヘラヒロインちゃんとか読んでみたいです……;;」