※現パロ
※ショタ

   
 お隣の神永さんちの息子さんは、さながら天使のような子どもだった。
 くりくりとした利発そうな瞳に、木の幹の色をした柔らかな髪。お利口で活発で、可愛い神永くん。子どもらしい可愛らしさがぎゅっと詰まった、天使そのものだった。
おねえちゃん、ご本読んで?」
「……ロビンソンクルーソーとはしぶい趣味だね……」
 大きな瞳でじっと見上げられたら、何でも言うことを聞きたくなってしまう。自分のあげられるものは全て、このかわいい子どもにあげなければ罪だ。そんなことさえ思ってしまう。この幼さにして神永くんは自分の魅力とその使い方を自覚してしまっている。いいようにされているのはわかっていたが、神永くんが可愛いのだから仕方ない。神永くんが欲しいというのならアイスだってケーキだってぬいぐるみだってゲームだってテレビのチャンネルだって譲るし、公園でも図書館でも連れ回されたって構わないし、何時間膝の上を占領されたって、本の読み聞かせのしすぎで喉が痛くなっても気にならない。神永くんは可愛い。可愛いのだから仕方ないのだ。
「神永くんは、大きくなったらたくさんの女の子を泣かせそうだねえ」
おねえちゃんしか泣かせないからだいじょうぶ!」
「うん?」
 それは大丈夫じゃない気がするぞ神永くん。でも可愛い。可愛いから仕方ない。仕方ないのだ。
 
170516
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