BL エルヴィン・スミス 13 R-18
*注 リヴァイ×オルオです




ああ、今でも信じられない
憧れている人と、こんな関係になった事が
討伐数は褒められる事はあるが、話し方はイモ臭いと言われ、整った容姿でもない
それなのに――
首筋に触れる唇に、吸われる肌の小さな痛み
胸を撫でる手に、太腿を抱える腕
ギシッとベッドが軋み、開かれた脚の奥が粘着質な音をたてて自分の口からは信じられないくらい甘い声が漏れた

「あっ、うぁ――」
「……おい、そんなに締め付けるな」
「は、はい、兵長……っ」

覆い被さる小柄なリヴァイの筋肉の陰影が蝋燭の灯りに浮かび上がっている
それを涙で滲む視界で見つめ、続いて両手で目を覆った
彼が動くたびに埋められたものが内部の粘膜を擦り上げる
若くして分隊長となった親友の部屋から連れ出され、向かった先は談話室
そこにいた兵士を追い出して、ソファに座った彼の前に立ち、胸の内を白状させられて
その直後に床へと押し倒されて無理矢理体を繋がれて――

憧れていた
同性だというのに好意を抱いていた
同じ想いを彼も自分に抱いていた
でも、その行為は暴力的だった

服を無理矢理脱がせる手が
ベルトを外す指が
呼吸を奪うようなキスが
膝の間に割り入れられる脚が
そして、禄に慣らされもせずに突き入れられたそれ・・
全てが怖くて、そして、痛かった

回数を重ねるごとに痛みは緩和され、快感を得られるようにはなったが――

「あ、あぁっ……は、あ……!」

強く突き上げられ、体の奥から湧き上がる快感に耐えられずに達する
ビクッと膝が震えてシーツを強く握って
自分の腹部に己の体液が散るのを感じ、そして体内ではリヴァイの精が放たれるのが分かった
閉じた目から零れ落ちた涙を手の甲で拭い、呼吸を乱した兵長を見上げる
終わればいつも隣に横になり、抱き枕のような扱いで腕と脚でこちらの体を抱いて眠る彼
だが今日は果てたそれ・・を抜くこともなく深く繋がったままこちらを見下ろしていた

「……兵長?」
「オルオ」
「はい……?」
「てめぇは余計なところがに似ているな」
に、ですか?」
「……リヴァイと呼べ」
「えっ、呼んでるじゃ、ないですか。リヴァイ兵長」

相手の名を呼ばないとは違い、自分は初対面の時から彼の名を口にしていた

【リヴァイ兵長】

そう呼んで今もそうしているのに――
考えていることが彼に通じたのかリヴァイが小さく溜息をはいた

「兵長はいらねぇ。リヴァイだ」
「……」
「呼べねぇのか?」

言いながらリヴァイの手が頬に触れる
自分のものよりも小さく、細い指が濡れた目尻に触れ、鼻筋を通って唇へ
オルオはその感触に目を細めるとぐっと喉に力を込めた

「……リヴァイ」
「……悪くねぇ」

名を呟いた自分にそう言い、彼が体を支えていた左腕の肘を折り胸を合わせるように体勢を変える
近い距離で髪を撫でられ、唇を重ねられて
初めての時とは違う優しさを感じながらオルオは彼の背に腕を回した
筋肉の筋を辿るように手を滑らせると彼の体がぴくりと揺れる

「?……」
「オルオよ」
「なんスか……?」
「もう一度だ」
「……えっ、ですが、明日も早いので――」
「根性で起きろ」

そんなことを言っている間にも埋められたままのそれが、再び硬く、大きくなるのが伝わってきた
慌てて背から手を離し、彼の肩を掴むようにして押す

「ちょ、へい……リヴァイ……!」
「オルオ」
「あっ、な、なんス、か……」
「てめぇ、をどう思っている」
「は、あ……どう、とは?」
「好きなのか」
「へ?……好きか、あっ、嫌いかなら、好き、ですが……」
「……」
「あの、ですね、リヴァイ……うぅっ……は、ずっと同室で……俺が、あっ、あいつの初めての――はっ――友人、で」
「てめぇ喘ぐのか喋るのかどっちかにしろ」
「へい……リヴァイが、動くからッスよ……今は、動かないでくださいっ」

言いながら膝の角度を変え、脹脛でリヴァイの体を挟むように固定する
動きを封じると浅く呼吸を繰り返し、はあっと深く息をはいた
額に張り付く髪を手の甲で避けると近い距離にあるリヴァイの目を見る

は……俺が、泣いても笑わずに……一緒に、泣いてくれたんスよ……」

初陣の夜の事を思い返し、再び滲む涙で滲む視界
その先でリヴァイがほんの少しだけ、目を細めた
が泣いたなんて、信じられないだろうか
団長に呼び出された時に話したが、あの時はエルヴィンの表情の豹変に驚いてしまってリヴァイの方へ意識が向かなかった
彼はあのとき、どのような顔をしていたのだろう
なんとか思い出そうとしていると、リヴァイの指が目の下をなぞった
目を瞬くと溜まっていた涙が零れ落ちる

「次からは俺が」
「リヴァイ……?」
「泣いてやる」
「……そんな。泣くような、人じゃ――」
「てめぇの為に」
「っ……」
「泣いてやる、オルオ」

そう言い、体と寝具の隙間に腕を差し入れられた
サラサラの髪が肩にくすぐるように触れる
の手と同じように背を抱かれて、肩に触れるだけになっていた自分の手もリヴァイの背に回した

「……ありがとうございます」
「ふっ……脚を退けろ。動けねぇだろうが」
「あっ……はい」

リヴァイの腰の動きを封じていた両脚
力を抜き、膝を立てた状態で足を寝具に下ろす
腰が引かれ、再び埋められて
繰り返される動きに粘着質な音と、肌がぶつかる音が聞こえ、耳を塞ぎたくなった
リヴァイの背に触れる指先に力を込めてやはり感じる痛みと入り交ざる快感に耐える
だが容赦なく繰り返し突き上げられる動きに、内部を刺激されてぞくりと背筋を快感が駆けあがった

「あ、あっ――リヴァ、イ、俺、もうっ――」
「チッ、堪え性のねぇ……」

呆れたようにそう言う彼は、口元を緩めている
ああ、こんな風に笑いかけてくれるなんて
人類最強の男が、自分に向ける少し歪んだ愛情と微笑み
幸せだ――と思いながらオルオは彼の背に爪を立てて快感に背を震わせた


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「「なにがあったんだ」」

互いに顔を合わせたのと同時に漏れた同じ言葉
親友は自分の目の下に残る隈を見てそう言ったのだろう
対して自分は彼の首に残る跡に対してそう言ってしまった
寝不足なだけの自分とは違い、彼の首に残るのは指の跡
その大きさからどう見ても彼の恋人であるエルヴィン団長に――

「……絞められてるだろ、それ……」
「気にするな。嫉妬の末の行動だ。お前はどうしたんだ」
「気にするな。ただの寝不足だ。早朝から任務もあったしな」

言いながら彼が座るベッドの縁へと腰を下ろした
親友――が任務に出られない為に壁外での討伐に出る機会が増えている
討伐数が増えるのは良いが、やはり毎回命がけで
今日も早朝から壁外に出て屯する巨人を討伐してきたところだった
昨夜はあれから寝かせてもらえず、何度抱かれた事か
気付けば空は白んで、慌てて風呂に入って準備をして
おかげで一睡もしていない
まぁ、それはリヴァイも同じなのだが
いつもよりも鋭い目つきになってしまった兵長に他の三人の班員が少し怯えていたように見えたのは気のせいではないだろう
リヴァイは今頃昼寝をしているだろうか
自分はの様子が気になってこうして会いに来ているが

「お前、寝てないのか」
「あぁ……」
「寝て良いぞ」
「ここで?」
「エルヴィンは仕事に行った。どうせ、兵長は昼寝してんだろ」
「……悪ぃ、寝かせてくれ」

立って、歩いていれば眠気はなんとか堪えられた
だが座ってしまうともう立ち上がる気力もなく、勝手に目が閉じそうになる
の言葉に甘えてジャケットを脱いで側にあるイスの背に掛けた
続いてスカーフを外してジャケットの上に放る
立体機動装置を外し、床に置いてブーツを脱いでから毛布へと潜り込んだ
寝具の中はの体温で温まり、とても心地が良い
ぽふっと頭を乗せた枕からはなんだか良い匂いがした
どこかで、感じたことがあるような――何の匂いだっただろうか
そんな事を考えていると上体を起こしていたが隣に横になった
左腕を下にするようにしてこちらに体を向ける

「エルヴィンの匂いがするだろ」
「団長の……?」
「その枕。エルヴィンが使ってる」
「うえぇ……」
「はは、整髪料の匂いだ。俺は結構好きだぞ」
「あぁ……良い匂い、だな……」

そう言い、自分も彼と向き合うように体を横に向けた
絞首の跡が残る首元を見て、それから灰青の目を見る

「……リヴァイが」
「うん」
「俺の為に、泣いてくれるってさ」
「そうか」
「……幸せだって、思った」
「良かったな、オルオ」
「お前は、幸せか?」

そう言うとが目を瞬き、少し考えるように視線を落とした
左手で己の首に触れると残る痣をさすり口元を綻ばせる
長く尖った、まるで獣の牙のような犬歯がチラリと覗いた

「ああ、幸せだ」
「良かったな、
「サディストとサディストが上手くいくのかは知らねぇが」
「団長の前ではマゾになっておけ」
「はは……そうだな」

困ったように笑った彼が、首から手を離してこちらの目の下を――
昨夜、リヴァイがそうしたようになぞった
多少は男らしいが、綺麗な細く白い指
滑らかなその肌が撫でるように触れて誘われるように目を閉じた

「お休み、オルオ」
「……」

お休み、と自分は返すことが出来ただろうか
そんなことすら分からないまま、オルオは急速に感じてきた眠気に抗わずに意識を手放した


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腕を組み、じっとベッドを見下ろす
分隊長室に仮眠用として置かれているそれは大人であっても二人が易々と横になれる程度には広さがあった
自分の恋人であるは兵舎からこの執務室に荷物を移動させて生活をしている
その方が楽だからという理由で
そちらの方が居場所が分かり易いので構わないが――問題なのは今、目の前にある光景だった
体の左側を下にするようにして眠っている
恐らく骨折の痛みに耐えられずに飲んだ睡眠薬で眠っているのだろう
そして、その彼の隣で向き合うようにして眠っている同期のオルオ
制服のジャケットを脱いだ姿でベルトを装着したまま深く眠っているようだった
床に置かれた立体機動装置を見て、特別作戦班が早朝から討伐任務に出ていたことを思い出す
精鋭の彼がその程度でここまで疲れることは――と思ったが目の下の隈が酷いことになっていた

「……またか、リヴァイ……」

どうも彼は欲が勝って部下に無理をさせるらしい
少しは労わってやれば良いものを
だが、愛おしい者が手に入り、愛したいという気持ちも分かる
自分だってそうなのだから
相当疲れているようだから今は起こさずに二人とも寝かせておこう
そう思い、静かにベッドから離れて机に向った
持ち込んだ書類を手元に寄せて文字列に視線を落とす
だが、差し込む日差しの暖かさと微かに聞こえる二人の寝息に自分まで眠たくなってきて――
エルヴィンは眠気を追い払うために眉間を強く押さえた