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作品ID:195
こちらの作品は、「お気軽感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約4425文字 読了時間約3分 原稿用紙約6枚
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「少女の過去と空虚と結末。」を読み始めました。
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少女の過去と空虚と結末。
作品紹介
以前、書かせていただいた「雛祭り=大嫌い? 大好き?」の少女の過去にあたる作品です。
以前の作品では少女が何故女の子らしさを嫌うのか、という疑問に関しての文章が全くといっていいほどなかったため、この作品を生み出したわけです。
今回もまた少女中心に書いていきます、が少しだけ現実と過去を織り交ぜた〈ものすごく分かりにくいですが〉作品でもあり、
年齢制限が分からない作品でもあります。
以前の作品では少女が何故女の子らしさを嫌うのか、という疑問に関しての文章が全くといっていいほどなかったため、この作品を生み出したわけです。
今回もまた少女中心に書いていきます、が少しだけ現実と過去を織り交ぜた〈ものすごく分かりにくいですが〉作品でもあり、
年齢制限が分からない作品でもあります。
学校指定の鞄の中にある一台のポータブルCDプレーヤー。そこに繋がれたヘッドフォンは自分の両耳に当てられていて、そこからはとあるゲームに使用されているテンポ良い音楽が流れ出している。因みに音量は小さめにしている。
正直に言えば私は学校という存在自体、好きではなかった。今も好きじゃない。というよりも学校は以前は好きだった。だが最近になって好きじゃなくなった。
それは過去のとある一件が原因となっている。
この学校は結局、学校でしかなかった。生徒のため? 生徒の意思を尊重する? そんなの学校のイメージアップに繋がるだけの言葉。本当は、学校の実態は生徒の意思を尊重してなんかいない。生徒の事なんて後回しで、結局自分の身を守る事しか頭に無くて。
そんな頭が硬い連中の集まりなのだ。学校というのは。
そして私がそういう風に学校というのを捉えるようになったのも過去の一件があったからこそ。
この学校は、私や母である麗李 日向を見捨てた。いや、見捨てるべき存在だとしてもこの学校を許す事はできない。だから少しこの学校に対して復讐してやっただけなのに。
少し、学校を壊しただけなのに。なのに何で? 私は攻められる側の人間じゃない。だけどそんなのこの学校を外側からしか見てない奴らからすれば嘘の言葉になる。
「聖樹、今日確か……」
教室内に入るとこのクラスで唯一、私という存在を理解し母の事も理解してくれる友人が声をかける。そしてこの友人はクラスで唯一……クラスという存在自体を欺いている存在。
現在、私が所属するクラスでは私に対する何かが起こっている。
勿論、それは私に対する所謂『いじめ』というものだ。
主に同学年の2年生から。まったく、中学生にもなって、いや。中学生だからか。にしてもこんな陰湿なことやるよりもっと他のことやったほうがいいと思うんだが。
しかしそんなことを言っても、よりこの『いじめ』というのに勢いをつけるだけだから黙っておく。わざわざ自分で『いじめ』の勢いを加速させたくない。
「今日は日向さんの命日だよね。私も行く」
その言葉で現実へと戻る。そうだ。今日はこの友人よりも私という存在を知ってくれていて最後まで私を見捨てないでいてくれた母の命日。母は、この学校に殺されたともいっていい。だからこそ、私はこの学校に対して復讐を行わなければなかった。
いや、あんたは此処に居て。もし一緒に居るところが見られたらあの作戦が意味をなさないし、何より今まであんたに頑張ってきてもらったのが全て消えちゃうだろうし。悪いけど、一緒にはこないで欲しい。もしどうしても来るというなら……少し時間をずらしてくれたほうがありがたい。
「了解」
……でもそれも危ないかもしれない。できるだけ人目につかない時間帯を狙ってくれるといい。
「んじゃ今日も」
またか。いい加減この復讐を終わらせないと。
私に与えられた下駄箱になんというか。お決まりというか? いやお決まりじゃないか。……ご丁寧に茶封筒が入っていた。中身は見なくても分かってる。中身はどうせ、
茶封筒を開けると中には「どれだけ、折ったんだ……」と考えたくなるほど、カッターの刃が入っていた。逆さにすると何枚、何十枚という銀色の鋭利な刃が床に落ちる。
その一枚を手にとると玄関の目の前にある掲示板に向かって投げる。丁度、掲示板の前を通ろうとした同じクラスの女子生徒の髪の毛が切られ、そのまま掲示板に刺さる。
女子生徒はこちらに向かって怒った顔で歩いてくる。
「ちょっとっ! これ、貴女でしょ!? せっかく長く伸ばしてたのに……!」
学校側に訴えるつもりか?
「勿論。そんなこと聞かないでよ。以前から貴女のこと目障りだったの。丁度いい機会。この機会を作ってくれたことに感謝して学校側に貴女のことを進言しておく。まあ貴女にとっては全然良くないと思うけど?」
そんなことで、私をこの学校から追い出すつもりか?
「何よ、その、自信は……」
このような状況でも自信をもてるだけの肩書きがあるってことだ。では少しの間気絶してもらおうか。
耳に装着されたままのヘッドフォンを女子生徒に渡し、装着してもらう。そして素早くプレーヤーのCDを変え、音量を最大にする。
……現在、女子生徒の耳には怪奇な音楽が流れているだろう。それも耳障りな金属音。先ほどまでは普通の音楽がかかっていた。しかし今は違う。今は金属音が録音されたCDがプレーヤーの中で回り、金属音をヘッドフォンから流している。
やがて気絶した女子生徒からヘッドフォンを外し、CDをとりかえる。先ほどまで聞いていたゲームミュージックを再度かけなおす。
さて。ではこの金属音が録音されたCDの提供者に会うとするか。その前に、母のもとへと行くが。
灰色の墓石があたりを埋め尽くす。所謂墓地と呼ばれる場所に私は来ており、目の前には麗李家の墓と書かれた墓石が立ち尽くす。
先ほど、花屋で買った母が大好きな向日葵をお墓の前に捧げる。そして黙祷。その後はただ母の墓の前に座り込み母に向かって話すだけだった。時折、強い風が吹き自分の肩までしかない黒い髪がゆれ、それに呼応するかのようにきている学校の制服の青いチェックのスカートが揺れる。
そろそろ提供者に会う。
おい。シェリアは居るか?
「あ。聖樹さんだっ!」
シェリア。相変らず小さいな……。
「小さい言うなっ! 意外と気にしてるんですよっ!?」
分かった分かった。そういえばお前から貰ったあの金属音CD。役に立っている。
「おぉ! あのCDがですか。いやいや。この雪夏シェリアの力を用いればあんなの朝飯前ですよ。それに聖樹さんのこともありますし、何より日向さんの御遺志ですからね」
そう。母さんのね。あそうか。シェリアは一時期、母さんに育てられたんだったか。
「はい。そのときは聖樹さんは色々とお忙しい時期で、見事に会う機会なんてなかったわけですが!」
目の前に居るこの雪夏シェリアは女子生徒に使わせてもらったCDの提供者。まだ9歳の少女だが以前、少しの間だけだが私の母に育ててもらった事がある、まあ私から言わせてもらえば義理の妹にあたるような存在。そして9歳にしてはCDを製作するのが好きで学校の勉強はなかなかできるがその反面、運動はできないという少女だ。
「でも気をつけてください。聖樹さん。日向さんの御遺志は私にとっても大事なものですが日向さんが貴女の復讐を望んでいるかどうかは知りません。私に言えるのは、私にできるのは日向さんの御遺志と聖樹さんの意思を尊重することのみです」
シェリア。……ありがとう。
シェリアに別れを告げた後、私は予想できない事態に陥っていた。無自覚のうちに。
――あれからもう2年か。いやまだ2年といったほうが正しいのか。……シェリアも緋菜も、もう居なくなって2年。私は結局、復讐のために生きるほかない。
緋菜が、緋菜が? 嘘だろ? 緋菜が居なくなった? それってつまり死……?
今日、朝学校へと向かい、体育館で校長から告げられたのは緋菜、私のことをクラスで最大に理解してくれたあの緋菜の死。
自殺だと言われているが、どうせ、
昨日の女子生徒がこちらを向いて笑っている。
……あいつかっ! 緋菜を、緋菜を殺した奴は。昨日の恨みを緋菜の死で清算したつもりか!
相変らず、私の心は冷め切っていた。そして憤慨する心のどこかで確かに私の心は冷め切っていた。
この学校は腐りきっている。
「麗李聖樹。ちょっといいか?」
? どうした? 校長先生。
「いや、その、母親の事で。あとは君に関係していることだ」
私に? そして私の、母親のこと、だと?
「校長室に来てくれ」
校長室。私はそこでこの学校の真実を知った。
シェリアも? シェリアも死んだ? ありえない。おい。それだけか? それとも。
「それだけなわけない。そしてこれは麗李聖樹。君にも責任はある」
何だ。その責任とは。
「雪夏シェリアは君の母親、麗李日向の遺志を尊重していた。そのためシェリアは死んだ」
さっさと言え。
「アンタが復讐なんてしなければよかったのに。そうしたら緋菜だってそのシェリアだって死ぬことはなかったのに」
勢いよく振り向く。そこにはこの学校全生徒がいるかと思うほどの人数が校長室の前に集まっていた。そして言葉を発したのは私に先ほど笑いかけた少女。
「そういうことだ。雪夏シェリアは、君が復讐をした時点で死ぬことになった」
シェリアが? 私が復讐をした時点で死ぬ?
頭がぐちゃぐちゃになっている。分からない分からない。何もかも。
「アンタがこの学校に対して復讐をしたせいで雪夏シェリアは死んだ。そうアンタの母親が残したからね。遺書に」
遺書? 母の?
「これだ」
校長から渡された母の遺書。こんなものがあるなんて思わなかった。
内容は目を見張るものだった。
母の遺書には確かにこう書いてあった。
娘・聖樹がもしも学校側に対し、復讐を行った場合……麗李聖樹に加担した者は全員死。
そう、確かに母の字で書いてあったっ!
校長から生徒たちに振り向く。これを知っていたのか。お前たちは。
「まあ、校長から聞いた話だけだけど。でもこれを利用してアンタを消す事は簡単に想像できた」
「麗李聖樹。君は今日付けでこの学校を退学してもらう」
ささやかなる抵抗の果てに残るのは、
――ああ。そうか。私は、結局復讐のためにしか生きれないんだ。
ささやかなる抵抗の果てに残るは空虚と結末と一人の少女。
母にも何もかもに裏切られ、苦しんだ一人の少女のみ。
こうして、麗李聖樹は女の子らしさを嫌う原因を作り出し、それに出会ってしまった。
「ったく。退学しない代わりに……男装しろ? 何様だっつーの!」
学校近くの公園に設置されたベンチに座り、校長から渡された一枚の紙を見て苛立ちを隠せないままに声を荒げてしまった。
だが、自分が復讐なんてしなければ二人は死ぬ事はなかった。だからこそ、私は私じゃなくなるしかない。私は私で居てはいけない。それだけのことをした。
私が私で居られないと言うのなら、私は男性になるしかない。
――私はそうして、女の子らしいことを嫌ったんだ。
正直に言えば私は学校という存在自体、好きではなかった。今も好きじゃない。というよりも学校は以前は好きだった。だが最近になって好きじゃなくなった。
それは過去のとある一件が原因となっている。
この学校は結局、学校でしかなかった。生徒のため? 生徒の意思を尊重する? そんなの学校のイメージアップに繋がるだけの言葉。本当は、学校の実態は生徒の意思を尊重してなんかいない。生徒の事なんて後回しで、結局自分の身を守る事しか頭に無くて。
そんな頭が硬い連中の集まりなのだ。学校というのは。
そして私がそういう風に学校というのを捉えるようになったのも過去の一件があったからこそ。
この学校は、私や母である麗李 日向を見捨てた。いや、見捨てるべき存在だとしてもこの学校を許す事はできない。だから少しこの学校に対して復讐してやっただけなのに。
少し、学校を壊しただけなのに。なのに何で? 私は攻められる側の人間じゃない。だけどそんなのこの学校を外側からしか見てない奴らからすれば嘘の言葉になる。
「聖樹、今日確か……」
教室内に入るとこのクラスで唯一、私という存在を理解し母の事も理解してくれる友人が声をかける。そしてこの友人はクラスで唯一……クラスという存在自体を欺いている存在。
現在、私が所属するクラスでは私に対する何かが起こっている。
勿論、それは私に対する所謂『いじめ』というものだ。
主に同学年の2年生から。まったく、中学生にもなって、いや。中学生だからか。にしてもこんな陰湿なことやるよりもっと他のことやったほうがいいと思うんだが。
しかしそんなことを言っても、よりこの『いじめ』というのに勢いをつけるだけだから黙っておく。わざわざ自分で『いじめ』の勢いを加速させたくない。
「今日は日向さんの命日だよね。私も行く」
その言葉で現実へと戻る。そうだ。今日はこの友人よりも私という存在を知ってくれていて最後まで私を見捨てないでいてくれた母の命日。母は、この学校に殺されたともいっていい。だからこそ、私はこの学校に対して復讐を行わなければなかった。
いや、あんたは此処に居て。もし一緒に居るところが見られたらあの作戦が意味をなさないし、何より今まであんたに頑張ってきてもらったのが全て消えちゃうだろうし。悪いけど、一緒にはこないで欲しい。もしどうしても来るというなら……少し時間をずらしてくれたほうがありがたい。
「了解」
……でもそれも危ないかもしれない。できるだけ人目につかない時間帯を狙ってくれるといい。
「んじゃ今日も」
またか。いい加減この復讐を終わらせないと。
私に与えられた下駄箱になんというか。お決まりというか? いやお決まりじゃないか。……ご丁寧に茶封筒が入っていた。中身は見なくても分かってる。中身はどうせ、
茶封筒を開けると中には「どれだけ、折ったんだ……」と考えたくなるほど、カッターの刃が入っていた。逆さにすると何枚、何十枚という銀色の鋭利な刃が床に落ちる。
その一枚を手にとると玄関の目の前にある掲示板に向かって投げる。丁度、掲示板の前を通ろうとした同じクラスの女子生徒の髪の毛が切られ、そのまま掲示板に刺さる。
女子生徒はこちらに向かって怒った顔で歩いてくる。
「ちょっとっ! これ、貴女でしょ!? せっかく長く伸ばしてたのに……!」
学校側に訴えるつもりか?
「勿論。そんなこと聞かないでよ。以前から貴女のこと目障りだったの。丁度いい機会。この機会を作ってくれたことに感謝して学校側に貴女のことを進言しておく。まあ貴女にとっては全然良くないと思うけど?」
そんなことで、私をこの学校から追い出すつもりか?
「何よ、その、自信は……」
このような状況でも自信をもてるだけの肩書きがあるってことだ。では少しの間気絶してもらおうか。
耳に装着されたままのヘッドフォンを女子生徒に渡し、装着してもらう。そして素早くプレーヤーのCDを変え、音量を最大にする。
……現在、女子生徒の耳には怪奇な音楽が流れているだろう。それも耳障りな金属音。先ほどまでは普通の音楽がかかっていた。しかし今は違う。今は金属音が録音されたCDがプレーヤーの中で回り、金属音をヘッドフォンから流している。
やがて気絶した女子生徒からヘッドフォンを外し、CDをとりかえる。先ほどまで聞いていたゲームミュージックを再度かけなおす。
さて。ではこの金属音が録音されたCDの提供者に会うとするか。その前に、母のもとへと行くが。
灰色の墓石があたりを埋め尽くす。所謂墓地と呼ばれる場所に私は来ており、目の前には麗李家の墓と書かれた墓石が立ち尽くす。
先ほど、花屋で買った母が大好きな向日葵をお墓の前に捧げる。そして黙祷。その後はただ母の墓の前に座り込み母に向かって話すだけだった。時折、強い風が吹き自分の肩までしかない黒い髪がゆれ、それに呼応するかのようにきている学校の制服の青いチェックのスカートが揺れる。
そろそろ提供者に会う。
おい。シェリアは居るか?
「あ。聖樹さんだっ!」
シェリア。相変らず小さいな……。
「小さい言うなっ! 意外と気にしてるんですよっ!?」
分かった分かった。そういえばお前から貰ったあの金属音CD。役に立っている。
「おぉ! あのCDがですか。いやいや。この雪夏シェリアの力を用いればあんなの朝飯前ですよ。それに聖樹さんのこともありますし、何より日向さんの御遺志ですからね」
そう。母さんのね。あそうか。シェリアは一時期、母さんに育てられたんだったか。
「はい。そのときは聖樹さんは色々とお忙しい時期で、見事に会う機会なんてなかったわけですが!」
目の前に居るこの雪夏シェリアは女子生徒に使わせてもらったCDの提供者。まだ9歳の少女だが以前、少しの間だけだが私の母に育ててもらった事がある、まあ私から言わせてもらえば義理の妹にあたるような存在。そして9歳にしてはCDを製作するのが好きで学校の勉強はなかなかできるがその反面、運動はできないという少女だ。
「でも気をつけてください。聖樹さん。日向さんの御遺志は私にとっても大事なものですが日向さんが貴女の復讐を望んでいるかどうかは知りません。私に言えるのは、私にできるのは日向さんの御遺志と聖樹さんの意思を尊重することのみです」
シェリア。……ありがとう。
シェリアに別れを告げた後、私は予想できない事態に陥っていた。無自覚のうちに。
――あれからもう2年か。いやまだ2年といったほうが正しいのか。……シェリアも緋菜も、もう居なくなって2年。私は結局、復讐のために生きるほかない。
緋菜が、緋菜が? 嘘だろ? 緋菜が居なくなった? それってつまり死……?
今日、朝学校へと向かい、体育館で校長から告げられたのは緋菜、私のことをクラスで最大に理解してくれたあの緋菜の死。
自殺だと言われているが、どうせ、
昨日の女子生徒がこちらを向いて笑っている。
……あいつかっ! 緋菜を、緋菜を殺した奴は。昨日の恨みを緋菜の死で清算したつもりか!
相変らず、私の心は冷め切っていた。そして憤慨する心のどこかで確かに私の心は冷め切っていた。
この学校は腐りきっている。
「麗李聖樹。ちょっといいか?」
? どうした? 校長先生。
「いや、その、母親の事で。あとは君に関係していることだ」
私に? そして私の、母親のこと、だと?
「校長室に来てくれ」
校長室。私はそこでこの学校の真実を知った。
シェリアも? シェリアも死んだ? ありえない。おい。それだけか? それとも。
「それだけなわけない。そしてこれは麗李聖樹。君にも責任はある」
何だ。その責任とは。
「雪夏シェリアは君の母親、麗李日向の遺志を尊重していた。そのためシェリアは死んだ」
さっさと言え。
「アンタが復讐なんてしなければよかったのに。そうしたら緋菜だってそのシェリアだって死ぬことはなかったのに」
勢いよく振り向く。そこにはこの学校全生徒がいるかと思うほどの人数が校長室の前に集まっていた。そして言葉を発したのは私に先ほど笑いかけた少女。
「そういうことだ。雪夏シェリアは、君が復讐をした時点で死ぬことになった」
シェリアが? 私が復讐をした時点で死ぬ?
頭がぐちゃぐちゃになっている。分からない分からない。何もかも。
「アンタがこの学校に対して復讐をしたせいで雪夏シェリアは死んだ。そうアンタの母親が残したからね。遺書に」
遺書? 母の?
「これだ」
校長から渡された母の遺書。こんなものがあるなんて思わなかった。
内容は目を見張るものだった。
母の遺書には確かにこう書いてあった。
娘・聖樹がもしも学校側に対し、復讐を行った場合……麗李聖樹に加担した者は全員死。
そう、確かに母の字で書いてあったっ!
校長から生徒たちに振り向く。これを知っていたのか。お前たちは。
「まあ、校長から聞いた話だけだけど。でもこれを利用してアンタを消す事は簡単に想像できた」
「麗李聖樹。君は今日付けでこの学校を退学してもらう」
ささやかなる抵抗の果てに残るのは、
――ああ。そうか。私は、結局復讐のためにしか生きれないんだ。
ささやかなる抵抗の果てに残るは空虚と結末と一人の少女。
母にも何もかもに裏切られ、苦しんだ一人の少女のみ。
こうして、麗李聖樹は女の子らしさを嫌う原因を作り出し、それに出会ってしまった。
「ったく。退学しない代わりに……男装しろ? 何様だっつーの!」
学校近くの公園に設置されたベンチに座り、校長から渡された一枚の紙を見て苛立ちを隠せないままに声を荒げてしまった。
だが、自分が復讐なんてしなければ二人は死ぬ事はなかった。だからこそ、私は私じゃなくなるしかない。私は私で居てはいけない。それだけのことをした。
私が私で居られないと言うのなら、私は男性になるしかない。
――私はそうして、女の子らしいことを嫌ったんだ。
後書き
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