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作品ID:127
こちらの作品は、「感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。
文字数約2555文字 読了時間約2分 原稿用紙約4枚
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こちらの作品には、暴力的・グロテスクな表現・内容が含まれています。15歳以下の方、また苦手な方はお戻り下さい。
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / R-15 /
大脱走
作品紹介
監禁されている主人公が脱獄をする話です。
後半に力を入れているので、読み終わる前に最後のほうは見ないようにしてください。
面白さが消えますw
具体的な描写はなるべく控えて、最後の一文で読み手の想像を覆すつもりで書きました。
ハードルは上げずに優しい目で読んでください。
後半に力を入れているので、読み終わる前に最後のほうは見ないようにしてください。
面白さが消えますw
具体的な描写はなるべく控えて、最後の一文で読み手の想像を覆すつもりで書きました。
ハードルは上げずに優しい目で読んでください。
俺は今、地獄にいる。
牢屋と言う名の地獄。
どのくらいの時間をここで過ごしただろう。
ここには、無限の苦痛が渦巻いている。
もうこんな生活は耐えられない。
今日こそ、抜け出してやる。
今日こそ、あの頃の自由を取り戻してやる。
今日こそ、この地獄に終止符を打ってやる。
俺は、決心した――。
奴らは、定期的に食事を持ってくる。脱獄するならその時だ。
腕と足に鉄製の枷がはめられているが、こんなものは力ずくで壊せる。なぜなら、奴らは俺の力を甘く見過ぎているからだ。広大な大自然で育った俺にとって、鉄枷など少しの拘束力もない。今までそうしなかったのは、奴らを油断させるため。その結果として、奴らは完全に俺を拘束できていると思い込んでいる。その油断を利用するのだ。
奴らは食事を牢屋に入れるとき、必ず鍵を開けて中に入ってくる。その瞬間を狙って、ひと暴れしてやればいい。人数は多くても二人。俺の力を持ってすれば、まず負けることはない。なぜなら、奴らは俺に比べて脆弱すぎるからだ。力はもちろん、体格も俺のほうが上。この体格差を利用して、奴らを叩き潰す。ここまでは問題ない。
問題はここからだ。騒ぎが大きくなる前に、この施設の出口を目指す。しかし、俺のこの巨体で、隠密に行動するのは不可能だろう。ゆえに、迅速かつ圧倒的に突進していくしかない。奴らの何人かが立ち塞がっても、勢いに任せて蹴散らせばいい。
ここで問題になるのは、奴らが武器を使用してくるかどうかだ。奴らは、殺傷能力の高い武器をいくつも所持している。刃物や鞭、長槍に拳銃まで。幸い俺の身体は、極限まで鍛え上げられているので、生半可な武器は効かない。脅威とするとしたら拳銃くらいか。
その場合でも、作戦は変わらない。多少のリスクは承知の上。やられる前に叩き潰すだけだ。
その後のことは、正直なところ予想がつかない。なぜなら、俺はこの施設から外に出たことがないからだ。それでも、やることは変わらないだろう。もとより、力ずくで突破すること以外に、策などないのだから。それに、外に出ることが出来れば、仲間が助けに来てくれるかもしれない。敵は蹴散らし、味方には助けを求める。これさえ頭に入れておけば、絶対に成功するはずだ。
そろそろ奴らが食事を持ってくる時間だ。脱獄のイメージは完璧。気持ちの整理も整った。後は実行するだけだ。自分の力に絶対の自信がある。不安など、ない。
―――来た!!
「おーい、エサの時間ですよーっと」
相手は一人。完全に油断しきっている。これならやれる、そう確信した。
奴は鍵を開け、牢屋の中ほどまで入ってきた。
「ほーら、さっさと食っちまいな」
イメージ通り。奴は片腕の射程範囲内に、まんまと入ってきた。
その瞬間、俺は右腕の鉄枷を引きちぎった。そして、勢いに乗ったままの右腕を、奴の顔面に炸裂させる。
「――ひぃ!!」
何かが粉砕される音。爽快だった。憎しみを発散することが、ここまで気分がいいとは思わなかった。奴は地べたに倒れ伏し、ぴくりとも動かない。
俺は残り三個の鉄枷を引きちぎると、遂に牢屋の外に出た。
自分の持てる限りの全速で走り抜ける。
脱獄を察知されたのか、その先に奴らが立ちはだかっていた。今度は複数いる。
「この野郎! 力任せに暴れやがって!」
「全員で取り囲め! 絶対に逃がすな!」
前方に槍を構えた奴らが立ち塞がる。だが、ここは強行突破だ。
俺は槍の攻撃を全て体に受けてから、構わず突進した。不思議と痛みはない。それ以上に気持ちの高ぶりが激しい。
前方の奴らを一掃すると、遂に出口の光を確認することができた。目からは自然と涙が零れ落ちている。あの光は、俺を祝福するもので間違いない。
達成感とともに安堵した瞬間、背後から銃声が鳴り響いた。それも、一発ではない。
「仕留めろ! 足を集中して狙うんだ!」
一人の掛け声を合図に、一斉に弾丸は俺の片足に集中した。
痛い、なんてものじゃない。まるで片足が破裂したかのような苦痛。
だが、進むしか助かる道はない。もはや四本の足で地面を這いつくばっている状態。それはもう“走っている”のとはほど遠い、無様で滑稽なものだった。それでも、止まったら殺される、という恐怖が俺を突き動かしていた。
ようやく辿り着き、目の前の光があの頃の楽園のものだと信じて、飛び込んだ。
広がった光景を目の当たりにして、一瞬で全身が凍りついた。大脱走の末、待っていたものは、希望ではなく絶望。
自分よりはるかに高い建物。硬く冷たい地面。そして、そこに蠢くものは、俺が“奴ら”と言って憎み続けてきた生物たち。それも、施設の中など比べようもないほど大量にはびこっている。
知らなかった。
牢獄の外は楽園だと思い込んでいた。
施設の中は地獄だと思っていた。
それは、自由を夢見続けた、俺の固定観念の産物。
あの頃の楽園に帰ること。それが俺の存在理由であり、生きるための活力だった。
つまり、脱獄に成功したこの瞬間、俺の生きる意味は粉々に粉砕されてしまったわけだ。
その時、自我は崩壊し、俺は俺でなくなった。
蠢く生物を片っ端から駆除していく。潰し、砕き、投げ飛ばし、叩きつける。それは俺の本能。頭では何一つ考えていない。武装した奴も、逃げまどう奴も、隠れている奴も、皆俺の敵だ。建物も壊し、地面も割る。視界に入るすべてを粉砕するまで、俺は止まらない。
たとえ、弾丸や爆弾を体に浴びせられていようとも。
たとえ、体の感覚がすべて消えていようとも。
たとえ、死んでしまおうとも。
判り得ない、最後の疑問が頭をよぎった。
“あの頃の楽園は、どこにいってしまったのだろう?”
次の瞬間、俺は、世界と決別した。
最後に、俺を殺した奴の言葉が、頭に焼き付いて離れなかった。
「たかがゾウの分際で、脱走なんか企てやがって……」
後書き
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