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作品ID:511

こちらの作品は、「批評希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約13890文字 読了時間約7分 原稿用紙約18枚


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遠藤 敬之 


小説の属性:一般小説 / 未選択 / 批評希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

強いままニューゲーム

作品紹介

輪廻、転生、赤子、神の遣い。


吾輩は赤子である。名前はまだ無い。
 どこかで読んだような書き出しだと思われるかもしれないが、事実なのだから仕方ない。歳は零才、正確に言えばまだ生後一ヶ月、産みたてほやほやの乳臭いニューベイビーである。自分で言うのもなんだが、目に入れても痛くないほど可愛らしい姿をしている。至る箇所でまだ毛が生え揃っていないため、非常にすぅすぅして心細いが、肌の柔らかさは我ながらつきたての餅のように愛らしいものである。抱きしめて接吻するに相応しい存在であるから、世の婦女子は是非吾輩の許に集結すべきである。
 吾輩の自我がなぜこんなにもはっきりとしているのか、諸君にとっても大いに不可解であろう。だが、何のことはない。吾輩は強いままニューゲームを選んだ。それだけのことである。それ以上の説明を求められても困る。
 ◇
 どれほど前のことなのかもわからぬが、吾輩は前世では町工場のしがない工員として勤めていた。明晰な頭脳の持ち主であるにも関わらず、人生の分岐点で悉く自堕落的な怠惰に負けてしまい、ちっとも風采の上がらぬ道を歩んでしまったのだ。長時間労働の後には麦酒を片手に後悔したものである。あの時ああしていれば、という思考には際限が無く、吾輩は卑屈に卑屈を重ね、ついには生まれる親許を間違えたなどと神をも畏れぬ発言までしてしまった。
 そして、どうやらその神の怒りに触れてしまったらしい。
 ある晩秋の日、吾輩が休憩時間中に工場の喫煙所で独り煙草を燻らせていると、眉目清かな麗しい乙女が空から颯爽と現れた。男臭い吹き溜まりの場にひらりと降り立ったセーラー服姿の彼女は荒野に咲いた一輪の白い花を思わせた。吾輩はその乙女の可憐さと不可解さにしばしの間、目を奪われた。
 彼女は手に持った書類と吾輩の美貌を不躾に見比べ、「うん、うん」と頷くと、細長い人差し指を呆然と佇む吾輩へまっすぐに突き付けた。
「この神をも畏れぬ不心得者が! 己の怠惰を悔い改めぬどころか、不遇の根源を血の繋がった大恩ある肉親にまで被せるとは何たる傲慢、恥を知れい!」 彼女は早口にまくしたてる。 「というわけで、天罰下しちゃうもんね!」
「待て待て待て! 君はいったい誰だ」
「わたしは神の遣い。現世に降り立ち、使命を遂行する者」
「神? なんだそれは、仏陀か、キリストか」
「違うけど個人的な知り合いではある」 彼女は書類を吾輩に差し出した。 「とにかく、これ読んでね」
 渡された書類は幸い日本語ではあったが、読むに堪えられないような内容であった。吾輩が繰り返したつまらぬ愚行や軽罪がつらつらと並べられており、幼少の頃に吐いた可愛らしい嘘の一つひとつまでもが明細に記録されていた。読んでいる間に吾輩は火が出るほど恥ずかしくなり、神の遣いへ荒々しく書類を突き返した。
「どういうつもりだ!」
「まだわからぬか、愚か者! それは貴様がこれまでに犯した罪の一つひとつを数え上げた帳簿である。積み上げられた業は貴様自身の魂に刻みつけられているのだ!」
「エロ本を河に捨てたことまで書いてある! これのどこが罪だ!」
「不法投棄よ。お魚の身になりんしゃい」 乙女は言うと、どこから取り出したのか白塗りのステッキのような棒を吾輩に突き付けた。先端にはくるくる回る小さな風見鶏がある。意味がわからないにもほどがある。 「さぁて、どーしよっかな?」
「よせ! こんな些細な悪行なんか誰だってやっているだろう! なぜ俺だけ!」
「たいていの者達は相応に善と悪を持っている。それは自身の魂に刻まれ、最上天界におわしまする我らが主の許へ報告される。貴様らの業は常に善と悪の天秤に計られているのだ。ほとんどの罪人は善行や過ちを悔いる心で天秤の均衡を得られるものである。貴様もその内の一人ではあったが、此度の肉親への不満発言によって魂の均衡は破られた。貴様は悪へ墜ちたのだ。我が主は大層お怒りになっている」
「酔った勢いで言ったんだ!」
「心根に無い言葉は口から生まれぬ」
「不公平だ! 不公平だ!」
「公平だ。これは貴様自身の業によって引き起こされたことだ」 神の遣いは別の書類を取り出してそれに目を通す。 「さて、これからあなたには然るべき罰を受けてもらって魂の浄化をしてもらうんだけど、これ、罰せられる方法はあなたに選ぶ権利があるから好きなコースを選んでね」
 いまいち要領を得ないことを言うものである。呆気にとられる吾輩をよそに乙女は咳払いを一つ挟んだ。
「えー、罰その一、血の湯釜ゆでの刑。罰その二、剣山串刺しの刑。罰その三、車輪による四肢千切りの刑。罰その四はわたしのおすすめ、飢えたケルベロスとの戯れ。罰その五、輪廻転生苦の刑。さ、どれがいい?」
 淡々と読み上げる乙女を前にし、顔から血の気が失せていくのを感じた。
 不可解ではあるが、どれを選んでも想像を絶する苦痛が与えられるのだけはわかった。きっと絶命は免れぬ。否、絶命した後に天界やら地獄やらで、その刑が執行されるのかもしれぬ。魂の浄化というのは腸内デトックスと違って生あるうちには出来ぬものであろう。吾輩は本当にそれほどの悪を成したのだろうか。気が遠くなる。
「ちなみに訊くが……、ケルベロスというのは体長何センチだ?」
「そうね、だいたい十メートルから十二メートルってとこかな? 頭からお尻までね。慣れれば可愛いわよ。まぁ、八つ裂きにされて食べられるでしょうけど」
 乙女は事も無げに言う。吾輩の命など神々からすれば輪ゴムのように取るに足らないものなのだろう。
「どうしてもその罰のどれかを選ばなくてはならないのか? 絶対に受けなくてはいけないのか?」
「あったり前よ。あなた、それだけのことしたのだもの」
 酔いに任せた愚痴で八つ裂きの憂き目に遭うとは、人間社会の刑法がどれほど甘かったのか痛感させられた。神もずいぶん暴君主である。確かに我々人間もいささか調子に乗り過ぎていることは認めるが、それは審判の日に鉄槌を下せばよいものではないか。吾輩の罪は人類の罪、人類の罪は皆の罪である。なぜ吾輩だけがこんな目に。
「早く決めてよ」 彼女は書類を突き付けて急かす。
 吾輩は震える手でそれを受け取り、書面に目を落とす。そこにはやはり、厳めしいほどの達筆で乙女が先程読み上げた刑罰が記されていた。嫌だ。死ぬのは嫌だ。あの世で茹でられるのも八つ裂きに遭うのも嫌だ。吾輩は頭を抱え、そして最後の一文に目が行く。
「君、この最後の、輪廻転生苦の刑とはどういうものだ」
「ああ、それね、あなたが今持っている自我を保ったまま、新たな人生をやらされるというものよ。この穢れた現世での記憶を、自身の罪の重さを背負って、再び人間をやらされるってこと」
「つ、つつつつまり、この記憶のまま生まれ変わるということか?」
「身体はね。辛いわよ、無垢な魂として生まれるならまだしも、使い回しの状態でまたこの世に戻って来るんだからね。常人の倍は業を背負うことになるんだから。おぉ、想像しただけで嫌だ」
 願ったり叶ったりではないかっ!
 吾輩は快哉を上げるのをなんとか留まり、いかにも無念そうな表情を浮かべてこの罰を選んだ。乙女は信じられない、というような表情をした。
「正気?」
「ああ、仕方ないさ、俺はそれだけの罪を犯したのだから。来世でもこの罪を背負って生きていくよ……」
「よくもまぁ、わざわざ……、物好きね、ストイックだわ」
 どうやら神々と我々人間の間では苦行の意味合いが若干違うらしい。だが、吾輩と同じように神の怒りを買った不届き者達は皆、間違いなくこの刑を選ぶであろう。悪へ墜ちなくとも、ほとんどの人類がこの刑を喜んで受けるのではないか。
 乙女は風見鶏のステッキを吾輩に突き付けると、「エロイムエッサイム」とどこかで聞いた覚えのある呪文を数回唱えた。風に回っていた風見鶏が一層の速度を持って回転を始める。不吉に風がざわついたものの、蒼白い光が吾輩を取り巻くだとか、死神が大鎌を持って現れるなどという現象は起こらなかった。風もすぐに止んだ。あっけないものである。
 乙女は構えを解き、あっけらかんとした顔で腕時計を見た。あまり本筋とは関係ないが、腕時計は生意気かつ不釣り合いにローレックスである。
「さぁ、じゃあ、後でまた会いましょう」
「おい、これで終わりか」 吾輩は戸惑った。まだ周囲は町工場の喫煙所のままである。 「生まれ変わるんじゃないのか」
「だから、また後でね。バイビー」
 乙女は手を振ると、現れた時と同じように青空へと高く舞い上がった。セーラー服姿ゆえにスカートがはためいて下着が露わになっていたが、吾輩はそれを見たことにさえもいささかの幸福も幸運も感じ得なかった。血の湯だのケルベロスだの非日常的なことを話された後では、下着などたたの布かシルクとしか認識できぬ。乙女は天高く飛翔し、秋空の雲の彼方まで消えていってしまった。残されたのは呆然と佇む吾輩と希薄な現実感だけである。
 白昼夢を見ていたのでは、とすぐに思い始めた。考えてみれば常軌を逸した出来事である。空から婦女子が降ってくるなど宮崎駿のアニメ映画でしか観た事がない。喫煙所には吾輩しかおらず、今の出来事を誰かに話しても頭を疑われるのがオチであろう。だから、黙っていることにした。
 しかし、自我を持ったまま生まれ変われるというのは、なかなか魅力的な話ではないか。吾輩は普段から常人よりもテレビゲームを嗜む性質であるが、クリアした後に強いままニューゲームができるあのシステムが大好きである。現実でもこういかぬものか、と常々小中学校を妄想と共に振り返るのだが、今の白昼夢から分析するに、その願望が強すぎたようである。反省しなければならない。そろそろ現実にも目を向けなければ。
 そうして吾輩が現実に目を向ける為、工場内に戻った時のことである。
 軋むような物音がどこかで立ち。
「あぶねぇ!」
 誰かがそう叫んだのを聞いた。
 吾輩は咄嗟に頭上を見上げる。
 吾輩の何倍もの重さがあると思われる鉄骨が何本も、音も無く落下してきた。それが、吾輩が前世で見た最期の映像である。
 ◇
 幸い、痛みはなかった。恐らく即死だったのだと思われる。
 視界が暗黒に包まれた後、吾輩はしばらく不思議な空間を漂っていた。海底にも似た茫洋とした暗闇の中を点々と蒼白い光源が続いていた。蒼の発光体は炎のような揺らめきを持たず、また近頃流行りのLEDライトの眩しさとも違った。夏の池辺の蛍のような、あるいは山間の夜空に見渡せる星の瞬きのような微弱な自然の光だった。吾輩の肉体は既に存在せず、ただ意識のみがその神秘的な光の道筋を辿って、プランクトンのようにたゆたっているのである。 あぁ、この光は俺が背負ってきた罪か。
 吾輩は自ずと悟り、目の端へ流れていく蒼光の列を見送り続けた。愚劣極まりない質の割には綺麗な見た目をしている。思うに、世を覆う罪やエゴはこのような形態をして存在しているのかもしれない。我々人間は夏の夕べの蛾のように、その光源に吸い寄せられ、蹴散らされているのではないか。
 光の道筋の先に、小さな塊が見え始めた。それも淡く光を発している。ずいぶん小さいと思えたが、近づくにつれて塊はむくむくと膨張を始め、やがて我が視界を覆う程の大きさとなった。渦巻くように流れる淡い光の中には煌めく金粉に似た欠片も見え、それは宇宙の果てに構える巨大な星雲のようにも思えた。
 吾輩はゆっくりと、冷たいプールに沈んでいくように、静かにその渦へと吸い込まれていった。意識の内側、つまり吾輩の中を光が満たしていくような感覚を味わった。それは恍惚とも不安とも違う、言葉にし難い感情を伴っている。
 そして、渦の最下層の中心点。
 その黒い穴まで達した時。
 吾輩の視界を、眩い閃光が焼いた。
 強烈な照度であった。
 目を開けることもできない。
 吾輩は呻きとも悲鳴ともつかぬ声を上げる。
 何者かの意思が、吾輩を包んだ。
 無音ばかりを掴んでいた耳へ、一斉に音が雪崩れ込む。非常にくっきりとした、爆音と形容しても差し支えない音量だった。
「産まれましたよ。立派な男の子です。おめでとうございます、頑張りましたね」
 そうして吾輩は、強い状態のままニューゲームを果たした。それが実に鮮明に、前世から連鎖して続く意識をもって自覚できたのだ。
 吾輩は歓喜のあまり、身が張り裂けんばかりの大声で叫んだ。見慣れぬ分娩室に、吾輩の産声が高々と響いた。
 ◇
 吾輩が新生児室に預けられてすぐ、アクリル板の向こうに例の乙女が現れた。
 病院だというのに、彼女はなぜだか世界一有名なネズミのキャラクターのきぐるみを着ている。故に顔は見えなかったが、不思議とあの神の遣いだというのは察せられた。不可解なことはもう全て神の意志によるものだと諦めていたのだ。彼女の背後を通る者達はあからさまに異様な彼女の姿に目も暮れず、というよりは気付いている素振りもなく平然と通り過ぎていく。どうやら他の者達には乙女を見つけることができないらしい。吾輩を捉えるネズミの大きな黒い瞳が愛くるしくもあり不気味でもあった。
「ハロー、どんな調子?」 アクリル板を隔てて乙女の声が伝わる。
 最高だ、と答えかけたのを咳で紛らわし、「気が重い」とできるだけ神妙に言ってみた。
 ネズミが溜息をつくように肩を竦めた。
「だから言ったじゃない、そんな手のかかること……、まぁ、もう変更はきかないけどね」
「あぁ、構わない、覚悟はしていたんだ」 吾輩はあぶあぶと答える。 「善行を積んで反省するよ」
「そうそう、自分の罪を心底反省した時点であなたの罰は終了するから。それまでは何度も人生をやり直してもらうからね。もちろん、記憶は継続したままだから」
 そんなSF小説を昔読んだことがある気がして、吾輩は俄かに興奮してくるのを感じた。己が絶大な力を持ったのだと感じ、透明の壁に包まれながらサバンナのライオンのような自由を感じていた。今の吾輩に敵無し。いずれ吾輩はこの人生の幼少期において神童と讃えられ、失われた学園生活をモテモテのウハウハで彩ることであろう。考えただけでも胸が高鳴る。
「ケルベロスちゃんの相手してればだいたい一分で終わったのに」 乙女は無茶なことを言う。 「まぁ、とにかく、時期がきたらまた来るから。せいぜい頑張りな。アディオス」
 ネズミはのしのしとどこかへ歩き去る。
 吾輩はその異様に過ぎる後姿へ向かって、ペロリと舌を出した。阿呆め、とせせら笑ってやった。
 ◇
 吾輩が新たな母君と面会を果たしたのは、羊水に濡れた身体を毛布に抱かれたすぐ後のことだった。その時のことはよく覚えていない。なにせ目に映る景色全てが眩く、吾輩はずっと目を細めていたのだ。物凄い眠気もあった。どうやら母君の方もお産の苦しみに朦朧としていたらしく、吾輩にかけられるべき祝福の言葉はなかった。
 二度目に面会したのはその翌日である。母君は病室のベッドに座っていた。吾輩は看護婦の居心地の良い腕から、母君の慣れない腕に預けられた。脱色した長い髪の、まだうら若い女性だった。少女と呼んでも差し支えが無い。茫洋と、まるで実感の無い表情でこちらを見つめていて、吾輩を抱く腕に力は無かった。
「わたしの、赤ちゃん?」 彼女は呟くように言った。
 はい、そうですとも、良ければ接吻を、と答えたかったが、吾輩の口をついて出るのはあぶあぶという曖昧な声だけだ。
「よく頑張ったわね」 看護婦が母君に向かって微笑みかけた。
 母君は虚ろな表情で吾輩を見下ろすばかりだ。麗しい母との対面に凄烈な幸福を感じていた吾輩であったが、その暗い表情を見た途端、なにか不吉な予感を覚えた。なんだろうか、物凄く不幸な気配がする。
 吾輩はふと気付く。
 そういえば、父君はどこにいるのだ? なぜ吾輩の顔を見に来ない?
 若すぎる母親の孤独な瞳が、なにか一方ならぬ暗い事情を物語っている。薄氷を踏むような心細さを吾輩は覚えた。
 しばらくして、初老に差しかかった中年夫婦が病室に押し掛けてきた。すぐに少女の両親だろうと察しがついた。つまり、吾輩の新たな祖父母である。どちらも冴えの無い地味な風貌であるが、表情にはただならぬ様子が浮かび、緊迫した硬さがあった。
 祖父が我が母君の頬を打った。声を荒げて何事か罵る。それを伴侶であろう祖母と看護婦が宥める。打たれた母君は静かに涙を流し、吾輩を庇い立てるように蹲った。我が父君について彼らは話しているらしい。詳細は聞き取れなかったが、「犯罪者」だの「ロクデナシ」だの「勘当」だのと不穏な内容だったのはわかった。激昂する祖父に対し、母君は一言も言い返さなかった。
 これはまずい。
 吾輩は声一つ立てず、ただこめかみに伝う冷たい汗の感触を覚えた。
 安いドラマじゃあるまいし、これほど劇的な不幸が存在していいものだろうか。実父から勘当を言い渡された未成熟の母親、蒸発したらしいロクデナシの父親、その間に生を受けたぬいぐるみのように愛くるしい赤子。不幸を演出していくのに充分すぎる要因ばかりである。唯一の救いは、前世の母と違って、今回の母がうら若い可愛い少女であるということだ。いや、実際には何の救いにもなっていないが、目の保養というものは何時如何なる場面でも必要である。赤子といえども、吾輩だって健全な自我を持つすこやかボーイなのだから。禁断の香りが甘く匂い立つ。
 祖父母が退室してから、母君は吾輩を力無く抱いたまま、取り留めない目線を窓の外へ向けていた。外は晩夏の景色である。窓から入り込む白い陽射しがリノリウムの床を眩しく映している。蝉の音が閉め切った窓の外から小さく響いていた。耳を澄ませば熱射がアスファルトをじりじり焦がす調べも聞こえるかもしれぬ。ただ抱かれているだけの身で聞くそれらの風物詩は何とも気楽に響くものである。この炎天の中で労働をする心配などないのだ。
 母君は何事かを決心した様子で、吾輩が再び彼女を見上げた時にはその黒目の大きな瞳に固い決意の焔を宿らせていた。吾輩は「ばうあ」と感嘆する。この焔こそが、吾輩が前世で最も必要としていたものであった。吾輩が敗北を喫した原因は、この焔を己の内に燃え上がらせることができなかったからなのだ。
 苦境の最中にいる若い母君の決意を、吾輩はあぶあぶと応援した。ひとまず己のことは棚に上げて。
 母君が吾輩に初めて笑いかけた。涙を溜めた気丈な微笑みで、吾輩は胸に迫るものを感じた。
 頑張れマイ・マザー、この神童を立派に育ててみよ。
 ◇
 しかし、この現世で生きていく以上、そう易々と状況は好転しない。
 母君は退院してすぐから、吾輩を連れてひたすら歩き回った。最愛の男に何らかの事情で裏切られ、肉親からも縁を切られた今、宿を探す事から始めなければならない。退院直後でまだ身体の具合も本調子でないうちから、彼女は交通費をできるだけ節約し、数少ない知人友人の許を炎天下の下に尋ね回った。
 しかし、彼女の知人友人達は悉く薄情者であった。厄介事に首を突っ込むことを恐れて体のいい嘘を吐き、彼女の来訪を拒んだ。一日、二日だけ泊めてもらえることもあったが、それ以上に差しかかると誰もが嫌な顔を浮かべた。かつて彼女に迫ったのであろう軽薄そうな男達も、吾輩という憑きものを一目見るなり愛想笑いで断る。屋根の下で眠る時よりも、ベンチや公園の遊具で晩を過ごすことのほうが圧倒的に多かった。夏の終わりと言っても、蒸し暑い夜が続いていて、母君が日に日に衰弱していくのがはっきりとわかった。あまりに不憫である。
 元々貯えもなかったらしく、金はすぐに尽きたらしい。公園の水道水のみを恃む母君の頬はどんどんと痩せこけていき、それにつれて乳の出も悪くなるものだから、吾輩も常時腹を空かせていた。粉ミルクを買う金もないらしい。オムツは拾った布をあてがわれていた。
 そんな状況で無遠慮なねだりの声を上げるのはさすがに憚られたが、どうしても我慢できない時には吾輩はやはり泣いた。それでしかこちらの意思は通じぬから仕方がない。母君も吾輩に乳房を吸われながら、惨めさに泣いていた。
「ごめんね、ごめんね」と彼女は常に口にした。
「いいんだよ、いいんだよ」と吾輩はぶうぶう言いながら返した。
 通じているのか甚だ心配である。
 ◇
「あんた、他の赤ちゃんみたいに泣き喚いたりしないよね」
 彼女はある晩、なかなか寝付けない吾輩をあやしながら言った。公園のベンチでのことだ。都市部の夜空は、遠くのビルやネオンの光で不穏に明るかった。
「ごめんね、辛い思いさせて。たぶん、気遣ってくれているんだよね」
 そんなわけなかろう、と普段なら一笑に付すところであるが、事実その通りであるから吾輩はもちろん笑えない。気遣いもあるし、吾輩自身の疲弊もある。
 目を合わせていても気がしょげてくるものだから、吾輩は眠っているふりをした。母君は吾輩の柔らかい頬にそっと接吻した。なんという幸福。不幸の真只中にいる今ではこのささやかなことですら幸福に思えてくる。笑いが漏れてくるようだったが、滲んだのは涙だけであった。気を緩めるとまた排泄物を漏らしてしまいそうだから、吾輩は生えていない奥歯を噛み締める気概で身体を引き締めた。
 母君はゆらりと立ち上がる。目を瞑っていても気配でわかった。そのまま歩を進める。どこへ行くのだろう。また明日に備えて体力を温存しなければならぬのに。
「あたしって、馬鹿だからさ……」
 母君は歩きながら、寝たふりをしている吾輩に吶々と昔の話を語った。父君の素性にも関わる話であったが、これは彼女の名誉の為にも伏せておこうと思う。確かにロクデナシと罵られるべき男であったし、そんな男に騙されてなお未だに未練を拭えぬ彼女も馬鹿者呼ばわりされても致し方ない。いずれにせよ不幸話である。しかし、今世においては吾輩の最愛の母君である。誰にも馬鹿者呼ばわりさせぬ。故にここに記しはせぬ。思うに、吾輩は半ば本気でこの健気な少女に惚れていたようである。笑いたければ笑えばよい。
 母君は歩を止めた。気付けば辺りからは喧騒が消えている。どこまで来たのだろうか。薄眼で見回した限り、どこかのビルの路地裏のようだ。
 母君はしばらく吾輩の寝顔をじっくり眺めていた。悲哀の表情だった。ずいぶんやつれたものだ、と改めて思う。前世の吾輩とは比べようもないほどの境遇に彼女はいるのだ。たぶらかされて終息したものの、一児を産む決意を起こすほどの愛に彼女は身を焦がしていたのだ。その結果がこれとは、ずいぶん世も残酷である。吾輩は神に憤怒の念を抱いた。
 母君はろくに掃除もされていないゴミ箱の蓋を開ける。ついに残飯漁りをするほど追い詰められたか、と吾輩は思った。仕方あるまい。文句は言わぬ。全て、吾輩の為を想ってのことだ。今は何でもよいから腹に詰め、乳を出す事に専念すべきなのだ。
 しかし、この予想は軽々と裏切られた。
 吾輩は彼女の腕によってそっと、優しく、ゴミ箱の底へと仕舞われる。吾輩が驚愕したのは言うまでもない。目をしばたき、丸く縁取られた穴の上からこちらを覗く母君の顔を見返した。
 ちょ、待っ……、ええ? マジで?
「ごめんね、ごめんね」 と彼女は口にした。涙が吾輩の顔に降る。 「もう、こうするしかないの。わかって」
「わからん! わからん!」 と吾輩はぎゃあぎゃあ喚いた。
 しかし、吾輩の言葉は通じなかったようで、無情にも蓋がぴっちりと閉められた。彼女の足音が離れていき、吾輩はそれに向かって必死に泣き声を上げた。分娩室でも上げたことのなかった自己新記録の声であったが、努力虚しく、どうやら母君の胸には届かなかったようだ。吾輩は暗闇の底でなおも叫び続け、やがて疲れきってぐったりとした。
 こうして完全な闇と無音が吾輩を支配した。母君の行方は杳として知れない。
 不本意にも、これが強いままニューゲームを果たした吾輩の現状である。
 ◇
 それから吾輩は、海底に蹲る貝のように、ぶつぶつと母君への恨み言を吐き続けた。
 馬鹿者め。親として、子を育てる以上の大事など無い筈ではないか。古から、それも人間に限った話ではないが、母親というのは死を賭して子供を守るべき存在のはずだったではないか。お前が先程まで語っていたくだらぬ惨めなおのろけ話はなんだったのだ。「それでも、あいつとの子供だから、あんたを産みたかったんだよね」などとしんみり語っていた数分後にこの仕打ちか。同情を返せ! 馬鹿者が! あぁ、しかし、なんてここは臭いんだ。生ゴミの臭いだ。くそっ、よりにもよってこんな所に捨てなくてもよかろう。施設なり何なりとあるはずではないか。そんなことも知らんのか、低能め!
 誰かに気付かれまいかと必死で身体ごとゴミ箱を揺するが、うんともすんとも無い。声を上げ続けていたので喉をすっかり痛め、舌先もからからに乾いていた。一呼吸する度に生ゴミの臭いが鼻について噎せる。
 吾輩は延々と怨嗟の言葉を小さく吐き続けながら、情けなさに涙がこみ上げてくるのを感じた。なんだ、このザマは。せっかく溢れ出る才覚と完全無欠な自我を持ったまま新たに生まれてきたというのに、神童どころか生後一ヶ月経つか経たないかの時点でもう死の危機に瀕している。吾輩はどれだけついていないのだろうか。周囲の環境に弄ばれ、徒にまた栄光に輝いたはずの一生を台無しにしてしまったのだ。それもこれもあの女の貧弱な意志の所為である。
 ……しかし、俺ばかり、そんなこと言えないよなぁ。
 吾輩がふとそう考えたのは、明け方近くになってからである。疲労困憊の為に、すっかりナーバスになっていたのだ。
 吾輩は前世での己の怠惰ぶりを今一度反芻してみせた。受験、就職、恋愛、夢。人生の節目を迎える度に吾輩は何もせぬうちから尻ごみ、楽なほう、楽なほうへと逃げていった。そのくせ、垂れてくるはずのない甘い汁だけを求めていたのだから、いよいよ救いがない。いったいなぜ、吾輩はあれほどまでに自堕落になれたのだろうか。
 もしかしたら、吾輩は努力を恐れたのではなく、努力の先にある失敗を恐れていたのかもしれぬ。手痛い経験をした覚えはないが、吾輩の周囲にはいつもそのような失敗の事例ばかりがあった。吾輩の両親がまさにそうであった。風采の上がらぬ地味な人生が二つ交わり、その間に生まれたのが吾輩だったのだ。吾輩は努力の報われぬ彼らをずっと目に映し、無意識に恐れていたのであろう。真に恐れるべきは、純度を失った濁りの人生を送るということであったのに。
 そうであれば、吾輩があの少女を責められる道理はない。こうしてゴミ箱の底に捨てられていくのは誠に遺憾であるが、しかし、彼女は一度決心し、あのようにやつれ果てるまで吾輩を守ったのだ。少なくともあの若い母君は一度行動したのだ。それだけで吾輩より幾分かは崇高だ。逆の立場であれば、吾輩は赤子など早々に中絶したであろう。このままゴミ箱の底で干からびて、いつか発見されてそれなりにニュースを賑わせるのが吾輩の相応しい最期かもしれぬ。
 吾輩は前世の、最も記憶に焼きつく母の顔を思い出した。そして、貧しく冴えないながらも吾輩と母を懸命に守っていた父の顔を思い出した。彼らは吾輩が成熟していくにつれ、ほとんど言葉をかけてくることはなかったが、口を開けば謝罪の言葉しか出て来なかった。吾輩のだらけきった性根を、自分達の不甲斐なさの所為であると感じていたのだろう。妙な所で親馬鹿の気質があったから間違いないように思われる。吾輩はそれに甘えて金をせびり、飯をせびり、せびって、せびって、せびりつくし、挙句に己の不遇の責任を彼らになすりつけたのだ。その様子を克明に思い出し、途方に暮れる。
 前世での吾輩の遺体はどうなったのだろうか。あんな鉄骨の下敷きとなれば、きっとすり身の如きぐちゃぐちゃのあり様になっただろう。父母はそれをどんな気持ちで迎えただろうか。泣いてくれただろうか。こんな馬鹿息子の為に胸を痛めてくれたのだろうか。
 吾輩は、彼らに何をしてやれただろうか。無難に、お茶を濁すように、人生の辛苦を素知らぬふりしてやり過ごし、ありもしない才覚を誇り、不満ばかり呟いていた吾輩が、彼らの目にはどう映っていたのであろう。情けない。情けなさ過ぎて笑いすら込み上げる。こうして捨てずに、いい歳になるまで育ててもらえた奇跡と慈愛を、吾輩はさも当然のように考えていたのだ。これでは神の鉄槌を下されても無理はない。 吾輩は臭い穴の底で嗚咽をこぼしながら、ただひたすらに後悔した。
 なぜ、失ってからその大切さに気付くのだろうか。
 なぜ、そこにあるものに気付けなかったのだろうか。
 父ちゃん、母ちゃん、ごめん。
 俺、何もしてやれなかったよ。
 何も返すことができなかったよ。
 一目でいいから、また会いたいよ。
 会って、沢山謝って、そんで精一杯働いて、美味いもん食わせてやりたいよ。
 ごめん。
 ごめん。
 ごめんなさい。
 吾輩は目尻から流れてくる涙や鼻水を必死に舌で捕まえて舐めながら、もう生きているうちに開かれることもないであろう蓋の部分を見上げていた。もう泣き喚く力も、ゴミ箱を揺らす力も残っていない。万事休す。このまま静かに、この一ヶ月の人生の終焉を迎えよう。そして次の転生では、たとえどのような境遇の家庭に生まれ落ちようと、必死に生き抜いてみせよう。明晰な頭脳が無くとも、たとえ失敗しようとも、気持ちの良い人生を送ることは誰にでも可能なはずだ。
 雀の声が遠くに聞こえる。朝が来たのだ。あの若い母君が、そして以前の吾輩のかけがえのない両親が、どうか幸せな人生を送れますようにと吾輩は祈った。
 ◇
 ハイヒールの甲高い靴音が聞こえたと思った次の瞬間、吾輩の顔に光が射しこんだ。直接的な陽光ではなく、建物に阻まれて薄暗くはあったのだが、一晩を完全な闇の中で過ごした吾輩には凄烈な光臨のようにも思えたのだ。狭く切り取られた早朝の青空が眩しい。そしてそれを背に、蓋を持ち上げてこちらを覗きこむ見覚えのある乙女。
「捨てられてるし」 乙女は吹き出した。 「ダサッ」
 神の遣いを自称するあの乙女だった。
「う、う、うるさい」 吾輩は涙を飲みながら精いっぱい強がった。その実、死ぬほど安堵したのは言うまでもない。 「休憩していただけだ」
 乙女は生ゴミの臭いに露骨に顔をしかめながら吾輩を抱き上げた。乙女は縁無し眼鏡をかけ、黒のスーツにタイトスカートというキャリア・ウーマンの出で立ちである。毎度のその七変化ぶりは何なのだと問い詰めたかった。
「あーあ、こんなに汚れて。オムツの中も漏らしちゃってるじゃん」
「何しに来たんだ」 吾輩は羞恥に駆られながら訊いた。
「いや、あなた、死ぬほど大反省したでしょ。だから、刑はお終い。迎えに来たのよ。めちゃくちゃ早かったわね。最短記録よ。もっと永く、五世代くらいかかるかと思ってた」
「お、終わったのか」 吾輩は呆然と返す。
「強いままニューゲームとか、モテモテとか、神童とか、くだらないことばっか考えていたからもっとかかるかと思っていたけどねぇ」
「うっ」と吾輩は呻く。ばれていたのか。余計に恥ずかしい。そうだ、畏れ多くも神の遣いなのだから、人間の考えていることなど手に取るようにわかるはずなのだ。阿呆はどうやら吾輩のほうだったようだ。とっくに自覚はしていたが。
「で、どうする? 刑は終わったけど、まだしばらくこの命のままで生きてみる? それともまた生まれ変わる? 今度は記憶も自我も継続無しだけど」
 吾輩は考えた。このまま赤子でいても、肉親はとうにおらず、孤独な人生ばかりでどうせ味気がないに決まっている。だが、自我も記憶もなく生まれ変わったとしても、吾輩のことだからまた前世と同じ過ちを繰り返しかねない。なんとなく予想がついた。まず間違いないだろう。
 俯く吾輩を見て、乙女はしばし思案し、そしてけらけらと笑いだした。腹が経つほど可愛い笑顔だ。
「よし、じゃあ、こうなってしまったからにはわたしが当分面倒を看てあげよう。わたし達からすればあんたら人間の寿命なんてあっという間よ。そして然る後に、わたしの弟子にしてあげよう。わたし、あと少しで現場職終えて出世するからさ、そしたらあなたに引き継いでもらう。喜びたまえ、ただの人間からすればこれは大出世よ。なんたって神の遣いであり、なおかつわたしの弟子になれるんだから」
「屈辱だ」
「あんだって?」
「いえ、なんでもないです」
 吾輩は乙女の腕に抱かれたまま、路地裏を出た。目に映る朝陽があまりに温かく感動的で、吾輩はあうあうと感涙した。朝陽がこんなにも美しいものだとは、そして朝陽を迎えることがこんなにも奇跡的だなんて、今まで考えたこともなかった。 
 ◇
 こうして、吾輩の数奇な運命はひとまずの段落をつけた次第である。それ以後にもある意味超越的な運命が待ち構えていたのだが、とりあえずそれは別の機会にでも記そうかと思う。この拙い文章を読んで頂けた諸君ら人間達にも、何か感ずることがあれば吾輩としても冥利に尽きるというものである。さすれば、強いままニューゲームなどと手間のかかる刑罰を受けることも万が一にあるまい。
「神とはどんな奴だ」
 吾輩は朝陽の射す街中で、乙女の顔を見上げて尋ねてみた。
 乙女は口許を硬く吊り上げる。
「むちゃくちゃ恐いよ。すぐ怒るし。なに、喧嘩でも売るの?」
「違う。ただ……」
「ただ?」
 吾輩はしかし、言葉を噤んだ。
 吾輩の父母と、そして吾輩を捨てたあの少女に、願わくば幸福を、と言いかけたのであった。
 この無言の祈願が、どうか神とやらに受け入れられることを今は願いたい。

後書き

未設定


作者 まっしぶ
投稿日:2012/12/07 07:21:42
更新日:2012/12/16 20:34:57
『強いままニューゲーム』の著作権は、すべて作者 まっしぶ様に属します。
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