小説を「読む」「書く」「学ぶ」なら

創作は力なり(ロンバルディア大公国)


小説鍛錬室

   小説投稿室へ
運営方針(感想&評価について)

読了ボタンへ
作品紹介へ
感想&批評へ
作者の住民票へ

作品ID:585

こちらの作品は、「お気軽感想希望」で、ジャンルは「一般小説」です。

文字数約954文字 読了時間約1分 原稿用紙約2枚


読了ボタン

button design:白銀さん Thanks!
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。

あなたの読了ステータス

(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「赤髪を啜る」を読み始めました。

読了ステータス(人数)

読了(374)・読中(4)・読止(0)・一般PV数(1084)

読了した住民(一般ユーザは含まれません)

遠藤 敬之 ■ある住民 


小説の属性:一般小説 / 未選択 / お気軽感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし /

赤髪を啜る

作品紹介

紅茶に含まれる、なんとかって成分は、すっごく髪にいいのよ?

知ってたかしら?


 カップの中で踊る深い茶色は、時折、自分の髪の色とそっくりに見えることがある。
 注がれた紅茶の色と私の髪の色がよく似ているから、私は紅茶に混ぜ物を入れて飲むことはしない。紅茶が淀むと同時に、私の髪まで濁ったりしたら大変だから。
 透き通って、カップの底まで見渡せる液体が、私には時折渦巻のようにとぐろを巻いて収まっている私の毛髪の塊に見える時がある。垂れ下がっている髪の毛が、全てカップに収まるくらいに縮んでいって、私はそれをこくんと飲み下す。
 歯に絡まり、舌に纏わりつき、喉に張り付く髪を、ザラつく独特の触感を口内でいっぱいに享受しながらの嚥下。
 紅茶の琥珀は私の琥珀だから、私は私を飲んでいることになるのかしら。
 紅茶を飲み続けるたびに、私は自身の髪がどんどんと短くなっていく錯覚にとらわれる。とぐろを巻くようにカップを満たしていた紅茶が、切り落とされたようにちぎれた髪に見え始め、深い茶色の全てが自分の髪と混じり合う。
 カップの液体が私の髪なのか。それとも、私の髪がカップの液体になっていたのか。深い茶色の水面に映る私の顔。美しい茶色で満たされている私。
 なんて美しい色の髪なのかしら。我ながら、最高の色つやだわ。
「あら。紅茶が無くなってしまったわ」
 紅茶の琥珀がないと、私は美しくなれない。紅茶の湛えた深い、深い茶色こそ、私を一番に美しくさせる。
 色無しの髪なんて、無彩色の水みたいに薄っぺらい。カップに注がれた色こそ、私の髪色にふさわしい。
 お気に入りのCDなんか聞きながら、私は私の髪を飲む。
 混ぜ物なんて必要ない。ミルクもシュガーも、この神秘とすら思える髪の前では美しさを汚す泥でしかない。

 飲み乾す前に注ぎ足して、髪を嚥下する度に私の中に『美しい色』が広がっていくのが分かる。
 これは、愛だ。
 私が美しくあるための、琥珀の髪への愛なのだ。

 魂が色を欲している。紅茶が無いと生きていけない。紅茶を飲まないと美しくなれない。
 そう錯覚した女は、四六時中、生活のいたる所で、食事や睡眠の代わりに紅茶を飲み続けた。
 
 しばらくその生活を続けたのち、女は自ら自身の毛髪を引きちぎりながらカフェイン中毒で狂死した。

後書き

未設定


作者 灰縞 凪
投稿日:2016/09/22 21:43:05
更新日:2016/09/22 21:46:27
『赤髪を啜る』の著作権は、すべて作者 灰縞 凪様に属します。
HP『

読了ボタン

button design:白銀さん Thanks!

読了:小説を読み終えた場合クリックしてください。
読中:小説を読んでいる途中の状態です。小説を開いた場合自動で設定されるため、誤って「読了」「読止」押してしまい、戻したい場合クリックしてください。
読止:小説を最後まで読むのを諦めた場合クリックしてください。
※β版(試用版)の機能のため、表示や動作が変更になる場合があります。

自己評価


感想&批評

作品ID:585
「赤髪を啜る」へ

小説の冒頭へ
作品紹介へ
感想&批評へ
作者の住民票へ

ADMIN
MENU
ホームへ
公国案内
掲示板へ
リンクへ

【小説関連メニュー】
小説講座
小説コラム
小説鍛錬室
小説投稿室
(連載可)
住民票一覧

【その他メニュー】
運営方針・規約等
旅立ちの間
お問い合わせ
(※上の掲示板にてご連絡願います。)


リンク共有お願いします!

かんたん相互リンク
ID
PASS
入力情報保存

新規登録


IE7.0 firefox3.5 safari4.0 google chorme3.0 上記ブラウザで動作確認済み 無料レンタル掲示板ブログ無料作成携帯アクセス解析無料CMS