作品ID:104
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「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
一人、また一人増えていく。
前の話 | 目次 | 次の話 |
最近、オーティスとスカラがこの家に居る機会が増えているような気がする。
いや、気がするじゃなくて本当に増えている。
「ねぇ。オーティス。スカラ。二人には家、なかったっけ?」
朝6時。まだ覚醒しきっていない頭を抱えながらここ最近、考えている疑問を二人にぶつける。
確か、オーティスもスカラもちゃんとした家があったはず。なのにその家を売り払ってでもこの家に居る意味とはあるのか?
ない。オーティスは別として。スカラはその能力のせいで他の召喚獣、たとえば私みたいな知り合いの召喚獣が居る場所にいたい、という気持ちはわかるが……。
「……スカラ。言ってなかったか?」
オーティスが沈黙に耐え切れなかったようで、口を開く。開いたがその言葉はキュリスの予想を大きく超えていた。
キュリスはこの家にいる意味を問うた。だがオーティスはまるで別の話を切り出すかのようだった。
「言ってない。私はオーティスが言ってるんだと思ったからね」
「……じゃあキュリスのほうには連絡行ってないのか」
オーティスとスカラの話が分からない。
何を言っている? 自分が知らないこと?
そういえば、最近この二人の姿を見ることは多くとも、フェクトとネオの姿を見ない。
入れ替わるようにフェクトとネオは姿を消した? そして代わりにオーティスたちを?
何のために?
「フェクトとネオちゃんが居ないの?」
もしもこの考えがあっているのなら、フェクトとネオが居ない。フェクトが護ってきたネオは連れて行ったのだろうか?
「キュリス。フェクトは居ない。確かにそれは合っている。だがネオが居ない、というのは合っていない。フェクトは勝手に姿を消した。己の部屋までも消して。だがネオは追いかけていったんだ。フェクトを。フェクトと遊ぶという約束を果たすために。たった一人で」
オーティスから聞かされる言葉。フェクトが居ない。だがネオはそれを追いかけた。
だとするとネオはフェクトが失踪した理由も、行き場所も知っているはず。
「何でネオちゃんは知っていたの?」
すっかり覚醒してしまった頭をフル回転させ、頭痛に悩まされながらも少しのネオへの怒りを覚える。
「フェクトは居なくなる前、手紙を残していった。ネオが読んだあと、ネオは中身の便箋だけを抜いて封筒は置いていった」
「じゃあその封筒に何かない!?」
「どういう意味だ?」
「たとえば文字。召喚獣にだけ分かる文字」
「魔力で書かれた文字、か。なかった。その可能性は考えた。実行に移したがなかったんだ」
「……分かった」
椅子〈木製〉からふらふらと立ち上がる。
自室にひき戻ろうとしたそのときだったか?
「ただいまぁー!」
「ネオ。煩いわよ」
「む。おかあさん、おせっきょう、やー!」
「ネオ」
「うー。おかあさん、おこる!」
玄関から靴を履いたまま駆け寄ってくるネオ。そしてその後ろに立つ……。
「ただいま。そして久しぶり。キュリス。オーティスにスカラも」
桐生ハツカ。ネオの父であるネルを支え続け14年。
そのハツカがこの家に帰ってきた。
「ただいま。キュリス。久しぶりね、貴女と会うのも、この家に帰ってくるのも」
「お帰りなさい。ハツカ」
「有難う、スカラ。……でね!」
そこからハツカの文句が発動。
「何で、フェクトが居ないの!?」
「い、いやそれを今、言っていてフェクトを探しに行く準備のため自室に引き上げようとしたところでハツカが帰ってきたの」
キュリスは少し吃驚しながらも何とか口を開く。
「あらそう。フェクトを探しに……。フェクトが、あの子が失踪するなんて余程の事があったのかしら。あの子、理由もなく失踪とかするわけないしね」
「ハツカがそう言うならそうなのだろうな」
「あらオーティスも居るの? どうせ、あの子に頼まれたんでしょう? キュリスやネオを護ってくれって。スカラもそう言われてこの家にとどまってるんでしょ?」
実のところ、ハツカはこのオーティスとスカラをよく思っていない。
寧ろキュリスも良く思われていない、と言ってもいいだろう。
ハツカがよく思っているのはフェクトだけ。
その能力もそうだが、ハツカを惹きつけているのはフェクトという存在。
フェクトという存在しかハツカは信じていない。
「まぁ、フェクトが失踪したのは何か理由があるとして。オーティスもスカラも知りたいんでしょう? キュリスも」
「当然」
ハツカの問いにキュリスが返す言葉はキュリスがフェクトに贈る想いを詰め込んでいた。
「オーケー。ネオ。行くよ」
「わー! またフォレクに会えるの!?」
ネオは嬉しそうだ。
「フォレクって、フォレクタクティス?」
「そう。フェクトと仲いいからね。彼は。でも彼でもフェクトの居場所はわからないって言ってた。けれど彼が居ればフェクトは何とかこの家に返してもらえるかもしれない」
「返してもらう?」
「フェクトは誘拐された」
「フェクトが?」
信じられない事だ。フェクトはその攻撃力を要とした猛攻タイプ。
そんなフェクトが誘拐されるなどありえないことだ。
まずフェクトなら誘拐される前に策を打つ。
「でもフェクトが誘拐されたんなら、とり返すのみ」
「よーし! 了解! ネオ、準備はいい?」
「うん」
「じゃご案内」
「フォレク。ハツカは帰ったか?」
「帰ったみたい。けどまた来るよ」
「しつこいなぁ、ハツカも」
「ハツカの長所と短所としてしつこい、があげられるから」
「だな」
フェクトタクティスとフォレクタクティスの会話が此処にあった。
いや、気がするじゃなくて本当に増えている。
「ねぇ。オーティス。スカラ。二人には家、なかったっけ?」
朝6時。まだ覚醒しきっていない頭を抱えながらここ最近、考えている疑問を二人にぶつける。
確か、オーティスもスカラもちゃんとした家があったはず。なのにその家を売り払ってでもこの家に居る意味とはあるのか?
ない。オーティスは別として。スカラはその能力のせいで他の召喚獣、たとえば私みたいな知り合いの召喚獣が居る場所にいたい、という気持ちはわかるが……。
「……スカラ。言ってなかったか?」
オーティスが沈黙に耐え切れなかったようで、口を開く。開いたがその言葉はキュリスの予想を大きく超えていた。
キュリスはこの家にいる意味を問うた。だがオーティスはまるで別の話を切り出すかのようだった。
「言ってない。私はオーティスが言ってるんだと思ったからね」
「……じゃあキュリスのほうには連絡行ってないのか」
オーティスとスカラの話が分からない。
何を言っている? 自分が知らないこと?
そういえば、最近この二人の姿を見ることは多くとも、フェクトとネオの姿を見ない。
入れ替わるようにフェクトとネオは姿を消した? そして代わりにオーティスたちを?
何のために?
「フェクトとネオちゃんが居ないの?」
もしもこの考えがあっているのなら、フェクトとネオが居ない。フェクトが護ってきたネオは連れて行ったのだろうか?
「キュリス。フェクトは居ない。確かにそれは合っている。だがネオが居ない、というのは合っていない。フェクトは勝手に姿を消した。己の部屋までも消して。だがネオは追いかけていったんだ。フェクトを。フェクトと遊ぶという約束を果たすために。たった一人で」
オーティスから聞かされる言葉。フェクトが居ない。だがネオはそれを追いかけた。
だとするとネオはフェクトが失踪した理由も、行き場所も知っているはず。
「何でネオちゃんは知っていたの?」
すっかり覚醒してしまった頭をフル回転させ、頭痛に悩まされながらも少しのネオへの怒りを覚える。
「フェクトは居なくなる前、手紙を残していった。ネオが読んだあと、ネオは中身の便箋だけを抜いて封筒は置いていった」
「じゃあその封筒に何かない!?」
「どういう意味だ?」
「たとえば文字。召喚獣にだけ分かる文字」
「魔力で書かれた文字、か。なかった。その可能性は考えた。実行に移したがなかったんだ」
「……分かった」
椅子〈木製〉からふらふらと立ち上がる。
自室にひき戻ろうとしたそのときだったか?
「ただいまぁー!」
「ネオ。煩いわよ」
「む。おかあさん、おせっきょう、やー!」
「ネオ」
「うー。おかあさん、おこる!」
玄関から靴を履いたまま駆け寄ってくるネオ。そしてその後ろに立つ……。
「ただいま。そして久しぶり。キュリス。オーティスにスカラも」
桐生ハツカ。ネオの父であるネルを支え続け14年。
そのハツカがこの家に帰ってきた。
「ただいま。キュリス。久しぶりね、貴女と会うのも、この家に帰ってくるのも」
「お帰りなさい。ハツカ」
「有難う、スカラ。……でね!」
そこからハツカの文句が発動。
「何で、フェクトが居ないの!?」
「い、いやそれを今、言っていてフェクトを探しに行く準備のため自室に引き上げようとしたところでハツカが帰ってきたの」
キュリスは少し吃驚しながらも何とか口を開く。
「あらそう。フェクトを探しに……。フェクトが、あの子が失踪するなんて余程の事があったのかしら。あの子、理由もなく失踪とかするわけないしね」
「ハツカがそう言うならそうなのだろうな」
「あらオーティスも居るの? どうせ、あの子に頼まれたんでしょう? キュリスやネオを護ってくれって。スカラもそう言われてこの家にとどまってるんでしょ?」
実のところ、ハツカはこのオーティスとスカラをよく思っていない。
寧ろキュリスも良く思われていない、と言ってもいいだろう。
ハツカがよく思っているのはフェクトだけ。
その能力もそうだが、ハツカを惹きつけているのはフェクトという存在。
フェクトという存在しかハツカは信じていない。
「まぁ、フェクトが失踪したのは何か理由があるとして。オーティスもスカラも知りたいんでしょう? キュリスも」
「当然」
ハツカの問いにキュリスが返す言葉はキュリスがフェクトに贈る想いを詰め込んでいた。
「オーケー。ネオ。行くよ」
「わー! またフォレクに会えるの!?」
ネオは嬉しそうだ。
「フォレクって、フォレクタクティス?」
「そう。フェクトと仲いいからね。彼は。でも彼でもフェクトの居場所はわからないって言ってた。けれど彼が居ればフェクトは何とかこの家に返してもらえるかもしれない」
「返してもらう?」
「フェクトは誘拐された」
「フェクトが?」
信じられない事だ。フェクトはその攻撃力を要とした猛攻タイプ。
そんなフェクトが誘拐されるなどありえないことだ。
まずフェクトなら誘拐される前に策を打つ。
「でもフェクトが誘拐されたんなら、とり返すのみ」
「よーし! 了解! ネオ、準備はいい?」
「うん」
「じゃご案内」
「フォレク。ハツカは帰ったか?」
「帰ったみたい。けどまた来るよ」
「しつこいなぁ、ハツカも」
「ハツカの長所と短所としてしつこい、があげられるから」
「だな」
フェクトタクティスとフォレクタクティスの会話が此処にあった。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/06 13:27 更新日:2010/01/06 13:27 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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