作品ID:107
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(40)・読中(0)・読止(0)・一般PV数(129)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
火山噴火。そして強大なる炎エネルギー。
前の話 | 目次 | 次の話 |
稀に神聖なる道、というものが目の前に現れる。
その道は誰もが見れるものではないというが、実際に見たことがない私としてはそんなものが本当にあるのか、と神聖なる道の話を長々としてくれた友人に問い掛けた。
「そう答えられると困る。うん。実に困る。あるのか? といわれればある。だが、ないのか? と言われればない。それが事実」
「あるんだったらあるんだろう? ないと聞かれればないと。そんな気まぐれな道なんて聞いたことがないな」
「おぉ! オーティス、なかなか鋭い!」
「は?」
急に声を荒げた友人を横目にみる。因みに視線に含まれた意味は「何言ってるんだ?」
である。
「オーティスってさ。意外と鋭いだろ?」
「いや、自分で鋭いとかは分からないのでは……?」
この友人のテンションは常に変動する。落ち着きがない、といえばいいのだろうか。
「気まぐれ、なんだよ。結局は。道も、そしてそれを見る人も召喚獣も。たとえどんなに強大な力を要していてもタイミングを間違えたり、その力は自分のものだと勘違いしてしまっては何にもならない」
「それが?」
「うーん。オーティスは人に急かされるとダメなタイプか。まあいいや。んで続き。道も結局は人や召喚獣が見るもの、これは分かるか?」
「まあ。知識として一応は頭の中にあるな。残念ながら」
「その道は人や召喚獣が見る。だが人も召喚獣も生きる生命体だ。生命体は己の意思に従い、その気持ちを変えていく。たとえば……何かが好きだったのに気づけば嫌いになっている、とか。そんな感じだ。それが道にも影響する。だから道も気まぐれなんだ」
それだけ言って友人は去ろうとした。勿論、その神聖なる道の本当の意味を理解していない私は引き止める。
「待て。結局はその道はないのか? あるのか? それだけ言っていってもいいだろう?」
「いや。それはダメなんだ。それを言ってしまってはオーティスも俺たちもだめになる。自分で見つけねばならぬ答えも何もかも他人に頼ってしまう。それではダメだ」
私の制止を無視するかのように再び歩を進めた友人は今、何をしていてまた何処かで私にそうしたように誰かに問題を突きつけているのだろうか。
でも少し考えれば分かった事なんだ。
それに今更気づいた私はもう手遅れだ。
〈此処は……フォーススフィア?〉
フォーススフィア。人ならざる者どものみで構成された街。召喚獣だけの街。
だが何故にこんなところに足を踏み入れてしまったのだろうか? 私は先ほどまで空中に舞い上がっていたはずだが。
とりあえず、近くで店を見つけ店主に声をかける。勿論問いはこれだ。
「おい。此処はフォーススフィアか?」
少々、人に聞く態度ではないが仕方あるまい。こちらは空中から地上にあるこの街へと瞬間移動してしまったのだから。
そういう態度をとったからか? 店主は苦笑し当たり前だ、というように頷いた。
「そうか。有難う」
「ああ! もしかして、君も召喚獣を召喚した奴か?」
「ん? いや、違うがそれがどうした。召喚獣をこの世に召喚できる人間はこの召喚獣のみでできた唯一の街、フォーススフィアに奇跡的にこれたものだけだったはずだ」
店主からここがフォーススフィアだと聞くとその場を立ち去ろうとしたが店主に止められてしまう。一体何なんだ、と思えば私が召喚獣ではなく召喚獣を召喚した奴か、と聞かれた。
〈んな馬鹿な考え事をしている暇があったらもっと商売しろ〉
少なくともこの店の店主だろう、と心の中での言葉に付け加えておいた。
「あ、いや、それならいいんだ。なら君は召喚獣か。そういえば最近、炎エネルギーを蓄積している火山が噴火したが……見るところ君はたった今この街に降り立ったみたいだね」
〈炎エネルギー蓄積用火山が噴火した? そんな馬鹿な。あの火山は他にもある。決して噴火などしない。それこそ強大な炎エネルギーを纏った何かが火山の中に侵入しなければ……、いやある。ひとつだけある。方法はあるんだ。だけどそれを肯定するのは少し、な〉
炎エネルギーは召喚獣にとっても人にとっても大切な資源である。だがその大切な資源を保管する場所がなく、フォーススフィアにてその保管場所を造り上げた。それが炎エネルギー蓄積用火山である。しかしその容量はとても少なく、ひとつの火山のみでは現存する炎エネルギー全部を保管できないのだ。だから分割して色々な火山に保管しているはずだが……だからこそ、ひとつの火山が噴火するなどというのはない。
因みに、このフォーススフィアでいう火山噴火は容量に対して蓄積している炎エネルギーが多いとき稀に火山は噴火する。そのまま飛散したエネルギーは街に多大な損害を与える。
「すまない。もう少し聞いていいか?」
「何だ」
「その噴火直後、おかしな気配やら能力やらを察知したという情報は入ってきていないか? そう、それこそ火山が噴火するぐらいでかい炎エネルギーを所有した何かだ」
「へえ。君、今この街に来たばっかりのような感じなのに、意外と詳しいな。そうだ。噴火直後のニュースで強大な炎エネルギー察知の特集が組まれてたからな」
〈やはり、か〉
なぁ。フェクト、お前は一体何がしたいんだ? そして今度こそ聞かせてもらうぞ。
神聖なる道からの試練、とやらを。
『オーティス。神聖なる道っていうのはな? それに見合った者だけが見れるまさに神聖なる道なんだ。だからオーティス。こっちにくるな。絶対にだ』
振り向く。だがそこに友人は居ない。探し人は居ない。幻聴とは思えないほどリアルだったが無理やり幻聴と自分に言い聞かせる事にした。
オーティスは少なからず、フェクトに怒りを覚えているのかもしれなかった。
その道は誰もが見れるものではないというが、実際に見たことがない私としてはそんなものが本当にあるのか、と神聖なる道の話を長々としてくれた友人に問い掛けた。
「そう答えられると困る。うん。実に困る。あるのか? といわれればある。だが、ないのか? と言われればない。それが事実」
「あるんだったらあるんだろう? ないと聞かれればないと。そんな気まぐれな道なんて聞いたことがないな」
「おぉ! オーティス、なかなか鋭い!」
「は?」
急に声を荒げた友人を横目にみる。因みに視線に含まれた意味は「何言ってるんだ?」
である。
「オーティスってさ。意外と鋭いだろ?」
「いや、自分で鋭いとかは分からないのでは……?」
この友人のテンションは常に変動する。落ち着きがない、といえばいいのだろうか。
「気まぐれ、なんだよ。結局は。道も、そしてそれを見る人も召喚獣も。たとえどんなに強大な力を要していてもタイミングを間違えたり、その力は自分のものだと勘違いしてしまっては何にもならない」
「それが?」
「うーん。オーティスは人に急かされるとダメなタイプか。まあいいや。んで続き。道も結局は人や召喚獣が見るもの、これは分かるか?」
「まあ。知識として一応は頭の中にあるな。残念ながら」
「その道は人や召喚獣が見る。だが人も召喚獣も生きる生命体だ。生命体は己の意思に従い、その気持ちを変えていく。たとえば……何かが好きだったのに気づけば嫌いになっている、とか。そんな感じだ。それが道にも影響する。だから道も気まぐれなんだ」
それだけ言って友人は去ろうとした。勿論、その神聖なる道の本当の意味を理解していない私は引き止める。
「待て。結局はその道はないのか? あるのか? それだけ言っていってもいいだろう?」
「いや。それはダメなんだ。それを言ってしまってはオーティスも俺たちもだめになる。自分で見つけねばならぬ答えも何もかも他人に頼ってしまう。それではダメだ」
私の制止を無視するかのように再び歩を進めた友人は今、何をしていてまた何処かで私にそうしたように誰かに問題を突きつけているのだろうか。
でも少し考えれば分かった事なんだ。
それに今更気づいた私はもう手遅れだ。
〈此処は……フォーススフィア?〉
フォーススフィア。人ならざる者どものみで構成された街。召喚獣だけの街。
だが何故にこんなところに足を踏み入れてしまったのだろうか? 私は先ほどまで空中に舞い上がっていたはずだが。
とりあえず、近くで店を見つけ店主に声をかける。勿論問いはこれだ。
「おい。此処はフォーススフィアか?」
少々、人に聞く態度ではないが仕方あるまい。こちらは空中から地上にあるこの街へと瞬間移動してしまったのだから。
そういう態度をとったからか? 店主は苦笑し当たり前だ、というように頷いた。
「そうか。有難う」
「ああ! もしかして、君も召喚獣を召喚した奴か?」
「ん? いや、違うがそれがどうした。召喚獣をこの世に召喚できる人間はこの召喚獣のみでできた唯一の街、フォーススフィアに奇跡的にこれたものだけだったはずだ」
店主からここがフォーススフィアだと聞くとその場を立ち去ろうとしたが店主に止められてしまう。一体何なんだ、と思えば私が召喚獣ではなく召喚獣を召喚した奴か、と聞かれた。
〈んな馬鹿な考え事をしている暇があったらもっと商売しろ〉
少なくともこの店の店主だろう、と心の中での言葉に付け加えておいた。
「あ、いや、それならいいんだ。なら君は召喚獣か。そういえば最近、炎エネルギーを蓄積している火山が噴火したが……見るところ君はたった今この街に降り立ったみたいだね」
〈炎エネルギー蓄積用火山が噴火した? そんな馬鹿な。あの火山は他にもある。決して噴火などしない。それこそ強大な炎エネルギーを纏った何かが火山の中に侵入しなければ……、いやある。ひとつだけある。方法はあるんだ。だけどそれを肯定するのは少し、な〉
炎エネルギーは召喚獣にとっても人にとっても大切な資源である。だがその大切な資源を保管する場所がなく、フォーススフィアにてその保管場所を造り上げた。それが炎エネルギー蓄積用火山である。しかしその容量はとても少なく、ひとつの火山のみでは現存する炎エネルギー全部を保管できないのだ。だから分割して色々な火山に保管しているはずだが……だからこそ、ひとつの火山が噴火するなどというのはない。
因みに、このフォーススフィアでいう火山噴火は容量に対して蓄積している炎エネルギーが多いとき稀に火山は噴火する。そのまま飛散したエネルギーは街に多大な損害を与える。
「すまない。もう少し聞いていいか?」
「何だ」
「その噴火直後、おかしな気配やら能力やらを察知したという情報は入ってきていないか? そう、それこそ火山が噴火するぐらいでかい炎エネルギーを所有した何かだ」
「へえ。君、今この街に来たばっかりのような感じなのに、意外と詳しいな。そうだ。噴火直後のニュースで強大な炎エネルギー察知の特集が組まれてたからな」
〈やはり、か〉
なぁ。フェクト、お前は一体何がしたいんだ? そして今度こそ聞かせてもらうぞ。
神聖なる道からの試練、とやらを。
『オーティス。神聖なる道っていうのはな? それに見合った者だけが見れるまさに神聖なる道なんだ。だからオーティス。こっちにくるな。絶対にだ』
振り向く。だがそこに友人は居ない。探し人は居ない。幻聴とは思えないほどリアルだったが無理やり幻聴と自分に言い聞かせる事にした。
オーティスは少なからず、フェクトに怒りを覚えているのかもしれなかった。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/10 14:44 更新日:2010/01/10 14:44 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
前の話 | 目次 | 次の話 |
読了ボタン