作品ID:109
あなたの読了ステータス
(読了ボタン正常)一般ユーザと認識
「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
読了ステータス(人数)
読了(43)・読中(0)・読止(0)・一般PV数(111)
読了した住民(一般ユーザは含まれません)
炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
火山中央部。響く音色。
前の話 | 目次 | 次の話 |
昔の話だが、以前一度だけ炎エネルギーの価値というものについて議論されたことがある。もうずっと昔だ。
「何故、何故お前はレールの上を走っていかない? 嫌になったのか?」
正直な話、この炎エネルギーの価値など結局はそんなに価値がないものと考えている。
まあ、そんな考えに行き着くのは私だけだと思うが。
だが事実、炎エネルギーは人の手でも起こせる力であり、稲妻などの自然から生まれる力とは別であって特に炎エネルギーが必要、とわめく人々は居ない。
それこそ。フェクトのような炎から生まれ、炎で散りゆくことを決定付けられた炎の召喚獣など居なくても構わないのだ。
因みに。此処で召喚獣をだしたのは召喚獣が一種の神でもあるからだ。
全ての力の根源には召喚獣あり。
それがこのフォーススフィアをはじめとした召喚獣の世界での常識。
「フェクト。答えてくれないか」
疑問系ではなく絶対に答えてくれると確信し、放つ言葉。
オーティスは次々と起こる噴火の理由を炎エネルギーの保管場所である火山の容量オーバーが原因だと考えている。だがそうそう火山の容量をオーバーするほどの強大な炎エネルギーは火山に蓄積されない。それどころか容量オーバーする前に他の火山へとエネルギーは送られるだろう。
そんな思考がありつつも強大な炎エネルギーが火山に漂着した、という可能性を捨てないのはその炎エネルギーの塊ともいえる召喚獣を知っているからか。
「フェクト。何も答えないのか?」
その炎エネルギーの塊である召喚獣、フェクトタクティスが目の前に居る。それはいいのだが……。
〈目に何もない。心は読み取れないほど無。それに近い、か……〉
まるで死んでいるみたいだ、と思ったがそれもそうだと分かる。
今のフェクトは死んでいる。
「何故だ。今までお前は護ってきただろう!? 大事な何か、と言って! けれどお前は結局、最後には護れない。それが嫌になったのか? だから自分の目の前を走るレールにも飽きたのか? 何だ? 今のお前が本当のお前か。ならば私はお前を評価しすぎていたようだな。お前は護れないと知りつつもいつも護ってきたじゃないか。もう護るのは嫌になったのか。そうか。ならそれはそれでいい。だがな。今のお前は絶対にいつか朽ちる。そして全てをなくす。お前が抱いた覚悟も!」
今のフェクトは死んでいる。だからこそほうっておけば尚、悪化するだけだろう。
この言葉にも耳を貸さぬお前ならば、私は本当にお前に期待しすぎていたのだな。
「答えろ。お前は炎に従う獣だっただろう! 何故今になってレールから脱線したんだ? 常々お前は言っていたな。自分の価値などどれだけのものだろうと。それはおまえ自身が決めることだ。他人に聞くことではない! それすらも分からぬお前だったのか?」
私たちに死ぬなどという考えは許されぬ。
「死にたいのか?」
一瞬。ほんの一瞬、フェクトの首が縦に振られた気がした。だからだろう。
音がない火山中央部にひとつの音が鳴った。
雷鳴ともとれる。悲しみの音色ともとれるか。
オーティスはフェクトの首が縦に降られたのを見て、思わず背後に回り即座にその首を掴んだ。
見せてやろう。お前が何をしたのか。お前がそれだけの価値だということを。
「フェクトタクティス! いいだろう。そんなに世界が見たくないというのなら見せ付けてやろう。そしてお前はそれだけの価値だったというのも知ることだ」
即座に展開する空気も空も何もかも切り裂くかのように空へと突き上げる大きな翼。
フェクトを掴んだまま、火山を一気に脱出する。
フェクトの目にもオーティスの目にも映ったのは。
「フェクトー!」
桐生ネオ、だった。
その後ろには桐生ハツカ、そして。
「フェクトだ。久しぶりだねー。フェクト」
そんなに日は経っていないような気がするがそう言うキュリス。
オーティスは正直、こんなに素直にネオたちがこの火山入り口付近に来てくれるとは思わなかった。
そう。そう思っていた。ネオやキュリス。そして。
〈スカラの遺志もあった〉
ハツカから聞いたスカラの遺志を聞くまでは。
「何故、何故お前はレールの上を走っていかない? 嫌になったのか?」
正直な話、この炎エネルギーの価値など結局はそんなに価値がないものと考えている。
まあ、そんな考えに行き着くのは私だけだと思うが。
だが事実、炎エネルギーは人の手でも起こせる力であり、稲妻などの自然から生まれる力とは別であって特に炎エネルギーが必要、とわめく人々は居ない。
それこそ。フェクトのような炎から生まれ、炎で散りゆくことを決定付けられた炎の召喚獣など居なくても構わないのだ。
因みに。此処で召喚獣をだしたのは召喚獣が一種の神でもあるからだ。
全ての力の根源には召喚獣あり。
それがこのフォーススフィアをはじめとした召喚獣の世界での常識。
「フェクト。答えてくれないか」
疑問系ではなく絶対に答えてくれると確信し、放つ言葉。
オーティスは次々と起こる噴火の理由を炎エネルギーの保管場所である火山の容量オーバーが原因だと考えている。だがそうそう火山の容量をオーバーするほどの強大な炎エネルギーは火山に蓄積されない。それどころか容量オーバーする前に他の火山へとエネルギーは送られるだろう。
そんな思考がありつつも強大な炎エネルギーが火山に漂着した、という可能性を捨てないのはその炎エネルギーの塊ともいえる召喚獣を知っているからか。
「フェクト。何も答えないのか?」
その炎エネルギーの塊である召喚獣、フェクトタクティスが目の前に居る。それはいいのだが……。
〈目に何もない。心は読み取れないほど無。それに近い、か……〉
まるで死んでいるみたいだ、と思ったがそれもそうだと分かる。
今のフェクトは死んでいる。
「何故だ。今までお前は護ってきただろう!? 大事な何か、と言って! けれどお前は結局、最後には護れない。それが嫌になったのか? だから自分の目の前を走るレールにも飽きたのか? 何だ? 今のお前が本当のお前か。ならば私はお前を評価しすぎていたようだな。お前は護れないと知りつつもいつも護ってきたじゃないか。もう護るのは嫌になったのか。そうか。ならそれはそれでいい。だがな。今のお前は絶対にいつか朽ちる。そして全てをなくす。お前が抱いた覚悟も!」
今のフェクトは死んでいる。だからこそほうっておけば尚、悪化するだけだろう。
この言葉にも耳を貸さぬお前ならば、私は本当にお前に期待しすぎていたのだな。
「答えろ。お前は炎に従う獣だっただろう! 何故今になってレールから脱線したんだ? 常々お前は言っていたな。自分の価値などどれだけのものだろうと。それはおまえ自身が決めることだ。他人に聞くことではない! それすらも分からぬお前だったのか?」
私たちに死ぬなどという考えは許されぬ。
「死にたいのか?」
一瞬。ほんの一瞬、フェクトの首が縦に振られた気がした。だからだろう。
音がない火山中央部にひとつの音が鳴った。
雷鳴ともとれる。悲しみの音色ともとれるか。
オーティスはフェクトの首が縦に降られたのを見て、思わず背後に回り即座にその首を掴んだ。
見せてやろう。お前が何をしたのか。お前がそれだけの価値だということを。
「フェクトタクティス! いいだろう。そんなに世界が見たくないというのなら見せ付けてやろう。そしてお前はそれだけの価値だったというのも知ることだ」
即座に展開する空気も空も何もかも切り裂くかのように空へと突き上げる大きな翼。
フェクトを掴んだまま、火山を一気に脱出する。
フェクトの目にもオーティスの目にも映ったのは。
「フェクトー!」
桐生ネオ、だった。
その後ろには桐生ハツカ、そして。
「フェクトだ。久しぶりだねー。フェクト」
そんなに日は経っていないような気がするがそう言うキュリス。
オーティスは正直、こんなに素直にネオたちがこの火山入り口付近に来てくれるとは思わなかった。
そう。そう思っていた。ネオやキュリス。そして。
〈スカラの遺志もあった〉
ハツカから聞いたスカラの遺志を聞くまでは。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/11 17:22 更新日:2010/01/11 17:22 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
前の話 | 目次 | 次の話 |
読了ボタン