作品ID:112
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「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
新たな空を創り出す
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〈スカラの遺志もあるしな……〉
展開していた翼を閉じ、フェクトに声をかける。
「分かったか。お前の価値はまだある。見捨てたもんじゃないな。まあ、ネオたちが優しすぎるだけだろうが」
フェクトを突き放す言い方だったが、それにネオもキュリスも何も言わなかった。
「スカラが……死んだ」
フェクトが反応する。その力も何もない瞳がオーティスを映す。
スカラが死んだ。それは召喚獣たちにとって、フォーススフィアに住まうものたちにとって予想せぬできごとであり、すぐ対処せねばならない問題だ。
「スカラが死んだ。それはこのフォーススフィアにとって他の召喚獣たちにとってすぐにでも対処せねばならぬ問題となった。それもそうだろう」
スカラはその姿に見合う年齢……12歳ぐらいだ。そんな小さな少女が担っていた、背負っていた使命と抱いていた覚悟とは。
「スカラはこのフォーススフィアや他の世界の全ての天候を支えていた。それはまだ幼いスカラにとって苦痛にしかならなかっただろう。だがスカラは常々言っていたぞ?」
フェクトは反応しない。ネオはいつもの騒がしさがなくなり、完全な静寂が残る。
「『私が居る。そうして空は出来上がる。ならば、私はずっと苦痛が私を支配しようともずっとこの空を創り続ける』」
「創り続ける……」
「そう。まあ本人はその後、奇麗事に聞こえるでしょうけどね、と言っていた」
「この空はスカラが創り出したもの?」
「分かったか? スカラは居なくなった。それは空がなくなるということだ。スカラがこの空を創り出していた。創り出していたスカラはもう居ない」
消えていく空。無くなっていく光。終わる希望。
「スカラはもう居ないんだ。フォーススフィアも、他の世界も光は消えた」
暗闇があたりを支配する。勿論。フォーススフィアも。今ごろ、普通の人が暮らす世界も暗闇に飲み込まれただろう。
「お前が空となれ」
羽ばたく翼。何もかも切り裂く翼。天空へと続く道はオーティスの翼が切り開く。
その翼も今は見えぬ。暗闇と同化し、目には見えぬ。だが其処に在ると確信できるのは。
神の一人と崇められ、抱き続けた覚悟。それがオーティスの体内から発光していた。
「お前が、また炎に従えば空は復活するだろう」
連れて行ってやる。お前が嫌がるのなら、強制的に連れて行ってやろう。
「俺が? 俺が空に?」
「そうだ。お前が炎に従い、空になれば光は復活するだろうな」
「まってー! フェクト、つれていっちゃいやー!」
今まで黙っていたネオがフェクトを連れて行く、というのを察したのか騒がしくなる。
「ネオちゃん! フェクトはね、空になるの」
「おそらに?」
「空になるの。ネオちゃん、だから、フェクトもオーティスも困らせちゃダメ」
フェクトの服の裾をぎゅっと掴んだネオを抱きしめるキュリス。言葉には寂しくないという強がりと哀しいという本当の気持ちが含まれていて。
「キュリス? キュリス……、有難う。でも、空に行くしかない」
オーティスに答えを出す。
「行くよ。空に。なってやる。それで俺の覚悟にそむくことがないのなら」
「オーケー。なら行くか」
フェクトの体内に高濃度の炎エネルギーが蓄積される。光となる、というのはこのことだったのか。
「お前は炎だ。炎に従うとはいえ、炎は光に変わらない。炎は光になれる。だから、大丈夫。その光が空を突きぬけ、新たな空が誕生するまで私は空と地上を結びつけよう。空が誕生するまで」
フェクトの高濃度炎エネルギーはオーティスに吸収される。それをオーティスは空へと放つ。穿たれる穴。制限を知らぬ、暗闇。
それらが出てくる。だがネオも誰も怖がる事がなかった。
〈これが炎の力だ。炎は光となれる。それは炎のエネルギー源だ。だが私にもわからぬことがある。それは……本当に炎に従うお前が空になれるのか、だ〉
高濃度炎エネルギーがフェクトたちを暗闇から護る。護られている間にフェクトは穿たれた穴へと飛び立つ。
高濃度炎エネルギーでできた翼がフェクトに生える。
「行くぞ。オーティス」
「分かっている。……ネオ。待っていろ。いつか一緒に遊ぶって決めただろう?」
「うん」
「なら待っていてくれ。いつか帰ってくる。約束」
「やくそく……やくそく!」
ネオは騒ぐ。約束、その言葉に反応した。
「オーティス」
「フェクト。そんなに慌てるな」
先ほどの死んでいるフェクトじゃない。
飛び立った後。
「お前、生きてるじゃないか」
「は?」
「いや、なんでもない。ただお前は今、確かに此処に存在していると言っているだけだ」
〈スカラ。大丈夫だ。お前の覚悟は分かっているつもりだ。お前は……空を護りたいという純粋な覚悟を抱いていたのだな〉
展開していた翼を閉じ、フェクトに声をかける。
「分かったか。お前の価値はまだある。見捨てたもんじゃないな。まあ、ネオたちが優しすぎるだけだろうが」
フェクトを突き放す言い方だったが、それにネオもキュリスも何も言わなかった。
「スカラが……死んだ」
フェクトが反応する。その力も何もない瞳がオーティスを映す。
スカラが死んだ。それは召喚獣たちにとって、フォーススフィアに住まうものたちにとって予想せぬできごとであり、すぐ対処せねばならない問題だ。
「スカラが死んだ。それはこのフォーススフィアにとって他の召喚獣たちにとってすぐにでも対処せねばならぬ問題となった。それもそうだろう」
スカラはその姿に見合う年齢……12歳ぐらいだ。そんな小さな少女が担っていた、背負っていた使命と抱いていた覚悟とは。
「スカラはこのフォーススフィアや他の世界の全ての天候を支えていた。それはまだ幼いスカラにとって苦痛にしかならなかっただろう。だがスカラは常々言っていたぞ?」
フェクトは反応しない。ネオはいつもの騒がしさがなくなり、完全な静寂が残る。
「『私が居る。そうして空は出来上がる。ならば、私はずっと苦痛が私を支配しようともずっとこの空を創り続ける』」
「創り続ける……」
「そう。まあ本人はその後、奇麗事に聞こえるでしょうけどね、と言っていた」
「この空はスカラが創り出したもの?」
「分かったか? スカラは居なくなった。それは空がなくなるということだ。スカラがこの空を創り出していた。創り出していたスカラはもう居ない」
消えていく空。無くなっていく光。終わる希望。
「スカラはもう居ないんだ。フォーススフィアも、他の世界も光は消えた」
暗闇があたりを支配する。勿論。フォーススフィアも。今ごろ、普通の人が暮らす世界も暗闇に飲み込まれただろう。
「お前が空となれ」
羽ばたく翼。何もかも切り裂く翼。天空へと続く道はオーティスの翼が切り開く。
その翼も今は見えぬ。暗闇と同化し、目には見えぬ。だが其処に在ると確信できるのは。
神の一人と崇められ、抱き続けた覚悟。それがオーティスの体内から発光していた。
「お前が、また炎に従えば空は復活するだろう」
連れて行ってやる。お前が嫌がるのなら、強制的に連れて行ってやろう。
「俺が? 俺が空に?」
「そうだ。お前が炎に従い、空になれば光は復活するだろうな」
「まってー! フェクト、つれていっちゃいやー!」
今まで黙っていたネオがフェクトを連れて行く、というのを察したのか騒がしくなる。
「ネオちゃん! フェクトはね、空になるの」
「おそらに?」
「空になるの。ネオちゃん、だから、フェクトもオーティスも困らせちゃダメ」
フェクトの服の裾をぎゅっと掴んだネオを抱きしめるキュリス。言葉には寂しくないという強がりと哀しいという本当の気持ちが含まれていて。
「キュリス? キュリス……、有難う。でも、空に行くしかない」
オーティスに答えを出す。
「行くよ。空に。なってやる。それで俺の覚悟にそむくことがないのなら」
「オーケー。なら行くか」
フェクトの体内に高濃度の炎エネルギーが蓄積される。光となる、というのはこのことだったのか。
「お前は炎だ。炎に従うとはいえ、炎は光に変わらない。炎は光になれる。だから、大丈夫。その光が空を突きぬけ、新たな空が誕生するまで私は空と地上を結びつけよう。空が誕生するまで」
フェクトの高濃度炎エネルギーはオーティスに吸収される。それをオーティスは空へと放つ。穿たれる穴。制限を知らぬ、暗闇。
それらが出てくる。だがネオも誰も怖がる事がなかった。
〈これが炎の力だ。炎は光となれる。それは炎のエネルギー源だ。だが私にもわからぬことがある。それは……本当に炎に従うお前が空になれるのか、だ〉
高濃度炎エネルギーがフェクトたちを暗闇から護る。護られている間にフェクトは穿たれた穴へと飛び立つ。
高濃度炎エネルギーでできた翼がフェクトに生える。
「行くぞ。オーティス」
「分かっている。……ネオ。待っていろ。いつか一緒に遊ぶって決めただろう?」
「うん」
「なら待っていてくれ。いつか帰ってくる。約束」
「やくそく……やくそく!」
ネオは騒ぐ。約束、その言葉に反応した。
「オーティス」
「フェクト。そんなに慌てるな」
先ほどの死んでいるフェクトじゃない。
飛び立った後。
「お前、生きてるじゃないか」
「は?」
「いや、なんでもない。ただお前は今、確かに此処に存在していると言っているだけだ」
〈スカラ。大丈夫だ。お前の覚悟は分かっているつもりだ。お前は……空を護りたいという純粋な覚悟を抱いていたのだな〉
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/12 20:39 更新日:2010/01/12 20:39 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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