作品ID:122
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桜の鬼
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
昼、
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桜の木の下には沈黙が訪れていた。
今日も例によって桜火が狩ってきた獲物と、その辺に生えているらしい野菜系の何か、さくらんぼという微妙な昼食をとっていたからだ。
「……さくらんぼが年中食べられるって凄いよな」
「そうか?」
「普通花が咲く普通の桜は食べておいしいさくらんぼはならないし、食べられるものでも年中なんてないし」
「まぁこの桜、普通の木じゃないしな」
「っていうか普通じゃなかったらどんな桜なんだ?」
桜火は干し肉を齧る手を止めて、少し考える。
「………………精霊?」
「え、桜火が精霊なんじゃなかったのか?」
「俺はまぁ、そうなんだが……。意思はある。心も多分、ある。けど、それ以上は動かない。そんな特殊な精霊の化身がこの桜……なんだ」
「じゃあ桜火は?」
「それを守る守護精霊……? 鬼? かな」
「へぇ……一心同体みたいな感じか?」
「そんな感じじゃないか? もう一緒にいる年月が長すぎて同化してしまってるような面も多々あるが」
「凄いなー」
「そんなものか?」
「凄いじゃないか。何か凄い」
「何かって何だ」
「わからん」
また沈黙。
ふと桜火が顔を上げた。どこかで犬の声がしたような――?
「桜火」
咲が少し神妙な顔で桜火に詰め寄る。
「あのな」
「な、何だ」
「……お前いったい何歳なんだ?」
「は?」
「年齢、年、いくつ!」
「…………か、数えてない…………」
「な、何でだ!」
「数えてても空しいだけじゃないか」
「あー……まぁ良いか」
「何が」
一人で納得している咲を不思議そうに見つめる桜火。
「教えてやろう」
「だから何なんだ」
かなり勿体をつけて再度口を開く咲。
「いやまぁ……こんな事本人の前で言うのは恥ずかしいというかなんというかなんだが……」
「おい?」
「あーもう! 言うぞ! 私の初恋はお前なんだよ!」
「はっ? はつこい? いきなり何を」
「そんな自分の年もわからないくらい生きてるんだから意味ぐらいわかるよな!」
「いやわかるけど、ってお前な」
物凄く堂々としすぎな告白に桜火は面食らうどころではなかった。
「ま、とりあえず言ったからな。覚えておけよ?」
「ああ……」
目を瞬く桜火を尻目に昼食を再会する咲。
なんとも不思議な昼時であった。
今日も例によって桜火が狩ってきた獲物と、その辺に生えているらしい野菜系の何か、さくらんぼという微妙な昼食をとっていたからだ。
「……さくらんぼが年中食べられるって凄いよな」
「そうか?」
「普通花が咲く普通の桜は食べておいしいさくらんぼはならないし、食べられるものでも年中なんてないし」
「まぁこの桜、普通の木じゃないしな」
「っていうか普通じゃなかったらどんな桜なんだ?」
桜火は干し肉を齧る手を止めて、少し考える。
「………………精霊?」
「え、桜火が精霊なんじゃなかったのか?」
「俺はまぁ、そうなんだが……。意思はある。心も多分、ある。けど、それ以上は動かない。そんな特殊な精霊の化身がこの桜……なんだ」
「じゃあ桜火は?」
「それを守る守護精霊……? 鬼? かな」
「へぇ……一心同体みたいな感じか?」
「そんな感じじゃないか? もう一緒にいる年月が長すぎて同化してしまってるような面も多々あるが」
「凄いなー」
「そんなものか?」
「凄いじゃないか。何か凄い」
「何かって何だ」
「わからん」
また沈黙。
ふと桜火が顔を上げた。どこかで犬の声がしたような――?
「桜火」
咲が少し神妙な顔で桜火に詰め寄る。
「あのな」
「な、何だ」
「……お前いったい何歳なんだ?」
「は?」
「年齢、年、いくつ!」
「…………か、数えてない…………」
「な、何でだ!」
「数えてても空しいだけじゃないか」
「あー……まぁ良いか」
「何が」
一人で納得している咲を不思議そうに見つめる桜火。
「教えてやろう」
「だから何なんだ」
かなり勿体をつけて再度口を開く咲。
「いやまぁ……こんな事本人の前で言うのは恥ずかしいというかなんというかなんだが……」
「おい?」
「あーもう! 言うぞ! 私の初恋はお前なんだよ!」
「はっ? はつこい? いきなり何を」
「そんな自分の年もわからないくらい生きてるんだから意味ぐらいわかるよな!」
「いやわかるけど、ってお前な」
物凄く堂々としすぎな告白に桜火は面食らうどころではなかった。
「ま、とりあえず言ったからな。覚えておけよ?」
「ああ……」
目を瞬く桜火を尻目に昼食を再会する咲。
なんとも不思議な昼時であった。
後書き
作者:久遠 |
投稿日:2010/01/21 17:09 更新日:2010/01/21 17:09 『桜の鬼』の著作権は、すべて作者 久遠様に属します。 |
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