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「ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)」を読み始めました。
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第一章「ベッカルト村」:第8話「火の魔法」
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第8話「火の魔法」
次の日の朝、昨日トニーに貰った服を着て、ギルの家に入っていき、何が必要か聞いてみた。
「なあ、ギル。山歩き用のブーツはほしいけど、他に絶対揃えなきゃいけない物って何がある?」
彼は「そうだな」と言って、少し考えた後、
「森に入ったり、旅をしたりするんだったら、マントと背負い袋は絶対いるな。丈夫な帽子か、兜があった方がいいな」
そして、俺のことを考えたのか、更に付け加えてきた。
「タイガは剣を使うから、防具も必要だな。今はいいが、野営を考えると毛布もあった方がいい」
彼のいう品を揃えるのにまだまだ掛かりそうだと思った俺はこの村で手に入れられるか少し不安に思っていた。
「そうか、まだまだ足りないなぁ。この村で手に入るかな?」
彼は髭で判りにくいが、にこりと笑い、「そのあたりの物だったら任せておけ。いい考えがある」と、その方法を教えてくれた。
「村長のところの息子の嫁がいま臨月だ。今日明日にも生まれるって話だが、村長のところは二人続けて流産、死産だったからな。村長もかなり気にしているんだ。村長にとっては初孫だから、治癒師のお前が手を貸せば喜んで譲ってくれるぞ」
出産の手伝いと聞いて、「ちょ、ちょっと待ってくれよ。お産の手伝いなんてやったことないぞ」と俺は慌てるが、彼は落ち着いた口調で、
「産婆は薬師のヤネットばあさんだ。もう何十人も取り上げているから大丈夫だ。ばあさんの跡を継ぐ薬師も手伝うはずだからいるだけでいいはずだ。噂じゃ、今回は順調だって聞いているし、心配しなくてもいいんじゃないか」
俺は少し考えたが、村の人のためにもなるし、一回やってみようかという気になっていた。
「まあ、俺が手伝えるんだったら、報酬なしでも手伝うつもりだから、なんか貰えるんだったらラッキーかな」
「その辺は俺が村長に話を付けておく。今日の夕方にでも村長のところに顔を出しておいてくれ」
ギルは自信有り気に言うので、俺の方も準備に掛かることにした。
「判った。俺の方もヤネットばあさんにも一応話を通しておくよ」
うまくいけば装備が揃う。そんなに急ぐこともないが、早めに揃えておく方がいいだろう。
この日もギルのお供で狩に出かける。
今日も絶好調で鹿を一頭仕留め、帰ろうとしているときに血の臭いに誘われた野犬の群れに出会ってしまった。
野犬(ワイルドドッグ):
通常の飼い犬・猟犬とは異なる犬科の獣
HP200,DR10,防御力15,獲得経験値15(3S),牙(AR40,SR30)
群れは十頭近くいるため、弓と剣ではちょっと厳しそうだ。
ギルに魔法を使うことを伝え、初めて火の魔法であるファイアボールを使ってみる。
「鹿を持っていかれるのは癪だ。魔法を使ってみるぞ」
ギルもすぐに了解し「判った。こっちは弓で援護する」と言って弓を構える。
野犬はすぐには飛び掛ってこないで、唸りながら慎重にこちらに向かってくる。
俺はファイアボールの呪文を唱え始めるが、なかなか火の玉にならない。
俺は早く撃てるようになってくれと祈りながら、呪文に集中していると一分くらい経って、ようやく撃てる感じがした。
狙いをどこにしようかと野犬の群れを見ると、一番大きな野犬と目があう。俺はこいつだと思い、その野犬に向け右手にできた直径二〇センチメートルくらいの火の玉を飛ばした。
飛んでいく火の玉は俺が思っていたよりはるかに速いスピードで野犬に向かっていく。
ゲームなんかであるビューンという感じで飛ぶと思ったら、ビュンと言う感じで野球のボールを思いっきり投げたようなスピードで飛んでいった。
目標の野犬は火の玉に驚き避けようとするが、避けきれず、油をかけたわけではないのに、火達磨になって転げまわっている。
一頭が火達磨になったことにより、残りの野犬もパニックに陥っていった。
この隙を逃さず、ギルが矢を射り、次々と野犬にダメージを与えていく。
もう一発くらい撃てそうだったので、呪文を唱え火の玉を作り始める。
なぜかは判らないが、最初より更に時間がかかり、一分半ほど経ってようやく二発目が発射できた。
二発目のファイアボールを見て野犬達は攻撃意欲を完全に失い、逃げ出し始めている。
ギルが更にもう一頭にダメージを与えたところで、無傷の野犬は姿を消した。
ダメージを受けた野犬の止めを刺していきながら、周りに火種が残っていないか確認していく。ファイアボールは思った以上に強力で使い方に注意しないと森林火災を引き起こしそうだ。
ファイアボールだけが発動に時間がかかるのか、魔法すべてが発動に時間がかかるのかわからないが、相当うまく使わないと連発はできない。
弓に比べれば、かなり強力なので昔の火縄銃みたいなイメージを持っておけばいいような気がする。だから余計に使い方を熟知しないと足元を掬われる元になるかもしれない。
俺は魔法の知識はどこかで手に入れる必要があると心に刻んでおいた。
後始末が終わって確認してみると、最終的には六頭の野犬を倒すことができていた。
焼けていない野犬の死骸から毛皮を剥いでいく。
一時間ほどで皮を剥ぎ取れたので死骸はこのまま放置しておく。
さっきの野犬のえさになるが、二人では運べないし、埋めることもできないので仕方がない。もたもたして、また魔物に襲われたくないので、できるだけ早足で村に帰ることにした。
早足のおかげか、その後は魔物に襲われることなく、無事に村に到着。小川に行き、ギルと二人で獲物の処理を行った。
夕方まで時間があったので、小川で三日ぶりに体を洗うことにした。
小川の水は雪解け水なのかとても冷たく中に入って体を洗うことはできなかったが、とにかく体がきれいにできたので、ようやくひとごこちついた。
すっきりしたところでギルと村長の家に向かった。
次の日の朝、昨日トニーに貰った服を着て、ギルの家に入っていき、何が必要か聞いてみた。
「なあ、ギル。山歩き用のブーツはほしいけど、他に絶対揃えなきゃいけない物って何がある?」
彼は「そうだな」と言って、少し考えた後、
「森に入ったり、旅をしたりするんだったら、マントと背負い袋は絶対いるな。丈夫な帽子か、兜があった方がいいな」
そして、俺のことを考えたのか、更に付け加えてきた。
「タイガは剣を使うから、防具も必要だな。今はいいが、野営を考えると毛布もあった方がいい」
彼のいう品を揃えるのにまだまだ掛かりそうだと思った俺はこの村で手に入れられるか少し不安に思っていた。
「そうか、まだまだ足りないなぁ。この村で手に入るかな?」
彼は髭で判りにくいが、にこりと笑い、「そのあたりの物だったら任せておけ。いい考えがある」と、その方法を教えてくれた。
「村長のところの息子の嫁がいま臨月だ。今日明日にも生まれるって話だが、村長のところは二人続けて流産、死産だったからな。村長もかなり気にしているんだ。村長にとっては初孫だから、治癒師のお前が手を貸せば喜んで譲ってくれるぞ」
出産の手伝いと聞いて、「ちょ、ちょっと待ってくれよ。お産の手伝いなんてやったことないぞ」と俺は慌てるが、彼は落ち着いた口調で、
「産婆は薬師のヤネットばあさんだ。もう何十人も取り上げているから大丈夫だ。ばあさんの跡を継ぐ薬師も手伝うはずだからいるだけでいいはずだ。噂じゃ、今回は順調だって聞いているし、心配しなくてもいいんじゃないか」
俺は少し考えたが、村の人のためにもなるし、一回やってみようかという気になっていた。
「まあ、俺が手伝えるんだったら、報酬なしでも手伝うつもりだから、なんか貰えるんだったらラッキーかな」
「その辺は俺が村長に話を付けておく。今日の夕方にでも村長のところに顔を出しておいてくれ」
ギルは自信有り気に言うので、俺の方も準備に掛かることにした。
「判った。俺の方もヤネットばあさんにも一応話を通しておくよ」
うまくいけば装備が揃う。そんなに急ぐこともないが、早めに揃えておく方がいいだろう。
この日もギルのお供で狩に出かける。
今日も絶好調で鹿を一頭仕留め、帰ろうとしているときに血の臭いに誘われた野犬の群れに出会ってしまった。
野犬(ワイルドドッグ):
通常の飼い犬・猟犬とは異なる犬科の獣
HP200,DR10,防御力15,獲得経験値15(3S),牙(AR40,SR30)
群れは十頭近くいるため、弓と剣ではちょっと厳しそうだ。
ギルに魔法を使うことを伝え、初めて火の魔法であるファイアボールを使ってみる。
「鹿を持っていかれるのは癪だ。魔法を使ってみるぞ」
ギルもすぐに了解し「判った。こっちは弓で援護する」と言って弓を構える。
野犬はすぐには飛び掛ってこないで、唸りながら慎重にこちらに向かってくる。
俺はファイアボールの呪文を唱え始めるが、なかなか火の玉にならない。
俺は早く撃てるようになってくれと祈りながら、呪文に集中していると一分くらい経って、ようやく撃てる感じがした。
狙いをどこにしようかと野犬の群れを見ると、一番大きな野犬と目があう。俺はこいつだと思い、その野犬に向け右手にできた直径二〇センチメートルくらいの火の玉を飛ばした。
飛んでいく火の玉は俺が思っていたよりはるかに速いスピードで野犬に向かっていく。
ゲームなんかであるビューンという感じで飛ぶと思ったら、ビュンと言う感じで野球のボールを思いっきり投げたようなスピードで飛んでいった。
目標の野犬は火の玉に驚き避けようとするが、避けきれず、油をかけたわけではないのに、火達磨になって転げまわっている。
一頭が火達磨になったことにより、残りの野犬もパニックに陥っていった。
この隙を逃さず、ギルが矢を射り、次々と野犬にダメージを与えていく。
もう一発くらい撃てそうだったので、呪文を唱え火の玉を作り始める。
なぜかは判らないが、最初より更に時間がかかり、一分半ほど経ってようやく二発目が発射できた。
二発目のファイアボールを見て野犬達は攻撃意欲を完全に失い、逃げ出し始めている。
ギルが更にもう一頭にダメージを与えたところで、無傷の野犬は姿を消した。
ダメージを受けた野犬の止めを刺していきながら、周りに火種が残っていないか確認していく。ファイアボールは思った以上に強力で使い方に注意しないと森林火災を引き起こしそうだ。
ファイアボールだけが発動に時間がかかるのか、魔法すべてが発動に時間がかかるのかわからないが、相当うまく使わないと連発はできない。
弓に比べれば、かなり強力なので昔の火縄銃みたいなイメージを持っておけばいいような気がする。だから余計に使い方を熟知しないと足元を掬われる元になるかもしれない。
俺は魔法の知識はどこかで手に入れる必要があると心に刻んでおいた。
後始末が終わって確認してみると、最終的には六頭の野犬を倒すことができていた。
焼けていない野犬の死骸から毛皮を剥いでいく。
一時間ほどで皮を剥ぎ取れたので死骸はこのまま放置しておく。
さっきの野犬のえさになるが、二人では運べないし、埋めることもできないので仕方がない。もたもたして、また魔物に襲われたくないので、できるだけ早足で村に帰ることにした。
早足のおかげか、その後は魔物に襲われることなく、無事に村に到着。小川に行き、ギルと二人で獲物の処理を行った。
夕方まで時間があったので、小川で三日ぶりに体を洗うことにした。
小川の水は雪解け水なのかとても冷たく中に入って体を洗うことはできなかったが、とにかく体がきれいにできたので、ようやくひとごこちついた。
すっきりしたところでギルと村長の家に向かった。
後書き
作者:狩坂 東風 |
投稿日:2012/12/06 20:33 更新日:2012/12/06 20:33 『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。 |
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