作品ID:130
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「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
エネルギー蓄積直前の会話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
「……フェクト、これがスカラが支えていた空。そして支えていたスカラが居なくなった空」
オーティスが聞いてもいないのに言い続ける。先ほどからこの調子でいい加減、説教じみてきた。
「まあそれはいいか。重要なのはこの真っ暗闇の中でどれだけお前の覚悟とその炎が役立つか。それだけ」
「空の中って雲だらけかと思ってたけど……意外と違うんだな」
「地上から見ればそう思う。だが目の前で見れば違うと分かる」
驚いたのは空の中へと侵入した直後。
てっきり空の中は雲が立ちこめる、そんな場所だと思っていた。だがそこには何もなかった。雲も、何もなかった。
「本当に暗闇だな」
「だから言っただろう。先ほどの私の言葉を忘れたのか?」
「いや、忘れたわけじゃない。ただ人から聞くのと実際に見るのとじゃ全然違うから」
つい先ほど、オーティスから本当に暗闇だが、いいのか? と問われたばかりだった。だがもう少しで空の中、というところで引き返すわけにはいかないし元々、引き返す気などなかった。
だから簡単に返事だけしたものの。
「足場、というか自分の姿すら確認できないほどとは」
さすがにフォーススフィアはじめ、今あらゆる世界にある火山を一気に噴火させてもこの暗闇が薄くなるだけだろう。それに一気に噴火させればそれ相応の被害が出る。
「オーティスは? さすがにオーティスだって空と地上を繋ぐ役割を担っちゃったんだから、空か地上のどちらかだけにとどまるわけにはいかないだろ?」
「その点は、問題ないと思うが。一応お前にも言っておくか。私はここに居る。どうせ、お前の事だからあらゆる世界の火山を噴火させる、それでもダメとかと考えてるんだろ」
オーティスだけには隠し事はできない、そう改めて思った自分を少しだけ恨んだ。
「だから私が集めてそれを収束させお前に照射……そんな事をしたら私の身まで危ない、と言いたいか。残念ながら私はどのエネルギーももたない、どの属性にも属さない。意外と自由な身なものでな。たとえ強大な高濃度炎エネルギーをこの身に受けたとしても少し、火傷を負うぐらいかそれ以上か」
「オーティスの行動はオーティスで決めろ。お前の行動を決める権限は俺にはない。そして自らの行動を決める権限は個人の権利、だからな」
「ならそうさせてもらうか」
「んで? エネルギーをお前が貯めてくれている間、俺は何をすれば? さすがに何もしないというのはまずいだろう。いろんな意味で」
「確かに。お前が既にこの場所に居るというのは知れ渡っているだろう。意外と人間というのはうわさ好きなものだからな。フェクトタクティスが空の中に居る、という情報源から派生した噂すらも人間の耳に届く。それを知ったうえで何もしないというのは……ただ単に頭がないのか、つーか無能なのか何なのか」
「いいから。それはいいから、俺は何をすればいいわけ?」
だんだん、苛立ってきた。聞いたのはこっちだが、長々と前置きを言ってくるオーティスは嫌いというカテゴリーに入る。
「はぁ。なら言わせてもらう」
「はいはい」
溜息を吐くオーティス。こっちが溜息をつきたいぐらいだ。
「何もするな」
「いや、今お前、俺がこの場所に居るという噂とそれから派生した噂が広まっているというのを知った上で何もしないというのはただの無能なのか、とかくどくど言ってたのにそんな返答はなくね?」
「ある」
「あるんだ。あるんだ。そんな適当な返答……」
相変らず、オーティスはつかみ所がない。
「何もするな、という意味を分かってないな。ダメだ、それじゃ」
「何がダメなんだ」
何もするな、という意味を分かっていない?
「逆に突然変異が起こる可能性があるからなー」
そろそろエネルギーを蓄積するのか横になり寝に入る。
「いや、何もしないって。しかも何かしたらあれか。突然変異か。そうかそれなら何もしない方がいいかもしれないな」
「あっさりと納得したな」
「正直、何もしないでいいのならそれでいい。ぼーっとしていたら終わり、みたいな楽な方法はどうか、と思うんだがそれをしろ、といわれたらそれ以外ないだろう」
「……」
〈違う。やっぱりフェクト、お前は空にはなれないか?〉
オーティスがフェクトが空になれないと思ったときだったか。
「と、断言したいところだが……残念ながらそこまで甘いことは言ってられない」
フェクトが先ほどの自分の言葉を否定する。同時にオーティスの顔から表情が消える。
「俺は自分自身で空を創り出す、と思ってしまった。そして自分はそれを行動で示してしまった。自分の行動には自分でちゃんと責任を持つ」
「はぁ。本当に心移りが激しいというか何というか。ならエネルギー蓄積、始めるぞ?」
問うまでもなく、と言いたそうな表情を見せたフェクト。
そしてそれを見たオーティスは少しだけ笑みの形に顔をゆがめた。
〈フェクト。まだお前に賭けれるか? お前は空になれるのか。それを見てみてもいいのだろうか?〉
オーティスの問いに誰も答えることはない。第一この問いに自分自身で答えなければならない。
自分自身の行動権限は個人の権利であり、それを邪魔する事は誰にもできないのだから、自分が起こした行動に自分で責任をもつのは当たり前だから。
オーティスが聞いてもいないのに言い続ける。先ほどからこの調子でいい加減、説教じみてきた。
「まあそれはいいか。重要なのはこの真っ暗闇の中でどれだけお前の覚悟とその炎が役立つか。それだけ」
「空の中って雲だらけかと思ってたけど……意外と違うんだな」
「地上から見ればそう思う。だが目の前で見れば違うと分かる」
驚いたのは空の中へと侵入した直後。
てっきり空の中は雲が立ちこめる、そんな場所だと思っていた。だがそこには何もなかった。雲も、何もなかった。
「本当に暗闇だな」
「だから言っただろう。先ほどの私の言葉を忘れたのか?」
「いや、忘れたわけじゃない。ただ人から聞くのと実際に見るのとじゃ全然違うから」
つい先ほど、オーティスから本当に暗闇だが、いいのか? と問われたばかりだった。だがもう少しで空の中、というところで引き返すわけにはいかないし元々、引き返す気などなかった。
だから簡単に返事だけしたものの。
「足場、というか自分の姿すら確認できないほどとは」
さすがにフォーススフィアはじめ、今あらゆる世界にある火山を一気に噴火させてもこの暗闇が薄くなるだけだろう。それに一気に噴火させればそれ相応の被害が出る。
「オーティスは? さすがにオーティスだって空と地上を繋ぐ役割を担っちゃったんだから、空か地上のどちらかだけにとどまるわけにはいかないだろ?」
「その点は、問題ないと思うが。一応お前にも言っておくか。私はここに居る。どうせ、お前の事だからあらゆる世界の火山を噴火させる、それでもダメとかと考えてるんだろ」
オーティスだけには隠し事はできない、そう改めて思った自分を少しだけ恨んだ。
「だから私が集めてそれを収束させお前に照射……そんな事をしたら私の身まで危ない、と言いたいか。残念ながら私はどのエネルギーももたない、どの属性にも属さない。意外と自由な身なものでな。たとえ強大な高濃度炎エネルギーをこの身に受けたとしても少し、火傷を負うぐらいかそれ以上か」
「オーティスの行動はオーティスで決めろ。お前の行動を決める権限は俺にはない。そして自らの行動を決める権限は個人の権利、だからな」
「ならそうさせてもらうか」
「んで? エネルギーをお前が貯めてくれている間、俺は何をすれば? さすがに何もしないというのはまずいだろう。いろんな意味で」
「確かに。お前が既にこの場所に居るというのは知れ渡っているだろう。意外と人間というのはうわさ好きなものだからな。フェクトタクティスが空の中に居る、という情報源から派生した噂すらも人間の耳に届く。それを知ったうえで何もしないというのは……ただ単に頭がないのか、つーか無能なのか何なのか」
「いいから。それはいいから、俺は何をすればいいわけ?」
だんだん、苛立ってきた。聞いたのはこっちだが、長々と前置きを言ってくるオーティスは嫌いというカテゴリーに入る。
「はぁ。なら言わせてもらう」
「はいはい」
溜息を吐くオーティス。こっちが溜息をつきたいぐらいだ。
「何もするな」
「いや、今お前、俺がこの場所に居るという噂とそれから派生した噂が広まっているというのを知った上で何もしないというのはただの無能なのか、とかくどくど言ってたのにそんな返答はなくね?」
「ある」
「あるんだ。あるんだ。そんな適当な返答……」
相変らず、オーティスはつかみ所がない。
「何もするな、という意味を分かってないな。ダメだ、それじゃ」
「何がダメなんだ」
何もするな、という意味を分かっていない?
「逆に突然変異が起こる可能性があるからなー」
そろそろエネルギーを蓄積するのか横になり寝に入る。
「いや、何もしないって。しかも何かしたらあれか。突然変異か。そうかそれなら何もしない方がいいかもしれないな」
「あっさりと納得したな」
「正直、何もしないでいいのならそれでいい。ぼーっとしていたら終わり、みたいな楽な方法はどうか、と思うんだがそれをしろ、といわれたらそれ以外ないだろう」
「……」
〈違う。やっぱりフェクト、お前は空にはなれないか?〉
オーティスがフェクトが空になれないと思ったときだったか。
「と、断言したいところだが……残念ながらそこまで甘いことは言ってられない」
フェクトが先ほどの自分の言葉を否定する。同時にオーティスの顔から表情が消える。
「俺は自分自身で空を創り出す、と思ってしまった。そして自分はそれを行動で示してしまった。自分の行動には自分でちゃんと責任を持つ」
「はぁ。本当に心移りが激しいというか何というか。ならエネルギー蓄積、始めるぞ?」
問うまでもなく、と言いたそうな表情を見せたフェクト。
そしてそれを見たオーティスは少しだけ笑みの形に顔をゆがめた。
〈フェクト。まだお前に賭けれるか? お前は空になれるのか。それを見てみてもいいのだろうか?〉
オーティスの問いに誰も答えることはない。第一この問いに自分自身で答えなければならない。
自分自身の行動権限は個人の権利であり、それを邪魔する事は誰にもできないのだから、自分が起こした行動に自分で責任をもつのは当たり前だから。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/23 11:44 更新日:2010/01/23 11:44 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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