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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二章「ゴスラー市」:第3話「冒険者登録」
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第2章.第3話「冒険者登録」
マイヤー村からの出発の準備も終わり、ゴスラーに向けて出発する。
ここからゴスラーまではだいたい六時間くらい。昨日の道より路面の状態がよく、揺れは少ないそうだ。
確かに昨日より揺れは少なく、フーゴは暇だろうと、荷馬車の操作方法を教えてくれた。
馬の操作などしたことが無い俺は、最初はおっかなびっくり馬を操るが、これが結構楽しい。徐々に慣れてくると、彼の馬は賢く、任せていればいいことに気付く。
彼に聞いてみると、荷馬車の馬は大体こんなもので、狭い山道や往来の多いところ以外は子供でも操れるとのことだった。
そんなことをしながら、のんびりと道を進んでいくと、町に近くなっていくに従って、人の往来も徐々に増えてきた。
魔物や盗賊の心配も少なくなってきたことから馬車の上で彼と世間話をしながら、ゆっくりと馬車は進めていく。
森を抜けると草原が広がっており、ゴスラーの町が見えてきた。
町が見えてから一時間ほどした昼過ぎにゴスラーの城門に到着した。
ゴスラーは周囲を城壁で囲まれた城塞都市で南北二キロメートル、東西一・五キロメートルほどのかなり大きな町だ。但し、城壁自体は五メートルくらいとそれほど高くなく堀もない。
町の周囲には農地はなく草原が広がっている。
南と北に門が二ヶ所あるそうで、そこから市内に出入できるが、入門の際に守備隊の検問を通る必要がある。
俺たちも町に入るため、南門の前の行列に加わり検問を待つ。
検問では人には入市税、物品には関税が掛かるが、ゴスラーの入市税は一人銅貨十枚と標準的で、ゴスラーの住民は非課税となっている。
フーゴはゴスラーの住民なので荷物に関する関税と俺の分の入市税を支払い、ゴスラー市内に入る。
市内に入ったところで彼と別れことになった。
俺は「いろいろ教えてもらえて助かったよ」と彼に礼を言い、右手を差し出す。
彼は「こちらこそ。それじゃ気を付けて、タイガさん」と照れ笑いをしながら、握手を返してくれた。
そして、彼とはここで別れ、俺は冒険者ギルドを目指すため、予め聞いておいた道を進んでいく。
ゴスラーの町の中は領主の館と守備隊の建物だけが石造りで、他はスレート葺きの屋根の木造の建物が多く、想像していたよりきれいな町だった。
ギルドは町の中心からやや南側にあるとのことで、目印は剣と鎌が描かれた看板。二階建ての建物にギルドの看板を見つけ、中に入っていく。
中に入ると天井が高く、待合用のテーブルといすが四セット置いてあり、木のカウンターがある。
勝手に酒場をイメージしていたが、リゾート地にあるログハウスの喫茶店のような意外と瀟洒な感じだと思った。
時間帯が午後三時頃と比較的空いている時間なのか、冒険者らしい人は一人もいない。
カウンターの中には二十代前半の金髪の少しぽっちゃりした女性が座っており、退屈そうにしていた。
俺は登録のため、恐る恐るカウンターの女性に話しかけた。
「すいません。冒険者の登録をしたいんですが、ここでよかったですか?」
彼女は突然敬語で話しかけられたことに驚き、「は、はい、こちらで登録させていただきます」と勢いよく言った後、マニュアルにでもあるのか「登録の前にギルドの説明を簡単にさせていただきますが、よろしいでしょうか」と言ってきた。
俺が肯くと受付嬢がギルドの説明を始めた。十分くらいかけて説明してくれた内容をまとめると、
・ギルドは所謂何でも屋であり、様々な依頼がある
・ギルドは依頼を斡旋し、成功した場合に報酬を支払うが、失敗した場合や途中でキャンセルした場合はギルドに賠償金を支払う必要がある
・ギルドに登録するとギルドカードが与えられ、身分証明書となる
・依頼は、指定がない限り個人でもパーティでもどちらでも受けることができる
・ギルドでは依頼の斡旋の他に余剰物品の買い取りも行っている
・ギルドは銀行業務も行っており、ギルドカードを使用した預金が可能。なお、新人には低利の貸付を行っており、装備を充実させることもできる
・ギルドには貢献度によりランクが設けられている。Gから始まり、Sランクまである。
・長命の他種族ではSSランクの冒険者もいる
・ランクは受けることができる依頼の分類にも使われ、個人の場合、自分のランクの上下1ランク以内までの依頼しか受けることができない
・一定数の依頼を受けることでランクアップする。但し、Dランク以上へのランクアップの場合は昇格試験がある
・緊急時にギルド長が召集を決定した場合は、登録している冒険者はギルド長の指揮下に入る
などである。
ちなみに登録料は銀貨二枚と安いが、ギルドカードは高価なので紛失すると再発行に金貨二枚が必要となる。
ギルドカードは八cm×五cm位のカード状の魔道具であり、氏名、種族、性別、年齢、レベル、ランクの他、最終のクエスト達成日、預金額、借入金額などの個人情報が記載されている。
但し、本人とギルドの読取機械以外では預金額などの個人情報は表示されないとのことだ。
個人情報は読取機の中の特殊な魔道具に蓄えられるそうで、それが定期的にギルド本部に送られて集約される。ギルド本部で集約された情報は再び各ギルドに送られ、管理される。
管理される情報には、名前、ランク、レベル、本人の魔力パターン、クエスト達成数の他に犯罪歴なども入る。
見た目も用途もICカードみたいなものだが、この世界の技術レベルからするとかなりハイテクの道具のようだ。
受付嬢の説明が終わり、いよいよ登録だ。
ベッカルト村で作ってもらった村民カードと銀貨二枚を渡し、登録する名前を用紙に書き込む。まっさらなギルドカードに血液を垂らす。
血液から魔力パターンを読みとるそうなのだが、どういう仕組みかは受付嬢もわからないとのことだ。
受付嬢はギルドカードを後ろの金属製の箱に入れ、書き込んだ名前などを読取機に登録していく。数分後、俺の名前などが入った新品のギルドカードが出来上がってきた。
出来上がったカードを俺に手渡すと、彼女は「カードは紐を通せるように角のところに穴が開けてあります。失くさないように丈夫な紐を通して首からかけることをお勧めします」と教えてくれた。
俺が礼を言うと、「登録はこれで終了ですが、他に何か御用はございますか?」と彼女が効いてきたので、買い取りを頼む。
彼女は「お売りになりたいものをこのトレイの上に載せてください」といって、八十cm四方くらいあるトレイを出してきた。
俺はトレイの上に強盗の装備と不要になった装備類を載せていく。
すべてトレイに載せると、「三十分ほど掛かりますが、ここで待たれますか?」と聞いてきたので、依頼書を見ていると言ってここで待つことにした。
彼女はトレイに満載された装備を重そうに持ち上げると、「わかりました。では終わり次第、声をかけさせていただきます」といって奥に向かっていった。
俺はカウンターのいすから立ち上がり、テーブルの周りにある依頼書の掲示板に向かった。
張ってある依頼書のうち、GランクとFランクの依頼を見ていく。
Gランクは町の中での雑用が多く、物品の配達や荷物の積み下ろしなど力仕事や簡単な代書などの事務仕事もある。
冒険者に成り立ての新人のトレーニングも兼ねているんだろう。
Fランクになると薬草などの採取依頼や狩りの手伝いといった町の外での依頼もある。
単独で動いても危険を感じないような依頼が多い。
Fランクの依頼でも高くて銀貨五枚、平均三枚くらいとかなり安い。
フーゴに聞いたゴスラーの宿の相場だと安全な宿は二食付で一泊銀貨七から十枚だったから、一日に二つくらい依頼をこなさないと宿代が出ないことになる。
俺は早くランクアップさせようとするギルドの思惑が透けて見えるような気がした。
あっという間に三十分経ったようで受付嬢が俺の名前を呼んでいる。
「すべて買い取り可能です。すべて買い取った場合、金貨一枚と銀貨二十五枚になります。よろしいでしょうか?」と言ってきたので、俺はそれを了承した。
金貨一枚と銀貨二十五枚を受け取ると、持ち金は金貨二枚と銀貨七十五枚になった。日本円で三十万円弱、変な使い方をしなければ、一ヶ月くらいは生きていけそうだ。
マイヤー村からの出発の準備も終わり、ゴスラーに向けて出発する。
ここからゴスラーまではだいたい六時間くらい。昨日の道より路面の状態がよく、揺れは少ないそうだ。
確かに昨日より揺れは少なく、フーゴは暇だろうと、荷馬車の操作方法を教えてくれた。
馬の操作などしたことが無い俺は、最初はおっかなびっくり馬を操るが、これが結構楽しい。徐々に慣れてくると、彼の馬は賢く、任せていればいいことに気付く。
彼に聞いてみると、荷馬車の馬は大体こんなもので、狭い山道や往来の多いところ以外は子供でも操れるとのことだった。
そんなことをしながら、のんびりと道を進んでいくと、町に近くなっていくに従って、人の往来も徐々に増えてきた。
魔物や盗賊の心配も少なくなってきたことから馬車の上で彼と世間話をしながら、ゆっくりと馬車は進めていく。
森を抜けると草原が広がっており、ゴスラーの町が見えてきた。
町が見えてから一時間ほどした昼過ぎにゴスラーの城門に到着した。
ゴスラーは周囲を城壁で囲まれた城塞都市で南北二キロメートル、東西一・五キロメートルほどのかなり大きな町だ。但し、城壁自体は五メートルくらいとそれほど高くなく堀もない。
町の周囲には農地はなく草原が広がっている。
南と北に門が二ヶ所あるそうで、そこから市内に出入できるが、入門の際に守備隊の検問を通る必要がある。
俺たちも町に入るため、南門の前の行列に加わり検問を待つ。
検問では人には入市税、物品には関税が掛かるが、ゴスラーの入市税は一人銅貨十枚と標準的で、ゴスラーの住民は非課税となっている。
フーゴはゴスラーの住民なので荷物に関する関税と俺の分の入市税を支払い、ゴスラー市内に入る。
市内に入ったところで彼と別れことになった。
俺は「いろいろ教えてもらえて助かったよ」と彼に礼を言い、右手を差し出す。
彼は「こちらこそ。それじゃ気を付けて、タイガさん」と照れ笑いをしながら、握手を返してくれた。
そして、彼とはここで別れ、俺は冒険者ギルドを目指すため、予め聞いておいた道を進んでいく。
ゴスラーの町の中は領主の館と守備隊の建物だけが石造りで、他はスレート葺きの屋根の木造の建物が多く、想像していたよりきれいな町だった。
ギルドは町の中心からやや南側にあるとのことで、目印は剣と鎌が描かれた看板。二階建ての建物にギルドの看板を見つけ、中に入っていく。
中に入ると天井が高く、待合用のテーブルといすが四セット置いてあり、木のカウンターがある。
勝手に酒場をイメージしていたが、リゾート地にあるログハウスの喫茶店のような意外と瀟洒な感じだと思った。
時間帯が午後三時頃と比較的空いている時間なのか、冒険者らしい人は一人もいない。
カウンターの中には二十代前半の金髪の少しぽっちゃりした女性が座っており、退屈そうにしていた。
俺は登録のため、恐る恐るカウンターの女性に話しかけた。
「すいません。冒険者の登録をしたいんですが、ここでよかったですか?」
彼女は突然敬語で話しかけられたことに驚き、「は、はい、こちらで登録させていただきます」と勢いよく言った後、マニュアルにでもあるのか「登録の前にギルドの説明を簡単にさせていただきますが、よろしいでしょうか」と言ってきた。
俺が肯くと受付嬢がギルドの説明を始めた。十分くらいかけて説明してくれた内容をまとめると、
・ギルドは所謂何でも屋であり、様々な依頼がある
・ギルドは依頼を斡旋し、成功した場合に報酬を支払うが、失敗した場合や途中でキャンセルした場合はギルドに賠償金を支払う必要がある
・ギルドに登録するとギルドカードが与えられ、身分証明書となる
・依頼は、指定がない限り個人でもパーティでもどちらでも受けることができる
・ギルドでは依頼の斡旋の他に余剰物品の買い取りも行っている
・ギルドは銀行業務も行っており、ギルドカードを使用した預金が可能。なお、新人には低利の貸付を行っており、装備を充実させることもできる
・ギルドには貢献度によりランクが設けられている。Gから始まり、Sランクまである。
・長命の他種族ではSSランクの冒険者もいる
・ランクは受けることができる依頼の分類にも使われ、個人の場合、自分のランクの上下1ランク以内までの依頼しか受けることができない
・一定数の依頼を受けることでランクアップする。但し、Dランク以上へのランクアップの場合は昇格試験がある
・緊急時にギルド長が召集を決定した場合は、登録している冒険者はギルド長の指揮下に入る
などである。
ちなみに登録料は銀貨二枚と安いが、ギルドカードは高価なので紛失すると再発行に金貨二枚が必要となる。
ギルドカードは八cm×五cm位のカード状の魔道具であり、氏名、種族、性別、年齢、レベル、ランクの他、最終のクエスト達成日、預金額、借入金額などの個人情報が記載されている。
但し、本人とギルドの読取機械以外では預金額などの個人情報は表示されないとのことだ。
個人情報は読取機の中の特殊な魔道具に蓄えられるそうで、それが定期的にギルド本部に送られて集約される。ギルド本部で集約された情報は再び各ギルドに送られ、管理される。
管理される情報には、名前、ランク、レベル、本人の魔力パターン、クエスト達成数の他に犯罪歴なども入る。
見た目も用途もICカードみたいなものだが、この世界の技術レベルからするとかなりハイテクの道具のようだ。
受付嬢の説明が終わり、いよいよ登録だ。
ベッカルト村で作ってもらった村民カードと銀貨二枚を渡し、登録する名前を用紙に書き込む。まっさらなギルドカードに血液を垂らす。
血液から魔力パターンを読みとるそうなのだが、どういう仕組みかは受付嬢もわからないとのことだ。
受付嬢はギルドカードを後ろの金属製の箱に入れ、書き込んだ名前などを読取機に登録していく。数分後、俺の名前などが入った新品のギルドカードが出来上がってきた。
出来上がったカードを俺に手渡すと、彼女は「カードは紐を通せるように角のところに穴が開けてあります。失くさないように丈夫な紐を通して首からかけることをお勧めします」と教えてくれた。
俺が礼を言うと、「登録はこれで終了ですが、他に何か御用はございますか?」と彼女が効いてきたので、買い取りを頼む。
彼女は「お売りになりたいものをこのトレイの上に載せてください」といって、八十cm四方くらいあるトレイを出してきた。
俺はトレイの上に強盗の装備と不要になった装備類を載せていく。
すべてトレイに載せると、「三十分ほど掛かりますが、ここで待たれますか?」と聞いてきたので、依頼書を見ていると言ってここで待つことにした。
彼女はトレイに満載された装備を重そうに持ち上げると、「わかりました。では終わり次第、声をかけさせていただきます」といって奥に向かっていった。
俺はカウンターのいすから立ち上がり、テーブルの周りにある依頼書の掲示板に向かった。
張ってある依頼書のうち、GランクとFランクの依頼を見ていく。
Gランクは町の中での雑用が多く、物品の配達や荷物の積み下ろしなど力仕事や簡単な代書などの事務仕事もある。
冒険者に成り立ての新人のトレーニングも兼ねているんだろう。
Fランクになると薬草などの採取依頼や狩りの手伝いといった町の外での依頼もある。
単独で動いても危険を感じないような依頼が多い。
Fランクの依頼でも高くて銀貨五枚、平均三枚くらいとかなり安い。
フーゴに聞いたゴスラーの宿の相場だと安全な宿は二食付で一泊銀貨七から十枚だったから、一日に二つくらい依頼をこなさないと宿代が出ないことになる。
俺は早くランクアップさせようとするギルドの思惑が透けて見えるような気がした。
あっという間に三十分経ったようで受付嬢が俺の名前を呼んでいる。
「すべて買い取り可能です。すべて買い取った場合、金貨一枚と銀貨二十五枚になります。よろしいでしょうか?」と言ってきたので、俺はそれを了承した。
金貨一枚と銀貨二十五枚を受け取ると、持ち金は金貨二枚と銀貨七十五枚になった。日本円で三十万円弱、変な使い方をしなければ、一ヶ月くらいは生きていけそうだ。
後書き
作者:狩坂 東風 |
投稿日:2012/12/08 16:08 更新日:2012/12/08 16:08 『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。 |
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