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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第二章「ゴスラー市」:第5話「初クエスト」
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第2章.第5話「初クエスト」
ゴスラーに着いた翌日、空は晴れ渡り絶好の仕事日和だ。
朝食を取り、宿で頼んでおいた弁当を受け取って、緊張しながらギルドに向かった。
そして、昨日あたりを付けておいた採取系のクエストを選び、カウンターに持っていく。
・アカヨモギ草の採取:
必要数:五株、一株に五枚以上の葉がついていること。
報酬:三S。五株を超える場合、一株当り五〇Cで買い取り。
参考:西の森と町の間の草原に生えていることが多い。
群生地にはよく似たニセアカヨモギは毒草であるため、注意が必要。
俺は「すいません。これを」といって、ギルドカードと依頼票をカウンターの受付嬢に渡す。
昨日の受付嬢とは違う栗毛の二十台後半の割と好みの美人だ。なぜか今日はいいことがあるような気がしてしまう。
彼女は「では、受付を行います。タイガ様でよろしかったですか」と丁寧な口調で受け付け作業に入る。
一応本人確認なのだろう。
受付機にギルドカードを入れると受付作業が開始される。そして出てきたカードには受付中クエスト名が記載される。やはりこのシステムはハイテクに見えてしまう。
我ながら情けないことに、美人を相手にすると敬語になってしまっていた。周りには他の冒険者もいるのでフーゴの注意を思い出すのだが、どうにもコントロールできない。
だが、聞きたいことがあったので、受付嬢に、「クエストって二つは受けられないんですよね。採取の場合、採ってきた後からクエストを受けたら何か問題あります?」と小声で聞いてみる。
彼女は、「いいえ、特に問題ありません」とにこりと笑った後。「クエストの必要ランクと達成必要数が合えば一件達成としてカウントされます」と答えてくれた。
いいことを聞いた。
依頼票のところに戻り、西の平原で取れそうなものをメモしておく。
黄麻草の根十本、アトス黒にんじん三本、レモングラス十本・・・と十個くらいメモしておく。メモも終わったので、初クエストに出発する。
昨日通った南門から町を出て西に向かう。西の森まで二キロメートルくらいが草原だが、思っていた以上に草の丈が高い。
胸くらいまであり、足元が見辛く、なかなか薬草が見つからない。
そんなに簡単に見つかるようならギルドに依頼するはずはないと当初の甘い考えを捨てる。
剣の訓練と筋力トレーニングにもなると自分を慰めながら、剣で草を刈りながら探し続ける。
二時間ほど探しているとそれらしい草がようやく見つかった。
すぐに鑑定してみると、“ニセアカヨモギ:毒草。食べると下痢を起こし大量に摂取すると肝臓に障害が起きる”とハズレのニセアカヨモギだった。
しかし、群生地にはニセアカヨモギがあるとの注意書きだったので、この近くにアカヨモギ草があるはずだと気を取り直す。
更に探してみると“アカヨモギ草:薬草。乾燥させてから摂取すると胃腸の働きを助ける効果がある” とついに発見できた。
周りには同じ草が二十株くらい生えている。
慎重に五株だけを採取し、メモ帳に簡単な地図を書いておく。そして携帯電話でアカヨモギ草の写真を撮ると、四方の風景の写真を撮っておいた。
こうしておけば、また赤ヨモギ草採取のクエストがあったときにすぐにクリアできる。
まだ、十時くらいなので、他の採取クエストに取り掛かることにした。
アトス黒にんじんは、日陰の少し窪んだところに群生していたので、アカヨモギ草と同じように必要数だけ採取し、写真を撮っておく。
太陽が真上に差しかかり、町から正午を知らせる鐘の音が聞こえてきた。
さすがに草を刈りながらの採取は疲れたので、休憩と昼食を取ることにした。マルティンの弁当はサンドイッチもどきで、肉がはさんである大きめのパンが二つ入っていた。
水筒から水を飲み、サンドイッチを食べて三十分ほど休憩した後、更に三時間くらい薬草探しに没頭すると三種類の薬草を採取することできた。
午後三時くらいになったので、今日はここまでと、町に戻ることにした。
南門は相変わらず混んでいるが、町の住民扱いなので、割とすぐに町に入ることができる。
ギルドに行き、アカヨモギ草を受付嬢に渡すが、受付嬢は昨日のぽっちゃりした金髪の女性に替わっていた。
受付嬢は一瞬不思議そうな顔をしたあと、何か思い出したように「これだけですか?必要数5本ですが、大丈夫ですか?」と聞いてくる。
俺は何を言っているのか意味が判らない。
(大丈夫なのだが、なぜだろう?)
俺が不思議そうな顔をしていると、受付嬢が説明し始めた。
「アカヨモギ草とニセアカヨモギは良く似ているので、薬師の方でも最初は判別に苦労するそうです。普通の冒険者の方は二十本くらい採ってきて必要数に足りているか確認するのですが……」
なるほど、鑑定がなければ闇雲に採るしかない。だから、五本しか採ってこないので、聞いてきたのだろう。
そして、彼女は俺が昨日登録したばかりの新人だと知っている。薬草を受け取ったあとの表情から、「新人はこんなこともわからないの」って思われたのかもしれない。
俺は自信たっぷりに「とりあえず、それで確認してくれないか。大丈夫なはずだ」と強引に確認させる。
受付嬢は納得していないようだが、トレイを持って裏にいった。
数分後、俺の名前が呼ばれ、驚いた顔の受付嬢が、「すべて、アカヨモギ草と確認できました」と言った後、「クエスト達成です。報酬の銀貨三枚をお受け取り下さい。初クエスト達成おめでとうございます」と笑顔で祝福してくれた。
俺も「ありがとう」と礼を言い、依頼票掲示板に向かう。
次はアトス黒にんじんのクエストだ。
「これの受付と達成の確認を頼む」と依頼票を受付嬢に手渡すと、彼女は更に驚いた顔で、「えっ! もう一件ですか?……わかりました確認します」とプロらしからぬ動揺を見せる。
再び奥に行った受付嬢を見送り、掲示板に向かい、次の依頼票を探す。
数分後クエストの達成と報酬を受け取り、このやりとりをあと三回繰り返した。
結果、本日のクエスト達成数五件、報酬額十四S。初日にしては十分な成果に満足してギルドを出ていった。
ゴスラーに着いた翌日、空は晴れ渡り絶好の仕事日和だ。
朝食を取り、宿で頼んでおいた弁当を受け取って、緊張しながらギルドに向かった。
そして、昨日あたりを付けておいた採取系のクエストを選び、カウンターに持っていく。
・アカヨモギ草の採取:
必要数:五株、一株に五枚以上の葉がついていること。
報酬:三S。五株を超える場合、一株当り五〇Cで買い取り。
参考:西の森と町の間の草原に生えていることが多い。
群生地にはよく似たニセアカヨモギは毒草であるため、注意が必要。
俺は「すいません。これを」といって、ギルドカードと依頼票をカウンターの受付嬢に渡す。
昨日の受付嬢とは違う栗毛の二十台後半の割と好みの美人だ。なぜか今日はいいことがあるような気がしてしまう。
彼女は「では、受付を行います。タイガ様でよろしかったですか」と丁寧な口調で受け付け作業に入る。
一応本人確認なのだろう。
受付機にギルドカードを入れると受付作業が開始される。そして出てきたカードには受付中クエスト名が記載される。やはりこのシステムはハイテクに見えてしまう。
我ながら情けないことに、美人を相手にすると敬語になってしまっていた。周りには他の冒険者もいるのでフーゴの注意を思い出すのだが、どうにもコントロールできない。
だが、聞きたいことがあったので、受付嬢に、「クエストって二つは受けられないんですよね。採取の場合、採ってきた後からクエストを受けたら何か問題あります?」と小声で聞いてみる。
彼女は、「いいえ、特に問題ありません」とにこりと笑った後。「クエストの必要ランクと達成必要数が合えば一件達成としてカウントされます」と答えてくれた。
いいことを聞いた。
依頼票のところに戻り、西の平原で取れそうなものをメモしておく。
黄麻草の根十本、アトス黒にんじん三本、レモングラス十本・・・と十個くらいメモしておく。メモも終わったので、初クエストに出発する。
昨日通った南門から町を出て西に向かう。西の森まで二キロメートルくらいが草原だが、思っていた以上に草の丈が高い。
胸くらいまであり、足元が見辛く、なかなか薬草が見つからない。
そんなに簡単に見つかるようならギルドに依頼するはずはないと当初の甘い考えを捨てる。
剣の訓練と筋力トレーニングにもなると自分を慰めながら、剣で草を刈りながら探し続ける。
二時間ほど探しているとそれらしい草がようやく見つかった。
すぐに鑑定してみると、“ニセアカヨモギ:毒草。食べると下痢を起こし大量に摂取すると肝臓に障害が起きる”とハズレのニセアカヨモギだった。
しかし、群生地にはニセアカヨモギがあるとの注意書きだったので、この近くにアカヨモギ草があるはずだと気を取り直す。
更に探してみると“アカヨモギ草:薬草。乾燥させてから摂取すると胃腸の働きを助ける効果がある” とついに発見できた。
周りには同じ草が二十株くらい生えている。
慎重に五株だけを採取し、メモ帳に簡単な地図を書いておく。そして携帯電話でアカヨモギ草の写真を撮ると、四方の風景の写真を撮っておいた。
こうしておけば、また赤ヨモギ草採取のクエストがあったときにすぐにクリアできる。
まだ、十時くらいなので、他の採取クエストに取り掛かることにした。
アトス黒にんじんは、日陰の少し窪んだところに群生していたので、アカヨモギ草と同じように必要数だけ採取し、写真を撮っておく。
太陽が真上に差しかかり、町から正午を知らせる鐘の音が聞こえてきた。
さすがに草を刈りながらの採取は疲れたので、休憩と昼食を取ることにした。マルティンの弁当はサンドイッチもどきで、肉がはさんである大きめのパンが二つ入っていた。
水筒から水を飲み、サンドイッチを食べて三十分ほど休憩した後、更に三時間くらい薬草探しに没頭すると三種類の薬草を採取することできた。
午後三時くらいになったので、今日はここまでと、町に戻ることにした。
南門は相変わらず混んでいるが、町の住民扱いなので、割とすぐに町に入ることができる。
ギルドに行き、アカヨモギ草を受付嬢に渡すが、受付嬢は昨日のぽっちゃりした金髪の女性に替わっていた。
受付嬢は一瞬不思議そうな顔をしたあと、何か思い出したように「これだけですか?必要数5本ですが、大丈夫ですか?」と聞いてくる。
俺は何を言っているのか意味が判らない。
(大丈夫なのだが、なぜだろう?)
俺が不思議そうな顔をしていると、受付嬢が説明し始めた。
「アカヨモギ草とニセアカヨモギは良く似ているので、薬師の方でも最初は判別に苦労するそうです。普通の冒険者の方は二十本くらい採ってきて必要数に足りているか確認するのですが……」
なるほど、鑑定がなければ闇雲に採るしかない。だから、五本しか採ってこないので、聞いてきたのだろう。
そして、彼女は俺が昨日登録したばかりの新人だと知っている。薬草を受け取ったあとの表情から、「新人はこんなこともわからないの」って思われたのかもしれない。
俺は自信たっぷりに「とりあえず、それで確認してくれないか。大丈夫なはずだ」と強引に確認させる。
受付嬢は納得していないようだが、トレイを持って裏にいった。
数分後、俺の名前が呼ばれ、驚いた顔の受付嬢が、「すべて、アカヨモギ草と確認できました」と言った後、「クエスト達成です。報酬の銀貨三枚をお受け取り下さい。初クエスト達成おめでとうございます」と笑顔で祝福してくれた。
俺も「ありがとう」と礼を言い、依頼票掲示板に向かう。
次はアトス黒にんじんのクエストだ。
「これの受付と達成の確認を頼む」と依頼票を受付嬢に手渡すと、彼女は更に驚いた顔で、「えっ! もう一件ですか?……わかりました確認します」とプロらしからぬ動揺を見せる。
再び奥に行った受付嬢を見送り、掲示板に向かい、次の依頼票を探す。
数分後クエストの達成と報酬を受け取り、このやりとりをあと三回繰り返した。
結果、本日のクエスト達成数五件、報酬額十四S。初日にしては十分な成果に満足してギルドを出ていった。
後書き
作者:狩坂 東風 |
投稿日:2012/12/09 14:38 更新日:2012/12/09 14:46 『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。 |
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