作品ID:132
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「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
最高濃度炎エネルギー。
前の話 | 目次 | 次の話 |
〈何で、何で反応しない……〉
自分の心の中に浮かんだ問いに答えるものはいない。
高濃度炎エネルギーを蓄積したオーティスは疲労が溜まり休養。
おとなしくしてろ、と言いオーティスから高濃度炎エネルギーを受け取ったはいいが。
「反応しない?」
オーティスから受け取った炎エネルギーはオーティスの言うとおり高濃度炎エネルギーのはずだ。だがそれなら確実に反応してくれる。
穿たれた穴に無数の光線が走る。色は赤くなり、それはフェクトが穴に向け放った高濃度炎エネルギーが生きているという証明。だが生きていても反応してくれないのでは意味がない。それにこの走り方。
「オーティス。これってもしかして高濃度じゃないだろう」
〈……おとなしくしていろ、と言われておとなしくしてればお前からの言葉か。お前は本当に私を休養させる気があるのか?〉
「いいから」
〈はぁ……。確かにその稲妻に似た走り方は高濃度エネルギーの反応ではないな。寧ろ〉
「まるで最高濃度のエネルギーっぽいような」
〈そうか。私に予想以上の疲労が溜まったのはそれが原因か。高濃度エネルギーを蓄積させるはずが最高濃度エネルギーまで高まった、そういうことか〉
姿は見えないが声は聞こえる。所謂テレパシーのひとつだ。此処に自分やオーティスとは違った第三者が居たらまず自分を気味悪いと言う。
「いや、冷静に解析してるとこ悪いんだけど、これどうするんだ。俺の容量じゃ受け取っても此処から放つことはできない」
〈まあ頑張れ〉
「まったく。こういうことになるんだったら……まあいいや。今更どうこう言っても意味ないか」
とりあえず今ある現状打開策を練らなくてはならないし。
「……とりあえずやってみるか」
ひとつの案が浮かび、実際にやってみる事にした。頭で考えたまま何もしないで結果を決め付けるのは嫌いだから。
「オーティス。悪いけど休養中断」
「どうせ、そういうことだと思って既に居る」
「おぉ。オーティスは分かってる」
頷く自分をよそにオーティスは勝手に召喚する。
因みに召喚獣が召喚獣を召喚するというのはかなり無理がある。よってこの場合オーティスが召喚するのは召喚獣ではなく、別のものになる。
「さて、どうする? この媒体を通せば少なくとも高濃度炎エネルギーは言う事を聞く。あとはお前とエネルギーのシンクロ率だな」
召喚獣にはそれぞれエネルギーが付きまとう。召喚獣にとってエネルギーは家族みたいなものであり夢でもある。そしてそのエネルギーを使役するために必要になるのがそのシンクロ率。
「シンクロ率が低ければ低いほどエネルギーは反発する。だか高ければ高いほどエネルギーは言う事を聞く」
「なんか、家族を侮辱されているみたいで嫌だ」
元々、フェクトは家族であるエネルギーを使役するという言い方が嫌いであり、そして使役しようとも思っていない。エネルギーにもエネルギーの意思があるから。
「で? その媒体は何。まるでウォークマンみたいだけ、ど……」
音楽機器のウォークマン。何処かでみたことはないか? そうだ。あの時。
「オーティス! まさかお前、あいつを! 何でそのウォークマンを、それはあいつが持っていた! しかもあいつが聖火なしでは生きれないというのも知っているだろう!」
「あいつ? 誰だ」
「……はぁ? その青く細長いウォークマンはあいつ所有のもので」
「これは違うものだ」
「?」
「私はフェクトが言うあいつ、を知らない。これは私がたった今、召喚したウォークマン。まあお前の最高濃度エネルギーに言う事聞かせるのにこれほど容量がある、ぴったりな媒体はなかったから、そういえば分かるか」
すっかり怒りも静められてしまったフェクトは今更納得する。
「要するに、それは俺が言う奴のものではなく、オーティスが召喚したウォークマンであり、最高濃度炎エネルギーに言う事聞かせるために召喚した。そしてそのウォークマンがたまたまあいつのウォークマンと形も色も一緒であったということか」
「やっと納得したか」
「はぁ……じゃあ、あいつのウォークマンはあるんだな」
「だから聞くな。私はそのあいつすら知らない。それなのにそのあいつのウォークマンを持っているか、という問いに答えられるわけがない」
「いや、もっていないならいないで多分、ネルあたりが何とかしてくれる」
「対召喚獣戦をたった一人で静めた?」
冷たい声色。何もない空間に響く。フェクトが纏う最高濃度炎エネルギーをウォークマンが反射し、一筋の光が差し込む。暗闇に発光した軌跡。その向こう側にオーティスは居る。
「オーティス?」
「対召喚獣戦など、桐生ネルじゃなくても止められた。ただ他の人間がそれをしなかっただけだ」
フェクトの声を無視したオーティスは聞いてもいないのに語りだす。
本当はあの時、あの少年じゃなくても他の人間でも止められた対召喚獣戦の本当の話を。
召喚獣は人間を甘く見ていた。
自分の心の中に浮かんだ問いに答えるものはいない。
高濃度炎エネルギーを蓄積したオーティスは疲労が溜まり休養。
おとなしくしてろ、と言いオーティスから高濃度炎エネルギーを受け取ったはいいが。
「反応しない?」
オーティスから受け取った炎エネルギーはオーティスの言うとおり高濃度炎エネルギーのはずだ。だがそれなら確実に反応してくれる。
穿たれた穴に無数の光線が走る。色は赤くなり、それはフェクトが穴に向け放った高濃度炎エネルギーが生きているという証明。だが生きていても反応してくれないのでは意味がない。それにこの走り方。
「オーティス。これってもしかして高濃度じゃないだろう」
〈……おとなしくしていろ、と言われておとなしくしてればお前からの言葉か。お前は本当に私を休養させる気があるのか?〉
「いいから」
〈はぁ……。確かにその稲妻に似た走り方は高濃度エネルギーの反応ではないな。寧ろ〉
「まるで最高濃度のエネルギーっぽいような」
〈そうか。私に予想以上の疲労が溜まったのはそれが原因か。高濃度エネルギーを蓄積させるはずが最高濃度エネルギーまで高まった、そういうことか〉
姿は見えないが声は聞こえる。所謂テレパシーのひとつだ。此処に自分やオーティスとは違った第三者が居たらまず自分を気味悪いと言う。
「いや、冷静に解析してるとこ悪いんだけど、これどうするんだ。俺の容量じゃ受け取っても此処から放つことはできない」
〈まあ頑張れ〉
「まったく。こういうことになるんだったら……まあいいや。今更どうこう言っても意味ないか」
とりあえず今ある現状打開策を練らなくてはならないし。
「……とりあえずやってみるか」
ひとつの案が浮かび、実際にやってみる事にした。頭で考えたまま何もしないで結果を決め付けるのは嫌いだから。
「オーティス。悪いけど休養中断」
「どうせ、そういうことだと思って既に居る」
「おぉ。オーティスは分かってる」
頷く自分をよそにオーティスは勝手に召喚する。
因みに召喚獣が召喚獣を召喚するというのはかなり無理がある。よってこの場合オーティスが召喚するのは召喚獣ではなく、別のものになる。
「さて、どうする? この媒体を通せば少なくとも高濃度炎エネルギーは言う事を聞く。あとはお前とエネルギーのシンクロ率だな」
召喚獣にはそれぞれエネルギーが付きまとう。召喚獣にとってエネルギーは家族みたいなものであり夢でもある。そしてそのエネルギーを使役するために必要になるのがそのシンクロ率。
「シンクロ率が低ければ低いほどエネルギーは反発する。だか高ければ高いほどエネルギーは言う事を聞く」
「なんか、家族を侮辱されているみたいで嫌だ」
元々、フェクトは家族であるエネルギーを使役するという言い方が嫌いであり、そして使役しようとも思っていない。エネルギーにもエネルギーの意思があるから。
「で? その媒体は何。まるでウォークマンみたいだけ、ど……」
音楽機器のウォークマン。何処かでみたことはないか? そうだ。あの時。
「オーティス! まさかお前、あいつを! 何でそのウォークマンを、それはあいつが持っていた! しかもあいつが聖火なしでは生きれないというのも知っているだろう!」
「あいつ? 誰だ」
「……はぁ? その青く細長いウォークマンはあいつ所有のもので」
「これは違うものだ」
「?」
「私はフェクトが言うあいつ、を知らない。これは私がたった今、召喚したウォークマン。まあお前の最高濃度エネルギーに言う事聞かせるのにこれほど容量がある、ぴったりな媒体はなかったから、そういえば分かるか」
すっかり怒りも静められてしまったフェクトは今更納得する。
「要するに、それは俺が言う奴のものではなく、オーティスが召喚したウォークマンであり、最高濃度炎エネルギーに言う事聞かせるために召喚した。そしてそのウォークマンがたまたまあいつのウォークマンと形も色も一緒であったということか」
「やっと納得したか」
「はぁ……じゃあ、あいつのウォークマンはあるんだな」
「だから聞くな。私はそのあいつすら知らない。それなのにそのあいつのウォークマンを持っているか、という問いに答えられるわけがない」
「いや、もっていないならいないで多分、ネルあたりが何とかしてくれる」
「対召喚獣戦をたった一人で静めた?」
冷たい声色。何もない空間に響く。フェクトが纏う最高濃度炎エネルギーをウォークマンが反射し、一筋の光が差し込む。暗闇に発光した軌跡。その向こう側にオーティスは居る。
「オーティス?」
「対召喚獣戦など、桐生ネルじゃなくても止められた。ただ他の人間がそれをしなかっただけだ」
フェクトの声を無視したオーティスは聞いてもいないのに語りだす。
本当はあの時、あの少年じゃなくても他の人間でも止められた対召喚獣戦の本当の話を。
召喚獣は人間を甘く見ていた。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/26 09:39 更新日:2010/01/27 09:44 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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