作品ID:133
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「炎に従う〈はずの〉召喚獣」を読み始めました。
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
対召喚獣戦・真実。
前の話 | 目次 | 次の話 |
別に対召喚獣戦は桐生ネル以外の人間でも止めることができた。だけど、他の人間は諦めていた。だから桐生ネルが止めるしかなかった。暴走していた召喚獣たちを放置しておくとより一層、危険度が増すからな。
思えば、あの時召喚獣たちは人間を甘く見ていたのかもしれない。強大な力を持っていてもどうせ、自分たちより弱い、と。
だから思わぬ反撃に恐れをなして……。
遡る事歴史とどかず。そんな時に訪れたのが召喚獣同士の戦い。所謂、対召喚獣戦。
突如訪れた召喚獣たち、そして勃発した召喚獣同士の戦闘に〈その力が強大すぎたのも相まって〉人間たちは立ちすくむことも何もできなかった。ただ其処にある無意味な存在にしかなれなかった。
人間たちは諦めていた。あらゆる人種がいる人間たちが。己の家族も何もかも捨てて、召喚獣たちに背を向け、その場から逃げ出した者たちが大勢居た。
だがその光景を一番理解して、理解したうえで戦闘を行い続ける召喚獣同士の中へと突っ込んで行った馬鹿が居た。
だけれど自分は何故だろう。その馬鹿に期待してしまった。きっと、きっと……いや。もしかしたら絶対この無意味な戦いを止めてくれると信じていたから。
「おい。お前ら、何でこんな事するんだ」
この少年の名を桐生ネル。まだ10歳にも満たない少年が能力を、その業を剥き出しにして戦闘を続ける召喚獣たちの間に立ち、声をかける。
一斉に注がれる視線。一瞬、少年の体が震えたがすぐに平常心へと戻っていく。
「お前らは耳が悪いのか? そうなのか。じゃあもう一度だけ言わせてもらう。お前らはなんでこんな事をするんだ。何でこんな無意味な戦闘を続けるんだ」
風が凪ぐ。意外とこの少年は頭が回る?
「無意味な戦闘を続けて意味があるか?」
少年がさらに言葉を重ねる。暴風が吹き荒れる。まるでこちらを見ている召喚獣たちの意思を映しているかのようで。
「……そういうことか。分かった。お前たちは人間が大っ嫌いなんだな。分かった。だけど関係ない奴らまで巻き込んで、それでいいか? それでお前らは後悔しないのか? どうせ、同じことを続けるならさ。後悔しない方を選んだ方が得だと俺は思う」
まるで先ほどの強風に含まれた召喚獣の意思を汲み取ったような感じだった。実際、心に流れてきたのだろう。だからそれをぶつけた。
「有難う。でもな。お前たちが踏み潰した、踏み潰してきた人間の数は計り知れない。だからどうする? それはお前たちが出す答えだ。俺たちに聞くなよ。絶対だ」
そう言って言い終わってから召喚獣たちに背を向ける。まるでそれはこれからお前たちの行く末を見届ける、そんな感じがして。
「其処にも居るんだろ」
私を指差した。
なるほど。この少年はそこまで……。ならば言おうか。
「初めまして。少年。初対面なのに、しかも召喚獣たちに叱咤するとは……恐るべし、だな。人間も。私たちは甘く見ていたよ。君たち人間を」
大人よりも感受性が高い子供の少年とはいえ、人間に居場所がばれたのは初めてだ。
私、オーティスタクティスにとって初めてのことだった。
「初めまして。オーティスタクティス」
「へえ。私の名前を知っているとは。なかなか聡明な子供だな。それとも余程の歴史好きか?」
「意外と、後者だったりする」
「はは。面白い子供だな。まあ、そんな面白い子供が私たち、召喚獣同士の戦闘を止める事ができた、か」
「そうかもしれないが、俺はそう考えて行動してない。寧ろ頭で考えるよりも体が動いていた……のほうが正しいな」
「オーティスタクティスという名はどこで知った?」
「だから、歴史。学校で学んだ歴史の延長って言っていいのか、どうか分からないが。でも歴史の延長だな」
「……そうか。それで召喚獣の名前も何もかも知ったのか」
「そういうことだ」
「お前の名は? お前が知っていて私が知らないというのは少し、な」
「それ、分かるかもしれない。俺は……桐生ネル」
「ネル、か」
「そうそう。オーティスでいいんだっけ」
「ああ。タクティスはファミリーネームみたいなものだからな」
「意外と適当なんだな」
それが、対召喚獣戦を制した桐生ネルとの会話。
思えば、桐生ネル以外でもこの対召喚獣戦は制することができたような気がした。
たまたま桐生ネルが対召喚獣戦を制しただけ。それだけのことだった。
ただ、あのときの人間たちは諦めていた。だから桐生ネルが対召喚獣戦を制した。
「これが対召喚獣戦の偽りの真実」
ならば真実はどこに言ったのか。
自分の言葉に驚くフェクトは本当見ていて面白い。
だがそろそろ話せねばならない。桐生ネルは……。
ハーフであることも何もかも。
思えば、あの時召喚獣たちは人間を甘く見ていたのかもしれない。強大な力を持っていてもどうせ、自分たちより弱い、と。
だから思わぬ反撃に恐れをなして……。
遡る事歴史とどかず。そんな時に訪れたのが召喚獣同士の戦い。所謂、対召喚獣戦。
突如訪れた召喚獣たち、そして勃発した召喚獣同士の戦闘に〈その力が強大すぎたのも相まって〉人間たちは立ちすくむことも何もできなかった。ただ其処にある無意味な存在にしかなれなかった。
人間たちは諦めていた。あらゆる人種がいる人間たちが。己の家族も何もかも捨てて、召喚獣たちに背を向け、その場から逃げ出した者たちが大勢居た。
だがその光景を一番理解して、理解したうえで戦闘を行い続ける召喚獣同士の中へと突っ込んで行った馬鹿が居た。
だけれど自分は何故だろう。その馬鹿に期待してしまった。きっと、きっと……いや。もしかしたら絶対この無意味な戦いを止めてくれると信じていたから。
「おい。お前ら、何でこんな事するんだ」
この少年の名を桐生ネル。まだ10歳にも満たない少年が能力を、その業を剥き出しにして戦闘を続ける召喚獣たちの間に立ち、声をかける。
一斉に注がれる視線。一瞬、少年の体が震えたがすぐに平常心へと戻っていく。
「お前らは耳が悪いのか? そうなのか。じゃあもう一度だけ言わせてもらう。お前らはなんでこんな事をするんだ。何でこんな無意味な戦闘を続けるんだ」
風が凪ぐ。意外とこの少年は頭が回る?
「無意味な戦闘を続けて意味があるか?」
少年がさらに言葉を重ねる。暴風が吹き荒れる。まるでこちらを見ている召喚獣たちの意思を映しているかのようで。
「……そういうことか。分かった。お前たちは人間が大っ嫌いなんだな。分かった。だけど関係ない奴らまで巻き込んで、それでいいか? それでお前らは後悔しないのか? どうせ、同じことを続けるならさ。後悔しない方を選んだ方が得だと俺は思う」
まるで先ほどの強風に含まれた召喚獣の意思を汲み取ったような感じだった。実際、心に流れてきたのだろう。だからそれをぶつけた。
「有難う。でもな。お前たちが踏み潰した、踏み潰してきた人間の数は計り知れない。だからどうする? それはお前たちが出す答えだ。俺たちに聞くなよ。絶対だ」
そう言って言い終わってから召喚獣たちに背を向ける。まるでそれはこれからお前たちの行く末を見届ける、そんな感じがして。
「其処にも居るんだろ」
私を指差した。
なるほど。この少年はそこまで……。ならば言おうか。
「初めまして。少年。初対面なのに、しかも召喚獣たちに叱咤するとは……恐るべし、だな。人間も。私たちは甘く見ていたよ。君たち人間を」
大人よりも感受性が高い子供の少年とはいえ、人間に居場所がばれたのは初めてだ。
私、オーティスタクティスにとって初めてのことだった。
「初めまして。オーティスタクティス」
「へえ。私の名前を知っているとは。なかなか聡明な子供だな。それとも余程の歴史好きか?」
「意外と、後者だったりする」
「はは。面白い子供だな。まあ、そんな面白い子供が私たち、召喚獣同士の戦闘を止める事ができた、か」
「そうかもしれないが、俺はそう考えて行動してない。寧ろ頭で考えるよりも体が動いていた……のほうが正しいな」
「オーティスタクティスという名はどこで知った?」
「だから、歴史。学校で学んだ歴史の延長って言っていいのか、どうか分からないが。でも歴史の延長だな」
「……そうか。それで召喚獣の名前も何もかも知ったのか」
「そういうことだ」
「お前の名は? お前が知っていて私が知らないというのは少し、な」
「それ、分かるかもしれない。俺は……桐生ネル」
「ネル、か」
「そうそう。オーティスでいいんだっけ」
「ああ。タクティスはファミリーネームみたいなものだからな」
「意外と適当なんだな」
それが、対召喚獣戦を制した桐生ネルとの会話。
思えば、桐生ネル以外でもこの対召喚獣戦は制することができたような気がした。
たまたま桐生ネルが対召喚獣戦を制しただけ。それだけのことだった。
ただ、あのときの人間たちは諦めていた。だから桐生ネルが対召喚獣戦を制した。
「これが対召喚獣戦の偽りの真実」
ならば真実はどこに言ったのか。
自分の言葉に驚くフェクトは本当見ていて面白い。
だがそろそろ話せねばならない。桐生ネルは……。
ハーフであることも何もかも。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/27 18:58 更新日:2010/01/27 18:58 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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