作品ID:135
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炎に従う〈はずの〉召喚獣
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
フォーススフィア到着直前。
前の話 | 目次 | 次の話 |
対召喚獣戦を止められたのは桐生ネル以外でも大丈夫だった。
ただたまたま桐生ネルが止める事になっただけ。
「魔法? 召喚獣? 召喚?」
彼がいう歴史の延長で学んだ三つのワードを述べると思ったとおり彼は首をかしげた。
それはそうだろう。なぜなら前置きも何もなく、そのワードを述べただけなのだから。
黒いヘアゴムと黄色い折りたたみ櫛を使い、自分の無色……つまりは白く肩ぐらいまで届く髪を縛る。これから行動するのに、邪魔になるから。
ついでに言うと少々、外見も弄っている。身長が170センチから一気に140センチまで小さくなっていたり、さらに言うと……。
「バグ?」
「多分……」
身長だけを弄ったつもりが何が悪かったのか。
「何ゆえ、お前と同姓にならなくてはならないのだ」
そう。所謂、性転換まで起こってしまった。本当にどうしようか、と人が困っているのを横目で見ては笑うこの餓鬼をとりあえず、硬く硬く握った拳をぶつけることで黙らせる。
「はぁ。ま、いいか。とにかく、だ。お前には召喚獣を召喚してもらう」
「いや、だから何で?」
「理由が必要か?」
「だって、召喚獣を喚び寄せた奴は徹底的に訓練させられるんだろ?」
「あー。それはこっちの世界での決定だな。フォーススフィアっていうきちんとしたところで喚び寄せれば問題はない……はず」
「はずって!」
「私も召喚獣としてきちんとした属性についていない上に召喚獣同士での戦闘、対召喚獣戦が始まってしまうわ、でこっちも大変なんだ! ……まったく。あいつが居れば楽だったのに」
「……生体コンピュータ・リルディア?」
「へぇ。そこまで知っているのか。なかなか、人間も捨てたものではないか」
「生体コンピュータ・リルディアぐらい、誰でも知っている」
「あいつの処理能力があれば楽なのに」
肩を落とす自分から黒い肩下げ鞄が落ちる。慌てて拾う自分をやけに怪訝そうな目で見るので問う。
「人のこと、じーっと見て……なんだ? 何か用か?」
「いや、なかなか本題に戻らないからとりあえず、フォーススフィアへの行き方を教えてもらおうか、と」
「ああ。そこで終わっていたか」
鞄を拾い上げ、鞄から黄色い革手帳を取り出し、メモ部分に目を通す。
「幾つか方法はある。ひとつは召喚獣の飛行能力を使い、一気にフォーススフィアへと行くか。もう一つはかなり無理があるが、どの属性にも属さぬ召喚獣が半径1メートル以内に居る場合、その召喚獣のワープ能力を使い、フォーススフィアへと行く。これあたりが今この状況で使える手段か」
「飛行能力って、オーティスは空を飛べるのか」
「訓練次第と、本人の能力次第で飛べるようになる。飛ぶ方法はエネルギーを収束させ、翼の形を象る。そうして飛ぶ。だがエネルギーを収束しているのが必須条件のため、エネルギーがなくなれば飛べなくなる。だが私のような」
首をかしげる彼に教えてやる。
「私のような生まれ持った飛行能力で飛ぶ方法」
オーティスの薄い橙色の上着が風を含み、広がっていく。さらに言えば中に着た白いシャツの背中部分がまるで今にもはちきれんばかりに盛り上がり、シャツを貫き上着をも貫き出てきたのは。
開放感に酔いしれているかのような黒い黒い翼。空を、空気を何もかも切り裂くようなそれはしっかりとオーティスの背中から生えていた。そしてオーティスがそれに触れると今度はオーティスに反応し、早く飛び立ちたいと言っているように勢いよく振動する。
「……オーティスがそのどの属性にも属さぬ存在、つまり無属性?」
「そういうこと。まあ私の場合、非公式に空中を漂うことは許されないからあまり空を飛びたくないんだが」
「へー」
「意外と簡単な反応」
少し悲しい。でも少し嬉しい。だって、この翼を見たものは全員、私のことを
「化け物って言うから」
「はい?」
「いいや。じゃあ行く?」
「なるべく早急にフォーススフィアで起こっている対召喚獣戦を沈静化させなければならないからな。早く行こうか」
「なら乗れ」
「え」
「早く、背中に乗れ」
「何で!」
「いや、何のために私の背中に翼が生えているというのだ。空を飛ぶためだろう」
「いやでも……」
少年とはいえ、女性〈今は少女に近いが〉の背中に乗るのは少々、抵抗があるのだろう。
「早く行くぞ」
「ああ……」
こうなったら行くしかない。だってもう自分は行くと決めたから。
振動する翼。背中に乗る自分にも伝わってくる。空中へと飛び立ってから気づいたのだがこの周りにある小さなエネルギーの塊は何なのだろう。
「オーティス。このエネルギーの塊は? んで、俺は何故呼吸をしていられるのでしょうか」
「エネルギーが護っているから。バリアみたいなものだな。それが私の周りを覆っている。だからそのバリア内では呼吸ができる。無酸素ではないから」
「はあ。成る程。いや、気になってさ。此処ってかなり地上と差があるから。まあ、専門的なことは分からないけど無酸素空間っていうのにならないのか? と」
「ならその疑問は解決したな」
本当に髪を縛ってきてよかった。今ごろこの超高速の中、自分の髪が暴れて視界を塞ぐという事態に陥っているだろう。もしも髪を縛らなかったのなら。
「フォーススフィア管理内に召喚獣発生熱源1。人間発生熱源1。フォーススフィアに降り立つ模様。尚、召喚獣はオーティスタクティス。人間は桐生ネルと判断。攻撃しますか?」
一台のコンピュータ・モニタの前で緑色の目が細められた。
基本知識として、対召喚獣戦は一戦のみ。だが現実に起こった対召喚獣戦は二回あった。だが何故、二回目が知識としてないのか。一回目があるならば二回目もあっていいはずなのに。
それは生体コンピュータ・リルディアの存在にあった。
ただたまたま桐生ネルが止める事になっただけ。
「魔法? 召喚獣? 召喚?」
彼がいう歴史の延長で学んだ三つのワードを述べると思ったとおり彼は首をかしげた。
それはそうだろう。なぜなら前置きも何もなく、そのワードを述べただけなのだから。
黒いヘアゴムと黄色い折りたたみ櫛を使い、自分の無色……つまりは白く肩ぐらいまで届く髪を縛る。これから行動するのに、邪魔になるから。
ついでに言うと少々、外見も弄っている。身長が170センチから一気に140センチまで小さくなっていたり、さらに言うと……。
「バグ?」
「多分……」
身長だけを弄ったつもりが何が悪かったのか。
「何ゆえ、お前と同姓にならなくてはならないのだ」
そう。所謂、性転換まで起こってしまった。本当にどうしようか、と人が困っているのを横目で見ては笑うこの餓鬼をとりあえず、硬く硬く握った拳をぶつけることで黙らせる。
「はぁ。ま、いいか。とにかく、だ。お前には召喚獣を召喚してもらう」
「いや、だから何で?」
「理由が必要か?」
「だって、召喚獣を喚び寄せた奴は徹底的に訓練させられるんだろ?」
「あー。それはこっちの世界での決定だな。フォーススフィアっていうきちんとしたところで喚び寄せれば問題はない……はず」
「はずって!」
「私も召喚獣としてきちんとした属性についていない上に召喚獣同士での戦闘、対召喚獣戦が始まってしまうわ、でこっちも大変なんだ! ……まったく。あいつが居れば楽だったのに」
「……生体コンピュータ・リルディア?」
「へぇ。そこまで知っているのか。なかなか、人間も捨てたものではないか」
「生体コンピュータ・リルディアぐらい、誰でも知っている」
「あいつの処理能力があれば楽なのに」
肩を落とす自分から黒い肩下げ鞄が落ちる。慌てて拾う自分をやけに怪訝そうな目で見るので問う。
「人のこと、じーっと見て……なんだ? 何か用か?」
「いや、なかなか本題に戻らないからとりあえず、フォーススフィアへの行き方を教えてもらおうか、と」
「ああ。そこで終わっていたか」
鞄を拾い上げ、鞄から黄色い革手帳を取り出し、メモ部分に目を通す。
「幾つか方法はある。ひとつは召喚獣の飛行能力を使い、一気にフォーススフィアへと行くか。もう一つはかなり無理があるが、どの属性にも属さぬ召喚獣が半径1メートル以内に居る場合、その召喚獣のワープ能力を使い、フォーススフィアへと行く。これあたりが今この状況で使える手段か」
「飛行能力って、オーティスは空を飛べるのか」
「訓練次第と、本人の能力次第で飛べるようになる。飛ぶ方法はエネルギーを収束させ、翼の形を象る。そうして飛ぶ。だがエネルギーを収束しているのが必須条件のため、エネルギーがなくなれば飛べなくなる。だが私のような」
首をかしげる彼に教えてやる。
「私のような生まれ持った飛行能力で飛ぶ方法」
オーティスの薄い橙色の上着が風を含み、広がっていく。さらに言えば中に着た白いシャツの背中部分がまるで今にもはちきれんばかりに盛り上がり、シャツを貫き上着をも貫き出てきたのは。
開放感に酔いしれているかのような黒い黒い翼。空を、空気を何もかも切り裂くようなそれはしっかりとオーティスの背中から生えていた。そしてオーティスがそれに触れると今度はオーティスに反応し、早く飛び立ちたいと言っているように勢いよく振動する。
「……オーティスがそのどの属性にも属さぬ存在、つまり無属性?」
「そういうこと。まあ私の場合、非公式に空中を漂うことは許されないからあまり空を飛びたくないんだが」
「へー」
「意外と簡単な反応」
少し悲しい。でも少し嬉しい。だって、この翼を見たものは全員、私のことを
「化け物って言うから」
「はい?」
「いいや。じゃあ行く?」
「なるべく早急にフォーススフィアで起こっている対召喚獣戦を沈静化させなければならないからな。早く行こうか」
「なら乗れ」
「え」
「早く、背中に乗れ」
「何で!」
「いや、何のために私の背中に翼が生えているというのだ。空を飛ぶためだろう」
「いやでも……」
少年とはいえ、女性〈今は少女に近いが〉の背中に乗るのは少々、抵抗があるのだろう。
「早く行くぞ」
「ああ……」
こうなったら行くしかない。だってもう自分は行くと決めたから。
振動する翼。背中に乗る自分にも伝わってくる。空中へと飛び立ってから気づいたのだがこの周りにある小さなエネルギーの塊は何なのだろう。
「オーティス。このエネルギーの塊は? んで、俺は何故呼吸をしていられるのでしょうか」
「エネルギーが護っているから。バリアみたいなものだな。それが私の周りを覆っている。だからそのバリア内では呼吸ができる。無酸素ではないから」
「はあ。成る程。いや、気になってさ。此処ってかなり地上と差があるから。まあ、専門的なことは分からないけど無酸素空間っていうのにならないのか? と」
「ならその疑問は解決したな」
本当に髪を縛ってきてよかった。今ごろこの超高速の中、自分の髪が暴れて視界を塞ぐという事態に陥っているだろう。もしも髪を縛らなかったのなら。
「フォーススフィア管理内に召喚獣発生熱源1。人間発生熱源1。フォーススフィアに降り立つ模様。尚、召喚獣はオーティスタクティス。人間は桐生ネルと判断。攻撃しますか?」
一台のコンピュータ・モニタの前で緑色の目が細められた。
基本知識として、対召喚獣戦は一戦のみ。だが現実に起こった対召喚獣戦は二回あった。だが何故、二回目が知識としてないのか。一回目があるならば二回目もあっていいはずなのに。
それは生体コンピュータ・リルディアの存在にあった。
後書き
作者:フェクト |
投稿日:2010/01/29 12:01 更新日:2010/01/29 12:01 『炎に従う〈はずの〉召喚獣』の著作権は、すべて作者 フェクト様に属します。 |
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