作品ID:203
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第6話。
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天使と悪魔の関係。さらにいえば詳しく。
それを口にするのは頭を少しだけ、悩ませる作業だった。
「えーと……確か、何にもない世界でたった一人で歩いていた人間の上と下に正反対の生命体が舞い降り、その手に持っていた、うーんと……天秤と鎌を人間に向けた。それから……」
思い出しながら、頭を悩ませながら紡ぐ言葉を璃維や鋼夜さんは静かに聞いている。ただ、鋼夜さんの表情は眉間にしわを寄せ、少しだけ、本当に少しだけ私を睨んでいるっぽかった。
「そして、天秤は人間の上に存在した天使が持っていて、鎌が人間の下に存在した悪魔が持っていたんだったかな? 人間はその天秤と鎌を見たとき、その瞬間にその顔を苦痛にゆがめた」
そこでオーダーしていた軽食が運ばれてきた。
私は注文したアイスティーにガムシロップを適量入れ、ストローで混ぜる。それにあわせて氷とレモンの輪切りがグラスの周りをぐるぐると回る。
混ぜ終わった後、一口アイスティーを飲み、再度喋る。
「確か、その後は天使と悪魔に対して人間は何か言ったはず。ただ、その言葉が思い出せないんだよね……」
そこで鋼夜さんが定番のハンバーガーを食べながら、
「『此処で、私が天使と悪魔、お前らに私の胸の内を明かすことは気が早すぎる。……人間は、いつだって天使と悪魔、どちらにでもなれるのだから』って言ったの。まあ私の言ったこの言葉は少し変わってると思うけど」
言ってからまた、ハンバーガーを一口。
……今まで黙っていた璃維の表情を無意識に見ると、その表情は穏やかで、決して不機嫌そうなんかじゃなかった。
さっきまでは、不機嫌だったのに。
……また、アレかな?
「んじゃ、行きますか」
鋼夜さんが隣においておいたバッグにレコーダーを入れて、立ち上がる。
ついでに、テーブルに置かれた領収書も。
「今日のところはテストみたいなものだから。それに用があったのは私みたいだしね。ということで、ここでは私が支払っとく。いいね?」
言いながら、こちらの了承も得ず、レジに向かうその背中。
一瞬。
鋼夜さんの背中に真っ白な翼が見えた気がした。その数、二枚。
ぼや?ってしてはっきりとは見えなかったけど、輪郭なんてなかったけど、目の錯覚じゃないと思う。
「じゃ、今日のところは解散。どうせ、また明日学校で会うことになると思う。明日は全員、休日返上で体育祭リハだからね」
レジから戻ってきた鋼夜さんの手には黒革の長財布が握られていた。
「あの、鋼夜さん、明日って体育祭のリハーサルなんですか……?」
「ん? 言ってなかったっけ?」
首をかしげて聞かれるものだから、本当のことを言うしかない。
「多分、誰も知らないと思います……!」
「俺も、今、春袈に聞いて知った。ってかんなこと誰も言ってなかった」
「……嘘、またあの生徒会長……! 仕事しやがれってのっ!」
鋼夜さんがものすごく怒っている。それに何か心当たりがあるのか、それとも鋼夜さんの言葉に出てきた「生徒会長」さんの方に心当たりがあるのか、璃維は鋼夜さんを宥めている。
ちょっと聞こえたんだけど「いつものことだから」という璃維の言葉。
いつものことっていうのは私にはわからない。ただ、その「生徒会長」さんが関係してるってことは何となく、分かる。
「……ま、まぁいいわ。どうせ、ウチの学校では体育祭リハーサルなんてだ?れも出た事ないんだしさ」
実は、フェリアンヴェスピュリア大公国立学校には体育教師というのが居ない。というより教師という存在自体が居ない。そのため、学校の自治は中・高の生徒会が行っている。
その生徒会が「やらない」と決めたら学校はやらない。そういうシステムになっているため、生徒会にかかる責任は大きい。というか大きすぎるとおもう。
体育祭リハーサルをしないのは、というかしても誰もリハーサルに出ないのは、その生徒会に関係しているという噂を耳にした事がある。
寧ろ、生徒会じゃなくて、高等部の生徒会長が原因になっているらしいという噂。
まあ噂の段階だからってきにしてなかったけど……。
「じゃあさ、予定変更。リハーサルなんて出なくても出ても同じもんでしょ? ならさ、今はまだ3時ちょっと過ぎたとこだから、そこら辺の公園でも立ち寄りますか」
お店の自動ドアをくぐって、それに続く私と璃維。
……あれ? この辺に公園なんてあったっけ……?
それを口にするのは頭を少しだけ、悩ませる作業だった。
「えーと……確か、何にもない世界でたった一人で歩いていた人間の上と下に正反対の生命体が舞い降り、その手に持っていた、うーんと……天秤と鎌を人間に向けた。それから……」
思い出しながら、頭を悩ませながら紡ぐ言葉を璃維や鋼夜さんは静かに聞いている。ただ、鋼夜さんの表情は眉間にしわを寄せ、少しだけ、本当に少しだけ私を睨んでいるっぽかった。
「そして、天秤は人間の上に存在した天使が持っていて、鎌が人間の下に存在した悪魔が持っていたんだったかな? 人間はその天秤と鎌を見たとき、その瞬間にその顔を苦痛にゆがめた」
そこでオーダーしていた軽食が運ばれてきた。
私は注文したアイスティーにガムシロップを適量入れ、ストローで混ぜる。それにあわせて氷とレモンの輪切りがグラスの周りをぐるぐると回る。
混ぜ終わった後、一口アイスティーを飲み、再度喋る。
「確か、その後は天使と悪魔に対して人間は何か言ったはず。ただ、その言葉が思い出せないんだよね……」
そこで鋼夜さんが定番のハンバーガーを食べながら、
「『此処で、私が天使と悪魔、お前らに私の胸の内を明かすことは気が早すぎる。……人間は、いつだって天使と悪魔、どちらにでもなれるのだから』って言ったの。まあ私の言ったこの言葉は少し変わってると思うけど」
言ってからまた、ハンバーガーを一口。
……今まで黙っていた璃維の表情を無意識に見ると、その表情は穏やかで、決して不機嫌そうなんかじゃなかった。
さっきまでは、不機嫌だったのに。
……また、アレかな?
「んじゃ、行きますか」
鋼夜さんが隣においておいたバッグにレコーダーを入れて、立ち上がる。
ついでに、テーブルに置かれた領収書も。
「今日のところはテストみたいなものだから。それに用があったのは私みたいだしね。ということで、ここでは私が支払っとく。いいね?」
言いながら、こちらの了承も得ず、レジに向かうその背中。
一瞬。
鋼夜さんの背中に真っ白な翼が見えた気がした。その数、二枚。
ぼや?ってしてはっきりとは見えなかったけど、輪郭なんてなかったけど、目の錯覚じゃないと思う。
「じゃ、今日のところは解散。どうせ、また明日学校で会うことになると思う。明日は全員、休日返上で体育祭リハだからね」
レジから戻ってきた鋼夜さんの手には黒革の長財布が握られていた。
「あの、鋼夜さん、明日って体育祭のリハーサルなんですか……?」
「ん? 言ってなかったっけ?」
首をかしげて聞かれるものだから、本当のことを言うしかない。
「多分、誰も知らないと思います……!」
「俺も、今、春袈に聞いて知った。ってかんなこと誰も言ってなかった」
「……嘘、またあの生徒会長……! 仕事しやがれってのっ!」
鋼夜さんがものすごく怒っている。それに何か心当たりがあるのか、それとも鋼夜さんの言葉に出てきた「生徒会長」さんの方に心当たりがあるのか、璃維は鋼夜さんを宥めている。
ちょっと聞こえたんだけど「いつものことだから」という璃維の言葉。
いつものことっていうのは私にはわからない。ただ、その「生徒会長」さんが関係してるってことは何となく、分かる。
「……ま、まぁいいわ。どうせ、ウチの学校では体育祭リハーサルなんてだ?れも出た事ないんだしさ」
実は、フェリアンヴェスピュリア大公国立学校には体育教師というのが居ない。というより教師という存在自体が居ない。そのため、学校の自治は中・高の生徒会が行っている。
その生徒会が「やらない」と決めたら学校はやらない。そういうシステムになっているため、生徒会にかかる責任は大きい。というか大きすぎるとおもう。
体育祭リハーサルをしないのは、というかしても誰もリハーサルに出ないのは、その生徒会に関係しているという噂を耳にした事がある。
寧ろ、生徒会じゃなくて、高等部の生徒会長が原因になっているらしいという噂。
まあ噂の段階だからってきにしてなかったけど……。
「じゃあさ、予定変更。リハーサルなんて出なくても出ても同じもんでしょ? ならさ、今はまだ3時ちょっと過ぎたとこだから、そこら辺の公園でも立ち寄りますか」
お店の自動ドアをくぐって、それに続く私と璃維。
……あれ? この辺に公園なんてあったっけ……?
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/05/21 19:29 更新日:2010/05/22 13:01 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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