作品ID:215
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第13話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
レオ争奪戦とトーナメントは同じものであるが、NEV機関員を除く一般人はレオ争奪戦とトーナメントがイコールで結ばれる関係である事は多くが知らない。
まあ勿論、璃維は元NEV機関員なわけだから? 知ってるとは思ってたけどさ……。
「媛ー。璃維が居ちゃイヤ?」
「嫌」
「何で? 璃維、全然怖くないじゃん!」
「怖いとかそういうんじゃない」
P○PでRPGを遊んでいる我が妹・媛。
妹の名前の「ひめ」に姫ではなく媛をつかった理由など知らない。
「璃維、どうしよう。媛どうしても嫌だって……」
私が天使なら、私の妹である媛も天使だろうと考えチームのメンバーに選んだのだが、まず説得しなければならないのを思い出した。
……媛は幼馴染、紅來璃維を嫌っている。
媛がもし天使だというのなら、悪魔である璃維を嫌ってもそれは仕方がない。天使と悪魔の関係などそれ以上でもそれ以下でもないのだから。
ただ、それがチームのメンバー選びと後々のチーム内に起きるトラブルとを考慮すると……そんな甘いことも言ってられない。
ここはなんとしてでも媛に納得してもらう!
「媛ぇ。お願いだよ」
「無理。いくら姉ちゃんのお願いでも聞き入れない」
「どうして」
「大体、どうして姉ちゃんは私を選んだの? 別に私にこだわる理由もないでしょ? そのチームメンバーに」
「それは」
「私が天使だから?」
「あーあ。媛の奴、何も真実を刹那姉に言わなくてもいいのに」
媛の部屋に仕掛けた盗聴器から拾った音はイヤホンを通じてこちらの耳に伝わる。
オレンジ色の髪をしたその少年は媛の同級生であり、悪魔でもある。
「媛……! 貴女まさか、私が天使だということも知っていて!?」
「うん。だって、ウチは天使の家系じゃん。それを考えれば少しぐらい天使の血が混じっていてもおかしくないかな? って」
「じゃあ、今のって」
「うん。嘘。ま、予想はしてたけどね。でも姉ちゃんのその反応で分かった。私はどうか分からないけど、姉ちゃんは天使だって」
○SPから顔を上げて、こちらを向く妹の表情は真剣だった。
「となると。余計、紅來璃維を姉ちゃんから遠ざけなきゃだね」
「? どうして?」
「だって、璃維だって悪魔じゃん」
思わず、璃維の方を振り向く。縁側で座る璃維の表情はこちらからは見えないけれど、多分……璃維のことだから目を瞑って言葉を聞いてるんだとおもう。
「媛、どうして璃維が悪魔だって?」
「……両親の葬儀の時。姉ちゃんの次に会ったの、私なんだ。そこでね、見ちゃったの。璃維の背中に黒い翼が生えてて。そのとき私の頭に浮かんだのは悪魔の二文字。絵本とかで見るあの真っ黒な翼は悪魔だという事を示してるって絵本に載ってたから。それからだよ」
私の前に立って紡いだ言葉は、
「もう二度と、悪魔を天使だろう姉ちゃんに近づけさせるもんかって思ったのは」
酷く、冷たい目で何も映してないような目で私を見て、声色なんて低くって。
妹は何でこんなに冷たい声を出せるんだろう? どうして妹はこんなに無表情なんだろう? どうして妹はこんなに璃維を否定するんだろう?
「私さ。姉ちゃんのこと大好き。勿論家族愛で。だからさ、何もなかった、両親っていう場所を埋めるような形であらわれた紅來璃維っていう悪魔を否定してる。だけど姉ちゃんは多分、悲しかったから。両親が居なくなっちゃって、その、ぽっかりと空いたポジションに現れた紅來璃維にすがりつくように仲良くなって。……ちょっと寂しかった。だってそれまで、姉妹2人と婆ちゃんと一緒だったから。そこに他人が入り込むなんて信じたくなかったんだ」
媛の目から涙が零れ落ちる。でも紡がれる言葉はものすごく温かい温度を保っていて、私は媛のことをちゃんと見ていたのかなって、急に不安になった。
けど、大丈夫。これまで見てあげれなかった分、私はこれから、媛を見続ける。それが私の役目だと思うから。
私は媛を無意識に抱きしめていた。
「媛。大丈夫。姉妹2人だからこそ、話し合おう? これまで、聞いてあげれなかったことも今なら聞いてあげる事ができる。だから、姉妹2人。一緒に頑張ってこう?」
「……」
無言で頷く媛を見て、璃維に一言。
「璃維も勿論、異論なんて唱えないよね?」
「……刹那の言うことはある程度聞く」
それは了解の意味だった。
顔を上げた媛が放った言葉は、
「まだ、璃維を信じる事なんてできないけど、レオ争奪戦には出るよ。メンバー空いてるでしょ?」
泣き顔でそう言う姿に、私は思った。
〈媛は強い子。だけど誰かが、私が支えてあげないといつか倒れちゃう。だから、その役目は私のもの。たとえ、璃維でも渡せない役目だから〉
「ねえ、璃維。媛は強い子だね」
「刹那の妹なんだから、当たり前だろ」
璃維の言葉を聞いて安心したとき。
「ねえねえ、まだメンバー余ってるでしょ? 僕、入れてよ!」
頭上から、そう頭上からだ。
オレンジ色の髪をもった媛と同じくらいの少年と媛がものすごく嫌そうな顔をしたのを視界に捉えたのは同時だった。
まあ勿論、璃維は元NEV機関員なわけだから? 知ってるとは思ってたけどさ……。
「媛ー。璃維が居ちゃイヤ?」
「嫌」
「何で? 璃維、全然怖くないじゃん!」
「怖いとかそういうんじゃない」
P○PでRPGを遊んでいる我が妹・媛。
妹の名前の「ひめ」に姫ではなく媛をつかった理由など知らない。
「璃維、どうしよう。媛どうしても嫌だって……」
私が天使なら、私の妹である媛も天使だろうと考えチームのメンバーに選んだのだが、まず説得しなければならないのを思い出した。
……媛は幼馴染、紅來璃維を嫌っている。
媛がもし天使だというのなら、悪魔である璃維を嫌ってもそれは仕方がない。天使と悪魔の関係などそれ以上でもそれ以下でもないのだから。
ただ、それがチームのメンバー選びと後々のチーム内に起きるトラブルとを考慮すると……そんな甘いことも言ってられない。
ここはなんとしてでも媛に納得してもらう!
「媛ぇ。お願いだよ」
「無理。いくら姉ちゃんのお願いでも聞き入れない」
「どうして」
「大体、どうして姉ちゃんは私を選んだの? 別に私にこだわる理由もないでしょ? そのチームメンバーに」
「それは」
「私が天使だから?」
「あーあ。媛の奴、何も真実を刹那姉に言わなくてもいいのに」
媛の部屋に仕掛けた盗聴器から拾った音はイヤホンを通じてこちらの耳に伝わる。
オレンジ色の髪をしたその少年は媛の同級生であり、悪魔でもある。
「媛……! 貴女まさか、私が天使だということも知っていて!?」
「うん。だって、ウチは天使の家系じゃん。それを考えれば少しぐらい天使の血が混じっていてもおかしくないかな? って」
「じゃあ、今のって」
「うん。嘘。ま、予想はしてたけどね。でも姉ちゃんのその反応で分かった。私はどうか分からないけど、姉ちゃんは天使だって」
○SPから顔を上げて、こちらを向く妹の表情は真剣だった。
「となると。余計、紅來璃維を姉ちゃんから遠ざけなきゃだね」
「? どうして?」
「だって、璃維だって悪魔じゃん」
思わず、璃維の方を振り向く。縁側で座る璃維の表情はこちらからは見えないけれど、多分……璃維のことだから目を瞑って言葉を聞いてるんだとおもう。
「媛、どうして璃維が悪魔だって?」
「……両親の葬儀の時。姉ちゃんの次に会ったの、私なんだ。そこでね、見ちゃったの。璃維の背中に黒い翼が生えてて。そのとき私の頭に浮かんだのは悪魔の二文字。絵本とかで見るあの真っ黒な翼は悪魔だという事を示してるって絵本に載ってたから。それからだよ」
私の前に立って紡いだ言葉は、
「もう二度と、悪魔を天使だろう姉ちゃんに近づけさせるもんかって思ったのは」
酷く、冷たい目で何も映してないような目で私を見て、声色なんて低くって。
妹は何でこんなに冷たい声を出せるんだろう? どうして妹はこんなに無表情なんだろう? どうして妹はこんなに璃維を否定するんだろう?
「私さ。姉ちゃんのこと大好き。勿論家族愛で。だからさ、何もなかった、両親っていう場所を埋めるような形であらわれた紅來璃維っていう悪魔を否定してる。だけど姉ちゃんは多分、悲しかったから。両親が居なくなっちゃって、その、ぽっかりと空いたポジションに現れた紅來璃維にすがりつくように仲良くなって。……ちょっと寂しかった。だってそれまで、姉妹2人と婆ちゃんと一緒だったから。そこに他人が入り込むなんて信じたくなかったんだ」
媛の目から涙が零れ落ちる。でも紡がれる言葉はものすごく温かい温度を保っていて、私は媛のことをちゃんと見ていたのかなって、急に不安になった。
けど、大丈夫。これまで見てあげれなかった分、私はこれから、媛を見続ける。それが私の役目だと思うから。
私は媛を無意識に抱きしめていた。
「媛。大丈夫。姉妹2人だからこそ、話し合おう? これまで、聞いてあげれなかったことも今なら聞いてあげる事ができる。だから、姉妹2人。一緒に頑張ってこう?」
「……」
無言で頷く媛を見て、璃維に一言。
「璃維も勿論、異論なんて唱えないよね?」
「……刹那の言うことはある程度聞く」
それは了解の意味だった。
顔を上げた媛が放った言葉は、
「まだ、璃維を信じる事なんてできないけど、レオ争奪戦には出るよ。メンバー空いてるでしょ?」
泣き顔でそう言う姿に、私は思った。
〈媛は強い子。だけど誰かが、私が支えてあげないといつか倒れちゃう。だから、その役目は私のもの。たとえ、璃維でも渡せない役目だから〉
「ねえ、璃維。媛は強い子だね」
「刹那の妹なんだから、当たり前だろ」
璃維の言葉を聞いて安心したとき。
「ねえねえ、まだメンバー余ってるでしょ? 僕、入れてよ!」
頭上から、そう頭上からだ。
オレンジ色の髪をもった媛と同じくらいの少年と媛がものすごく嫌そうな顔をしたのを視界に捉えたのは同時だった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/06/17 18:23 更新日:2010/06/17 18:23 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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