作品ID:216
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Devil+Angel=Reo
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
第14話。
前の話 | 目次 | 次の話 |
「……ライナ?」
「そう。お久しぶりです、桐生刹那姉さん」
オレンジ色の髪の少年は刹那の前に立って、お辞儀した。
……。姉さん?
「姉さんって」
「そうか、璃維は知らないのか。でもそうだよね。ライナがウチで暮らしてたのって丁度、璃維がお隣の国……えーと」
「ミュリヴァースだよ、姉さん」
「そうそう、ミュリヴァースに留学っていうか、行ってたときだもんね。それに、ライナが居たのって1ヶ月程度じゃなかった?」
「うん。さすが、姉さん。地理は苦手だけど、記憶力は衰えてないみたい」
その、ライナって奴の頭を撫でながら言う刹那の表情は笑顔で。
ただ、ライナって名前どこかで聞いた事あるような。
「……まだ、思い出せない? 僕も一応NEVの一員なんだけど。しかも、鋭意早紀が部長を務めてる戦闘・自治部員なんだけど?」
ライナが笑みを浮かべて俺に言う言葉。
「……そうか、早紀が言っていたライナってお前か」
「鋭意部長が?」
「ああ。生意気で命令無視は当たり前。常に任務や職場放棄。ろくな奴じゃないってな」
「え!? 何で、ライナが居るの!?」
「あ、媛」
廊下の向こうから、媛が走ってくる。
どうやら、媛もライナを知っているらしい。
「ちょっと、ライナいつきたの?」
「ついさっき」
「へー。あ、紅來のこと分かる? NEV機関員なら知ってるとは思うんだけど」
「うん。今、その紅來に説明したところだから」
「ライナ、婆ちゃんに挨拶してくるの?」
「あぁ、以前にお世話になっていたし……。今、お婆さん居るの?」
「居るけど、いく? あ、でも私これから図書館行かなきゃいけないんだ」
「大丈夫。一人で行ける。以前この家の地図貰ったから」
この家、無駄に広すぎるんだよ、と呟きながら廊下を歩いていくライナ。
「姉ちゃん、私、図書館行ってくるから。何か用事ある?」
「ううん。どうして?」
「いや、外出るついでに。じゃ行ってきます」
自転車の鍵と、おそらく本などを入れてある黒い肩下げ鞄を持って媛は出て行く。
「どうして、ライナのこと黙ってた?」
いつもより低い自分の声。
「どうしてって。だって璃維、ライナのことなら知ってると思ったから」
「?」
「ライナ、言ってたよ。自分はあの悪魔なんだって。だから……その、レオも召喚できるんだって」
「レオ召喚ができる?」
「ライナは悪魔で私は天使でしょ? だから、意思共有しちゃえばレオ召喚できるんだ、とかってライナ言ってたよ。それにNEV機関員だからとか言ってたでしょ? だから璃維も知ってるかなって」
まあ実際に知っていたわけだが、まさか刹那とも知り合いなど予想内なわけないだろう。
「まさか、俺が居ない間にそんな関係が」
「って言っても、僕と姉さんの間には何もないから安心していいよ」
「ライナ、戻ってきたの? お婆様にちゃんと話した?」
「うん」
戻ってきていたライナが刹那の代わりに答える。
「僕が姉さんを『姉さん』って呼んでる理由聞かないの?」
「聞いて何になる?」
「別に。気にならないのかなって」
「ライナ。璃維はライナにしたら年上なんだから。もう少し言葉遣い、気をつけて」
そう刹那が諭すと、ライナは不機嫌になる。
「むー。もう少し、姉さんも僕に構ってくれたって良くない?」
「ちょっと、ライナ。私にだってやらなきゃいけないことぐらいあるの。ライナにばっかり構ってられません!」
「やらなきゃいけないことって何?」
「宿題とか宿題とか」
「宿題以外ないじゃん。なんだったら、僕教えてあげようか? 姉さんは国語以外ダメダメでしょ?」
「いいです!」
刹那とライナの会話を聞いて思った。
――もう此処に、自分の居場所はない?
「そうそう、僕、これからこの家に住むから。お婆さんにも了解とってあるし」
刹那に抱きつきながらライナが放つ言葉はその後も俺の脳内で再生されつづける。
再生されて、巻き戻し。そして再生の繰り返し。
「もう……君の居る場所なんてないのかも」
小声だけど耳に届いた言葉。
もしかしたら、その通りかもしれないなんて、信じたくないことだった。
「そう。お久しぶりです、桐生刹那姉さん」
オレンジ色の髪の少年は刹那の前に立って、お辞儀した。
……。姉さん?
「姉さんって」
「そうか、璃維は知らないのか。でもそうだよね。ライナがウチで暮らしてたのって丁度、璃維がお隣の国……えーと」
「ミュリヴァースだよ、姉さん」
「そうそう、ミュリヴァースに留学っていうか、行ってたときだもんね。それに、ライナが居たのって1ヶ月程度じゃなかった?」
「うん。さすが、姉さん。地理は苦手だけど、記憶力は衰えてないみたい」
その、ライナって奴の頭を撫でながら言う刹那の表情は笑顔で。
ただ、ライナって名前どこかで聞いた事あるような。
「……まだ、思い出せない? 僕も一応NEVの一員なんだけど。しかも、鋭意早紀が部長を務めてる戦闘・自治部員なんだけど?」
ライナが笑みを浮かべて俺に言う言葉。
「……そうか、早紀が言っていたライナってお前か」
「鋭意部長が?」
「ああ。生意気で命令無視は当たり前。常に任務や職場放棄。ろくな奴じゃないってな」
「え!? 何で、ライナが居るの!?」
「あ、媛」
廊下の向こうから、媛が走ってくる。
どうやら、媛もライナを知っているらしい。
「ちょっと、ライナいつきたの?」
「ついさっき」
「へー。あ、紅來のこと分かる? NEV機関員なら知ってるとは思うんだけど」
「うん。今、その紅來に説明したところだから」
「ライナ、婆ちゃんに挨拶してくるの?」
「あぁ、以前にお世話になっていたし……。今、お婆さん居るの?」
「居るけど、いく? あ、でも私これから図書館行かなきゃいけないんだ」
「大丈夫。一人で行ける。以前この家の地図貰ったから」
この家、無駄に広すぎるんだよ、と呟きながら廊下を歩いていくライナ。
「姉ちゃん、私、図書館行ってくるから。何か用事ある?」
「ううん。どうして?」
「いや、外出るついでに。じゃ行ってきます」
自転車の鍵と、おそらく本などを入れてある黒い肩下げ鞄を持って媛は出て行く。
「どうして、ライナのこと黙ってた?」
いつもより低い自分の声。
「どうしてって。だって璃維、ライナのことなら知ってると思ったから」
「?」
「ライナ、言ってたよ。自分はあの悪魔なんだって。だから……その、レオも召喚できるんだって」
「レオ召喚ができる?」
「ライナは悪魔で私は天使でしょ? だから、意思共有しちゃえばレオ召喚できるんだ、とかってライナ言ってたよ。それにNEV機関員だからとか言ってたでしょ? だから璃維も知ってるかなって」
まあ実際に知っていたわけだが、まさか刹那とも知り合いなど予想内なわけないだろう。
「まさか、俺が居ない間にそんな関係が」
「って言っても、僕と姉さんの間には何もないから安心していいよ」
「ライナ、戻ってきたの? お婆様にちゃんと話した?」
「うん」
戻ってきていたライナが刹那の代わりに答える。
「僕が姉さんを『姉さん』って呼んでる理由聞かないの?」
「聞いて何になる?」
「別に。気にならないのかなって」
「ライナ。璃維はライナにしたら年上なんだから。もう少し言葉遣い、気をつけて」
そう刹那が諭すと、ライナは不機嫌になる。
「むー。もう少し、姉さんも僕に構ってくれたって良くない?」
「ちょっと、ライナ。私にだってやらなきゃいけないことぐらいあるの。ライナにばっかり構ってられません!」
「やらなきゃいけないことって何?」
「宿題とか宿題とか」
「宿題以外ないじゃん。なんだったら、僕教えてあげようか? 姉さんは国語以外ダメダメでしょ?」
「いいです!」
刹那とライナの会話を聞いて思った。
――もう此処に、自分の居場所はない?
「そうそう、僕、これからこの家に住むから。お婆さんにも了解とってあるし」
刹那に抱きつきながらライナが放つ言葉はその後も俺の脳内で再生されつづける。
再生されて、巻き戻し。そして再生の繰り返し。
「もう……君の居る場所なんてないのかも」
小声だけど耳に届いた言葉。
もしかしたら、その通りかもしれないなんて、信じたくないことだった。
後書き
作者:斎藤七南 |
投稿日:2010/06/19 11:32 更新日:2010/06/19 11:32 『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。 |
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